※出展:Googleマップ 筆者加筆
報道各社は、阪急阪神HDが、阪急電鉄・大阪梅田駅周辺の大規模再開発を計画していると伝えました。それによると、2024年度末頃の閉館が決まっている「大阪新阪急ホテル」に加え、大阪梅田駅高架下の商業施設「阪急三番街」やオフィスビル「阪急ターミナルビル」の建て替えを検討するとの事です。開業は2030年以降で、阪急梅田駅高架化以来、実に半世紀ぶりの大規模開発となります。梅田とJR大阪駅周辺、空中デッキで連結構想も…阪急がキタで半世紀ぶり大規模開発(読売新聞オンライン)#Yahooニュースhttps://t.co/Vh637kfKDI
— ロング@再都市化 (@saitoshika_west) January 6, 2022
※完成間近となった大阪梅田ツインタワーズサウス
阪急阪神HDは同社グループの金城湯池である梅田地区の再開発を段階的に進めてきました。近年では7年の建替え工期を経て、2012年11月21日に阪急うめだ本店がグランドオープン、続いて阪神百貨店の建て替えが2014年秋からスタートし、2022年春のグランドオープンに向けて工事は最終盤を迎えています。さらには、うめきた2期地区に、阪急阪神ホテルズの新ホテルが2024年度にオープン予定となっています。今回の発表は、百貨店2館を建て替えるビッグプロジェクトが一段落した後のさらなる再開発の具体的検討が始まるというもので、今後は阪急大阪梅田駅周辺の再開発に軸足を移す事になります。

大阪新阪急ホテルは、阪急阪神HDの旗艦ホテルで地上10階建、客室数961室、レストランや宴会場を備える大型ホテルです。竣工は1964年の古参のビルで老朽化が著しく、阪神百貨店の建替え計画が完成する2022年頃には築60年近くに達します。

阪急ターミナルビルは、1972年竣工の複合ビルで阪急梅田駅が国鉄線(現在のJR線)の北側に移転したのに合わせて新たに作られた駅ビルです。カーテンウォール工法を本格的に採用し徹底的な省力化が図られた、当時としては画期的なビルでした。

阪急三番街は、阪急大阪梅田駅構内下の階に併設された商業施設で、1969年11月に、大阪梅田駅の拡張移築とともに「川が流れる街」をスローガンにして開業しました。延床面積81,874 m²、商業施設面積は38,629 m²です。

阪急阪神HDの角和夫会長は読売新聞の取材に対し、「2022年は新阪急ホテルの建て替えに向け始動する」とした上で、「ホテルを建て替えるということは、ホテルに連なるターミナルビルと三番街も(建て替えの)対象になる」と語りました。

※2010年頃の現地の様子
「新阪急ホテル」と「阪急ターミナルビル」の建替えについては、2018年頃から話が持ち上がっていましたが、三番街、すなわち阪急大阪梅田駅の建て替えが示唆されている所が興味深いです。阪急梅田駅は一日の乗降客数120万人に対応するキャパシティを備えた超近代的高架ターミナル駅として計画され完成しましたが、現在の乗降客数は50万人程度となっており施設を持て余しています。さらに、阪急なにわ筋連絡線も計画されており、将来的に利用者が分散する事から、梅田ターミナル駅の利用者数は今後さらに減少する見込みです。

※出展:Googleマップ 筆者加筆
ここからは完全に妄想の域なのですが、もしかすると今回の再開発は阪急梅田駅の一部縮小(減築)を行い、再開発ビルの建築面積を増やすのではないでしょうか?減築の方法は2パターンあり、1つはJR大阪駅の様にホーム1つを廃止して開発用地を捻出する方法です。しかし、阪急梅田駅の施設は大きいですが、3路線各3線しか持っていない為、線路容量に余裕があるとは思えません。仮に1ホームを減らすとダイヤ編成が難しくなりそうです。
もう1つはホームを10両→8両対応に減らして短くする方法です。駅を運用しながらどうやって工事を行うか?といった根本的な問題はありますが、ホームを北側に10m程度ズラした上で、2両分を縮減すると縦幅50mほどの敷地が捻出できるのではないでしょうか?これに既存の阪急ターミナルビルの敷地を加えれば新ビルの規模を拡大させる事が可能となります。
阪急大阪梅田駅周辺の再開発計画は、2030年台のビッグプロジェクトとして、とても息の長い計画になりそうです。3施設をどのように最適化して行くのか?今後の発表がとても楽しみです。
 
					


