【再都市化ナレッジデータベース】←新規情報やタレコミはこちらのコメント欄にお願いします!

ゴウダ、ESRと組み次世代データセンター開発、彩都に2029年開業、再エネとAI需要に対応。首都圏は電力制約、近畿圏は成長余地

ゴウダ株式会社(本社:大阪府茨木市、代表取締役会長 CEO:合田順一)は、アジア太平洋地域で大規模不動産アセットマネジメントを展開するESRと提携し、大阪府茨木市彩都エリアに次世代型データセンターを建設します。本事業は阪急阪神不動産株式会社の協業も得て進められ、竣工は2029年を予定しています。


  • 建物構造:鉄骨造地上5階・PH2階

  • 延べ床面積:23,467.53㎡

  • 立地:彩都西駅から約1.4km、名神高速「茨木IC」から約5km、新名神「茨木千提寺IC」から約5.5km

  • 計画の特徴:太陽光発電と蓄電池を組み合わせた再エネ活用型データセンター、研究施設を併設

同社は敷地内に研究施設を設置し、再エネによる電力供給の割合や省エネ化の効果を実証する計画です。災害時や電力逼迫時におけるレジリエンス強化も視野に入れています。


ゴウダが参入する理由


ゴウダは2006年から太陽光発電事業を手掛け、再エネ・蓄電池導入に関する知見を蓄積してきました。データセンターは大規模電力を消費するため、効率的かつ安定した電源供給が課題です。ゴウダは自社技術を活用し、環境負荷を低減しながら次世代需要に応える方針です。

さらに、阪急阪神不動産との協業による都市開発のノウハウ、ESRのグローバルなデータセンター事業経験を組み合わせることで、エネルギーと不動産の両面から事業を進める狙いがあります。


データセンター市場の拡大


IDC Japanによると、日本国内のデータセンター市場規模は2023年に約2兆7,361億円、2028年には約5兆8,000億円に達すると予測されています。背景には以下の要因があります。


  • 生成AIの普及:GPUを用いた学習・推論処理により、膨大な計算能力が必要となり、GPU対応データセンターの建設需要が増大。

  • クラウド化の加速:企業のDX推進により、オンプレミス環境からクラウドや外部データセンターへの移行が進展。

  • 新技術の登場:IoTや5Gによって生成されるデータ量が急増し、リアルタイム処理ニーズが高まる。

  • BCP対応:災害リスク分散の観点から、首都圏以外の立地に対する需要が拡大。

この市場拡大に合わせ、国内外の事業者による投資が活発化しており、東京圏・大阪圏の二大拠点体制が形成されつつあります。


首都圏の制約と課題

東京圏は日本最大の需要を抱えますが、新設データセンターにとって次のような制約があります。


  1. 電力ボトルネック:特別高圧系統への接続待ちが10年単位に及ぶ事例があり、旺盛な需要に対して開発が追いついていません。

  2. 電源構造の制約:老朽火力の維持、再エネ導入の制限、原子力再稼働の政治的停滞。

  3. 都市構造の脆弱性:東京は周辺県からの送電に依存する“受電都市”であり、大規模災害時に電力供給が途絶するリスクがあります。

AIやクラウドといった電力多消費型インフラを支えるには、首都圏はすでに構造的限界に近づいていると指摘されています。


近畿圏の優位性

対照的に近畿圏は、以下の点で強みがあります。


  • 安定電源:関西電力は高浜・大飯・美浜原発を再稼働し、送電網の拡充も進めています。

  • 立地条件:北摂地域や兵庫県三田市周辺は広大な土地と強固な地盤を有し、災害リスクも比較的低いとされます。

  • 事例の進展:SCSKは兵庫県三田市にAI特化型データセンターを建設中。ほかにも国内外の事業者が関西圏での拠点新設を進めています。

これにより、首都圏とは「新規インフラを構築できる可能性」そのものに格差が生まれています。


大阪の戦略的位置づけ


大阪は国内外の事業者から注目を集める戦略拠点です。


  • 災害リスクの低さ:首都圏と比べて地震・台風被害のリスクが相対的に低いとされます。

  • 通信インフラの集積:大阪・堂島地区は西日本最大のIX集積地であり、JPIXやJPNAPなど複数のIXが集中しています。低遅延通信が可能で、金融・EC・ゲームといった応答性が求められる分野に有利です。

  • 土地コスト:首都圏より抑制されており、大規模施設建設に適しています。

こうした条件により、東京と並ぶ二大拠点として大阪の役割は一層高まっています。


今後の展望


生成AI時代において、データセンターの需要はさらに拡大します。その一方で、電力消費は2030年代にかけて急増し、国内全体の需給を圧迫する可能性もあります。再エネ導入、省エネ設計、蓄電池や水素といった新技術の活用が不可欠です。

ゴウダの計画は、再エネ活用と研究機能を併設する点で特徴的です。国内外で課題となっている「エネルギーとデータインフラの両立」に対し、具体的な解決策を示すモデルケースとなる可能性があります。






まとめ

首都圏は電力制約と災害リスクにより新設が困難化している一方、近畿圏は安定電源と地盤の強さを背景に新しいインフラ構築が進んでいます。大阪・彩都でゴウダとESRが建設するデータセンターは、再エネとAI需要を組み合わせた「次世代都市インフラ」の先行事例です。2029年の開業に向けて、関西発の新しいモデルとして国内外から注目を集めると考えられます。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です