
日本空港ビルデングは2026年9月1日、羽田空港第1ターミナル(T1)の北側に整備した「第1ターミナル北側サテライト施設」の供用を開始しました。1993年9月に開業したT1では、約33年ぶりとなる本格的な施設拡張です。
新施設には24~29番の6スポットを整備しました。今回の増設は航空需要への対応だけでなく、老朽化した既存施設を更新するための代替機能を先行して確保する意味を持ちます。
羽田空港では高い稼働率を維持したまま、エプロンの舗装更新や液状化対策を進める必要があります。北側サテライトは、T1を運用しながら段階的に改修するための受け皿となります。
地上3階・延床約2.1万㎡、6スポットを新設

T1は1993年の開業以来、羽田空港国内線の中核を担ってきました。今回の増築により、北側へターミナル機能が大きく拡張されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名称 | 第1ターミナル北側サテライト施設 |
| 供用開始 | 2026年9月1日 |
| 建築面積 | 約11,000㎡ |
| 延床面積 | 約21,000㎡ |
| 階数 | 地上3階 |
| 搭乗口 | 24~29番・6スポット |
| 構造 | 鉄骨造・木造ハイブリッド |
| 環境性能 | ZEB Oriented |
| 主な設備 | 動く歩道、iino、WHILLなど |
最大の目的は「羽田を止めずに更新する」こと

国土交通省は第1ターミナル地区で、大規模地震時の空港機能を確保するための液状化対策と、供用から約30年が経過した舗装の打ち換えを進めています。
これらの工事では、既存の搭乗口や駐機場を順次閉鎖する必要があります。そこで先行して北側サテライトを整備し、6スポット分の代替能力を確保しました。
高稼働の羽田空港では、空港機能を大きく縮小して一斉に改修することは困難です。北側サテライトは、必要な処理能力を維持しながら既存施設を段階的に更新するための受け皿として、T1の機能更新を支えます。
バス搭乗便を約30便から約5便へ削減

利用者にとって大きな変化となるのが、バス搭乗の減少です。JALグループでは従来、羽田T1から1日約30便がバスゲートを利用していました。北側サテライトの供用により、このうち約25便をPBB(旅客搭乗橋)から直接搭乗できる便へ移し、バス搭乗便は約5便まで減少する見込みで、旅客の負担軽減に加え、地上輸送の工程も削減できます。JALグループは9月1日から、北側サテライトの26~29番搭乗口の利用を開始しました。
ターミナルは約1km先まで延伸

一方、北側への拡張によってターミナル内の移動距離は長くなりました。JALによると、E保安検査場から北側サテライトの最遠部までは約1,068m、徒歩約16分。最も近いF保安検査場からでも約968m、徒歩約15分を要します。

長い動線を補うため、施設内には計10基の動く歩道を設置しました。さらに、人の流れに合わせて自動走行する最大4人乗りモビリティ「iino」を導入し、自動運転車いす「WHILL」の運行範囲も北側サテライトまで拡大しています。PBB利用によってバス移動を減らす一方、長くなったターミナル内動線には移動支援設備で対応する構成です。
29番搭乗口には約100mの長大PBB

北端の29番搭乗口には、長さ100m弱のPBBが設置されています。これは単に航空機までの距離が長いためではなく、将来、T1をさらに北側へ拡張する場合に大規模な撤去工事を避けられるよう、移設可能な構造が採用されているためです。
現時点で追加拡張の具体的な計画はありませんが、需要増加時に北側へ延伸できる余地を残した設計で、現在の必要性だけでなく、将来の拡張性も織り込まれています。
羽田初の「鉄骨+木造」ターミナル

建築面では、1階を鉄骨造、2階以上を木造とする「鉄骨造・木造ハイブリッド構造」を羽田空港で初めて採用しました。国産のカラマツやスギなど約1,800㎥、樹木換算で約1万本分の木材を使用。ゲートラウンジやコンコース、連絡通路にもカバザクラ、スギ、ナラなどを取り入れ、木質感のある空間を構成しています。

環境性能では「ZEB Oriented」認証を取得しました。一次エネルギー消費量を30%以上削減するとともに、太陽光発電で年間約53万kWhを発電し、施設内で使用する電力の約80%をまかなう計画です。
カフェ一体型「FOREST LOUNGE」も開設

26番ゲート付近には、新たなカードラウンジ「FOREST LOUNGE」がオープンしました。22席を備え、羽田空港では初となるカフェ一体型のラウンジです。提携クレジットカード利用者だけでなく、一般利用者も有料で利用できます。内装には、ターミナル建設時に生じた木材の端材なども活用しています。
北側サテライトはT1更新の起点

北側サテライトは、単なる搭乗口の増設ではありません。
先に6スポット分の余力を確保し、その能力を使いながら既存のエプロンや搭乗口を順次更新する。高稼働の羽田空港を止めずに、開業から30年以上が経過したT1を次の時代へつなぐための施設です。バス搭乗便の削減や旅客利便性の向上とともに、今後進むT1全体の更新を支える役割を担います。
出典
・日本空港ビルデング「羽田空港第1ターミナル北側サテライト施設を9月1日に供用開始」・JAL「羽田空港国内線『北側サテライト』利用開始について」
・Aviation Wire「羽田1タミ、木材生かした北サテライト公開」
・Aviation Wire「『日本一長い搭乗橋』なぜ羽田1タミに?」
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