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大阪IR事業エリアの『液状化対策工事』が進行中、2025年春頃の施設工事着手に向け準備着々 現地の最新状況 24.11



大阪府と大阪市は2023年9月19日に、大阪IRの事業エリアの液状化対策を発表しました。液状化対策は2021年12月に大阪府・市が設置した専門家会議が検討してきたものです。

液状化対策はセメント系固化工法を採用。対策面積は建物直下の約 21haで、改良層厚は概ね 3~5m。深層混合処理工法(機械撹拌)による格子状改良、MICE 施設は中層混合処理工法による全面改良を実施します。
※当然ですが、建物本体の基礎杭は液状化対策とは別に、強固な地盤がある支持層まで構築されます。

【出典元】
IR区域における液状化対策に関する 検討結果

液状化層が不均一に存在


液状化対策については、IR事業者が調査した事業用地内における 39 箇所及び 134 箇所のボーリング調査を基に判定を行ったところ、液状化層は不均一に存在し、連続性も見られないことが確認されました。

当初は液状化対策に一般的に用いられる「サンドコンパクションパイル(締固め砂杭)工法」(以下、「SCP 工法」)を想定していました。関西国際空港などで採用された砂杭を構築して粘土層の水を抜くアレですね。

しかし、大阪IRの計画地では、軟弱粘土層に液状化層が点在する為、SCP工法で施工する砂杭が周囲の軟弱粘土層に逃げ、締固め効果が十分期待できない可能性あり、地盤の密度が増加するため地盤沈下への影響も懸念されることが判明しました。 そのため、より確実な効果が見込めるセメント系固化工法を基本に詳細検討が進められました。

対策面積は建物直下の約 21haを基本とする


対策範囲は、建物直下を改良することを基本に、液状化が発生しても建物に被害が生じない対策を実施。一方、外構部については、液状化による被害が局所的で小規模と見込まれることから、復旧による対応が可能と判断されました。

科学的で合理的な対策



液状化対策は、建物ブロックごとに必要となるセメント改良範囲を決定し、有効性や施工性、経済性を勘案し改良形式や施工方法を選定。改良形式は「全面改良」もしくは「格子状改良」とし、全面改良の場合は、建物周囲の一定の 範囲を改良(余改良)する事になります。当たり前ですが、非常に科学的で合理的な検討がなされています。

対策費用は410億円で債務負担行為限度額 の範囲内



検討結果に基づく液状化対策費用は 255 億円と見込まれ、大阪市の土地課題対策にかかる債務負担行為限度額 788億円(2024~2033年度)のうち、液状化対策の費用(410億円)の範囲内となりました。改良工事はIR事業者実施し、事業者が工事費を改めて見積もり、土地所有者の大阪市が設計積算基準に基づきチェックを行います。

大阪府・市・IR事業者が9月8日に、国に提出した変更区域整備計画によると、大阪IRは、2024年夏ごろに準備工事、2025年春ごろに施設工事へ着手し、2030年夏ごろの施設完成、同秋ごろ開業する予定です。

 

2024年11月の様子


現地の様子です。前回の取材が2024年10月だったので、約1ヶ月振りの撮影です。


大阪IRの本体工事に向けた準備工事が始まりました。液状化対策や地中障害物除去が行われています。



2025年度から山留工事・杭工事が始まる予定ですが、万博への影響を抑えるため、杭工事の工程を2ヶ月程度後ろ倒しして、開催後の12月頃にピークを迎える様に工事を調整する事になりました。

 



IR本体の基礎工事・躯体工事は2025年度後半から26年度にかけて本格化し、28年度中盤にはMGM大阪の駆体が完成、その後、外装仕上げ、外構工事、内装テナント工事に移ります。29年度後半に検査・開業準備に入り、2030年秋頃に開業を迎える予定です。

 


最後は引き気味で見た夢洲全体の様子です。

 

2024年10月の様子


現地の様子です。前回の取材が2024年8月だったので、約2ヶ月ぶりの撮影です。



大阪IRを巡っては、MGMやオリックスなどで構成する「大阪IR株式会社」が違約金なしで事業から撤退できる権利(解除権)を放棄しました。これにより、2030年秋ごろに、日本初のIRが大阪に開業する事が確実になりました。


計画地中央付近の様子です。地盤改良工事が続いています。


計画地北端の様子です。

 


最後は引き気味で見た、夢洲全体の様子です。大阪・関西万博の会場と、大阪IRの計画地が並んで見えます。

2024年8月の様子


現地の様子です。前回の取材が2024年7月だったので、約1ヶ月ぶりの撮影です。


大阪IR計画地の南端「MGM大阪」が建設される辺りの様子です。


計画地中央部の様子です。手前に関西ツーリズムセンター、写真奥にMICE施設が建設されます。


計画地北側の様子です。結びの庭やMUSUBIホテルが建設されます。

 


フェリーターミナルが設けられる北側護岸の様子です。


最後は引き気味で見た、夢洲全体の様子です。大阪関西万博のグランリングと対を成す様に見える、大阪IRの計画地が見て取れます。

2024年7月の様子


現地の様子です。計画地内に複数の3点式パイルドライバが投入され地盤改良工事が進んでいます。


敷地南側の様子です。セメントのプラントらしきい施設が見て取れます。


敷地北側の様子です。この同じく地盤改良工事が進んでいます。


撮影ポイントを変えて地上から見た様子です。



見た目はメチャクチャ地味な工事ですが、この工事の成功するかどうか?によって大阪の命運が決まるといっても、過言では有ません。それほど重要な工事がヒッソリと進んでいます。


来年春の着工目指して、土地課題対策工事が進む大阪IR。大阪関西万博に続く第2弾ロケットエンジンとして、大阪や近畿圏全体に凄まじい経済波及効果をもたらす事になるですよう。


5 COMMENTS

アリー my dear

大阪IR、準備工事を開始 万博影響巡り溝 政府仲介で決着(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF141TC0U4A011C2000000/

2030年秋ごろに大阪市でカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業を目指す「大阪IR株式会社」は15日、建設予定地の人工島、夢洲(ゆめしま)で準備工事を始めた。仮囲いや現場事務所、電力網などを整備した後、25年春にも施設本体の建設に移行する。

サジャ

IRは一歩前に進んだわけですねぇ。
IRはまだ先なので、夏場でも涼しく楽しめる施設にするのは可能でしょう。
問題は万博ですね。
今優勝パレード絡みの記事を読んでいると、皆さんが万博についても書き込んでいるのですが、建設的な意見もありますが否定的な物も有って。
その中で純粋に行きたいけれども暑いのは敵わないというのが有ります。
そうですね。夏場のこういう行事は昨今の暑さの中だと無理だと思いますよ。
工期が間に合わないのを「好機に」半年ずらせばという意見に乗っかるのも良いかと思います。
そしてIR施設は屋内で楽しめる物にして頂きたいですね。
全天候型。暑かろうが寒かろうが楽しめる施設。暑い中をウロウロされられるのは御免です。

アリー my dear

大阪府報道発表資料より
https://www.pref.osaka.lg.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=49057

~大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備等 実施協定の締結の認可について~
大阪府及び大阪市は、特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号)第13条第1項に規定する実施協定を締結するため、大阪IR株式会社とともに、同条第2項に基づき令和5年9月8日に国へ認可申請を行っておりましたが、このたび、国土交通大臣より認可を受けましたのでお知らせします。

ガンマ

普段目にできないネタ記事が再都市化の真骨頂かもしれませんね。
改めて関心致します。

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