関西エアポートは2024年7月25日付けのニュースリリースで、運営する関西3空港(関西、伊丹、神戸)の2024年上半期の利用実績を発表、2024年1〜6月の関西空港の外国人旅客数(国際線)が910万人を記録し、コロナ禍前の19年の874万人を上回り、過去最多を更新したと発表しました!
6月の方面別の旅客数の国別シェアでは、韓国(29%)、中国23%、東南アジア(14%)、台湾(12%)、香港・マカオ(12%)となっており、コロナ禍前に大きなシェアを占めていた中国が回復しきっていない状況で、国際線がここまで増えるとは驚きです。
【出典元】→関西空港>240725_TrafficReport_June2024.pdf (kansai-airports.co.jp)
→成田空港>2024年6月 空港運用状況 国際線外国人旅客数が183万人となり6月として最高を更新単月としても過去2番目の水準に
外国人旅客数で関西が成田を猛追!
| 区分 | 関西空港 | 成田空港 | |||
| 国際線 | 日本人 | 2,195,348 | 185% | 3,558,576 | 150% |
| 外国人 | 9,101,046 | 170% | 10,645,142 | 147% | |
| 通過客 | — | — | 1,273,862 | 83% | |
| 国際線計 | 11,296,394 | 172% | 15,477,580 | 139% | |
| 国内線 | 3,202,071 | 94% | 3,816,525 | 109% | |
| 合計 | 14,538,699 | 146% | 19,294,105 | 132% | |
こちらは、関西空港と成田空港の2024年上半期の旅客数の比較です。注目点は国際線外国人旅客数で、関西空港が910万人(前年比170%)、成田空港が1064万人(147%)となっています。両空港とも過去最高実績を更新しましたが、関西空港の伸び率が著しく成田空港を猛追しています。ちょっと前には想像も出来なかった状況です。来年は大阪関西万博が開催され、さらに関西空港の1時間あたりの発着回数の上限が30%増加する為、近い将来、外国人国際線旅客数で関西空港が成田空港を逆転し、日本一の空の玄関口となる可能性があります。
今後の問題点として、以前から度々書いていますが、関西空港の旅客ターミナルが完成にキャパシティオーバーになり、ここがボトルネックとなり関西経済の成長が鈍化する危険性があります。関西空港は、近未来に必ず訪れる旅客ターミナルビルの容量不足によって、国際線旅客数が頭打ちになる「まずい状況」が予想される中、国が主体的に成田空港に1.3兆円を投じて新ターミナルと新滑走路整備を進め、関西空港にはT1リノベーション以降の大きな投資計画が今のところ無い、そんな「ありえない状況」が続いています。国土交通省のプレゼン資料には関西空港に需要が流出しない様に成田空港の整備を進める必要がある、といったあからさまな記載があったほどです。

なお、国際線、日本人旅客数については、JALとANAの国内ハブが羽田・成田に置かれており、大阪発で海外を目指すと多くの場合、羽田・成田経由となります。JAL、ANAのアプリで国際線を検索すると直ぐにわかりますが、東京経由の検索結果が多く表示されます。本来は関西空港発で出国するはずの日本人が、国内エアラインの極端な東京集中策により、伊丹・関空から羽田・成田に輸送され、東京発で海外に向かうケースが多くなっている状況が続いています。

今後の課題としては、関西空港の処理能力が飽和する前に新ターミナルビルの建設をスタートする事、国から予算的な手当が見込めないのであれば、地元政財界が出資してでもターミナルビルの建設を進める、JAL・ANAの極端な東京シフトを打開するために、関西財界が出資する「関空ベースのフルサービスキャリア」を創設し、直接関空から海外に行ける路線を開設する、それが無理ならピーチを再びANAから独立させ、独自の路線網を拡張できる様に働きかけるなど、東京では全く考えなくて良い、地方ならではの「ハンディキャップ」を超える努力が必要と思われます。

すでにキャパシティオーバー状態の関西空港。新ターミナル建設はまだか!
かなりブッ飛んだ事を書きましたが、関西空港がさらなる飛躍を遂げ、日本国の経済を牽引する「外貨獲得マシン」として機能発揮させるには、これらの課題は避けて通れません。今後は、ブッ飛んだ内容を現実的なラインに落とし混んで、新ターミナル整備をどうやって進めるのか?現状、東京を経由せざる得ないアウトバウンド需要を関空発に戻すために、どうやって直行便を増やすか?などの問題点をクリアする必要があります。



