仙台市は2020年12月2日に、仙台市役所本庁舎建替基本設計プロポーザルで、石本建築事務所・千葉学建築計画事務所設計共同企業体を受注候補者に選定しました。次点者は、久米・AL設計共同企業体でした。
基本計画によると、新庁舎は現在地に1棟を整備し、高さは最大80mで延べ面積約58,000㎡~60,000㎡を想定。低層部は市民利用や情報発信の機能、中層部は行政機能、高層部は議会機能を想定しています。整備費は453億~473億円を見込んでおり、2024年度半ばまでに本体着工し、2028年度に利用を始める予定です。
現在の仙台市役所本庁舎は1965年に竣工し建築設備の劣化、コンクリートの中性化など老朽化が進んでおり、特にコンクリートの限界まであと10年と試算されています。建築設備の維持保全や更新性への対応、業務特性に応じたセキュリティの確保、 分散した庁舎の集約をはかる為、新庁舎への建替えが検討されていました。【出展元】
→仙台市役所本庁舎建替基本設計業務委託に係る公募型プロポーザルを実施します(受注候補者を決定しました)
→仙台市役所本庁舎建替基本計画
石本建築事務所・千葉学建築計画事務所JVは、仙台の街には市民の活気溢れるアーケード、緑豊かなケヤキ並木が彩る大通り、人情味あふれる横丁など、様々なスケール、多彩な活動が広がる街路空間に最大の魅力があり、同時に歴史ある市民運動が脈々と受け継がれ、小さな市民の活動や取り組みが街のそこかしこで生まれ展開されていると、捉えました。
その上で、こうした仙台の文化や歴史の豊かさ、自然の美しさを凝縮し た庁舎こそ、これからの仙台市庁舎に最も相応しい姿だと考えその実現のために、以下の 5 つのコンセプトを基本方針に定めました。
1. 街路空間の賑わいを引き込む
2. 小さな活動の活力を引き込む
3. 広場の活気を引き込む
4. 風や光の恵みを引き込む
5. 市民の杜の営みを引き込む
JVは、一番町商店街から続く街路を引き込んだ〈みち〉、仙台の文化でもある市民 活動/協働の拠点となる〈みせ〉、それらが立体的に重なり合って生まれる〈ひろば〉が有機的に連携する新たな公共空間を提案。日常生活の延長上に組み込まれた この〈みち〉、〈みせ〉、〈ひろば〉は、市民 の日々の憩いの場であると同時に市民が行政 と一体になって街の未来を考えていく場として、 新たな仙台市庁舎のシンボル空間になります。
勾当台公園や市民広場を見渡せる、緑豊かな木立や庁舎の軒下を巡る〈みち〉と〈みせ〉が随所に生み出す「舞台」や「客席」は、イベントの場 としてはもちろん、小さな子どもたちが安心して遊べる公園であり、また高齢 者が寛ぐことのできる街の居間のような場になります。 市民の誰もが自分の居場所だと思える市庁舎は、閉庁時でも気軽に訪れたく なる仙台市の新たなランドマークになります。
新庁舎の各階外周部には張り出すように随所に小さなボリュームが設けられます。ここでは職員同士の打合せだけでなく、今後の行政において想定される様々な活動主体との協働を支える場としても存分に活用することを想定。 また最上階の議場フロアも一部市民協働の場として開放し、 傍聴ロビーから市内を展望したり、普段目にする機会のない議場の様子に触れることがでる様になります。
災害拠点となる庁舎構造には、多角的な視点での強靭な備えが必要です。新庁舎は免震 + 制振ハイブリッド構造を採用し、東日本大震災から続く余震や近い将来発生し得る巨大地震に対し、損傷なく庁舎機能を維持する事ができます。免震構造により建物の長周期化を図り、大地震時における入力地震動を大幅に低減すると共に、構造体が弾性範囲内に収まることで建物の長寿命化を実現。さらに上層階の長時間に亘る揺れを早期減衰させるため、制振装置を組み合わせ、安心・ 安全かつ家具等の転倒や二次部材の落下による被害を抑えます。
石本建築事務所・千葉学建築計画事務所JVが受注候補者にきまった仙台市役所本庁舎建替え設計プロポーザル。今回のプロポは最も適切な設計者の選定を目的としており、下記技術提案書に含まれる提案内容をそのまま実現するものではありません。今後は仙台市と設計者の共同作業により、同市が抱える課題や目指す方向性を踏まえた建築設計の実現を目指す事になります。提案内容を盛り込んだ新庁舎は、デザイン性が高い、中々凄い庁舎になりそうなので楽しみです。
いいデザインですね。こういう建築がもっと各地に増えればと思いました。