香港・中環「The Henderson」が凄かった!ザハ・ハディド設計の有機的超高層に“実現した未来”を見た


香港・中環(セントラル)に建つ「The Henderson」は、ザハ・ハディド・アーキテクツが設計した超高層ビルです。高さは190m、地上36階・地下5階、延床面積は43,200㎡。立地は中環と金鐘の中間で、かつて立体駐車場があった場所を再開発して整備されました。2026年1月時点で入居率は90%に達しており、すでに“話題の新築”という段階を越えて、都心のハイグレードオフィスとして本格的に動き始めています。

この建物が強く印象に残るのは、完成予想図の中にありそうな未来的なデザインを、香港の都心で本当に実現しているからです。中環には直線的でシャープな高層ビルが数多く並んでいますが、The Hendersonはそれらとは対照的に、滑らかな曲面が積み重なる有機的な外観を採用しています。こうした造形は建築CGでは珍しくありませんが、実物として街の中に立ち上がると見え方はまったく違います。現地では、造形の面白さと同時に、それを超高層オフィスとして成立させる香港の実装力も伝わってきます。


なぜこんなデザインになったのか

The Hendersonの形には、はっきりした理由があります。ザハ・ハディド・アーキテクツによると、デザインの着想源は香港の象徴であるバウヒニアのつぼみです。花弁が重なるような構造を、ガラスの曲面が連続する高層ビルの外観として再解釈しています。単に目立つ形を狙ったというより、香港という都市の象徴を、新しいランドマークの造形に重ねた建築と考えると分かりやすいと思います。


もう一つの理由は、中環(セントラル)という場所にあります。このエリアには香港上海銀行本店ビルや中国銀行タワーなど、印象の強い高層建築が集まっています。開発したHenderson Landは、The Hendersonを「icon amongst icons」と位置付けました。名だたる高層群の中で埋もれない存在感をつくるには、一般的な箱型オフィスでは弱い。そこで、ひと目で識別できる有機的な輪郭が必要だったのだと思います。

さらに、この形は見た目のためだけのものではありません。ザハ・ハディド・アーキテクツは、この計画をChater Gardenに隣接する「都市のオアシス」と説明しています。建物の基壇部を工夫し、周辺の歩行者動線や広場、庭園と建物内部を滑らかにつなげる考え方です。曲線的な外観は、遠景で目立つためだけでなく、足元の空間をやわらかく見せ、公共空間と建物を連続させる役割も担っています。


現地で見ると、遠景よりも足元のつくりが面白い


遠くから見ると、The Hendersonが中環(セントラル)の中でかなり異質な存在であることがよく分かります。周囲の高層ビルが直線的な輪郭を持つ中で、この建物だけがやわらかな曲線で立ち上がっているからです。ただ、実際に現地を歩くと、魅力は遠景だけではありません。中環(セントラル)駅と金鐘(アドミラルティ)駅の双方から歩いてアクセスでき、立体的な歩行者ネットワークの中に自然に組み込まれている点がまず印象に残ります。

低層部では大きな曲面ガラスが地上レベルまで降りてきますが、重たい感じはあまりありません。歩行者を圧迫するというより、建物のボリュームをやわらかくほどいている印象です。写真を撮るなら、正面から切り取るより、斜め方向や少し高い位置から見たほうが、この建物の立体感は伝わりやすいと思います。特に低層部のうねるような処理には、この建物の個性がよく出ています。


見た目だけで終わらず、オフィスとしても成立している


The Hendersonの面白さは、造形の強さだけで終わっていないことです。2026年1月時点で入居率は90%に達し、主要テナントとしてPoint72、Coller Capital、General Atlantic、Cohen & Steers、Akin Gump、Audemars Piguet、Christie’sなどの名前が挙がっています。つまりこの建物は、目を引く外観を持ちながら、中環の最上位クラスのオフィスとして実際に需要を取り込んでいるわけです。


性能面でも評価は高く、公式サイトではLEED、WELL、BEAM Plusのプラチナ認証に加え、ModeScoreとActiveScoreのプラチナ認証を香港および中国本土で初めて取得したと案内されています。また、International Property Awards 2025–2026では「World’s Best Property」を受賞しました。デザインのインパクトだけでなく、環境性能、ウェルネス、交通接続まで含めて商品力を高めた超高層として評価されていることが分かります。


日本、特に大阪にもこういう建築がほしいと思った


The Hendersonを現地で見ると、未来的な建築はイメージパースの中だけの存在ではないのだと実感します。香港では、それを都心の一等地で本当に建て、歩行者空間や公開空地、オフィスとしての競争力まで含めて成立させてしまう。その総合力が、この建物のいちばん印象に残る部分でした。

日本にも優れた高層ビルはたくさんありますが、ここまで有機的でSF的な造形を、真正面から都心に実装した例はまだそれほど多くありません。だからこそThe Hendersonは強く記憶に残りますし、日本、特に大阪にも、こうした未来感のある超高層がもっと増えてほしいと感じます。


出典元

  • The Henderson 公式サイト
  • Zaha Hadid Architects 公式プロジェクトページ
  • Henderson Land 公式リリース(2026年1月15日、入居率90%)
  • The Henderson Art Garden 公式案内・公式リリース
  • The Henderson 公式ダイニング案内
  • International Property Awards 2025–2026 受賞ページ

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