横浜市のIR(統合型リゾート)の誘致をめぐり、2020年11月13日に、住民投票の実施を求める反対派市民団体が署名を集め提出しました。集まった署名は、請求に必要な数の3倍を超えるおよそ20万人分です。 横浜市 林文子市長は、「20万票を超えた署名が集められたということで、市民の皆さまがIR実現について、大変関心があるということ、心配されているということが、あらわれたと認識している」と語りました。 また、林市長は同日の定例記者会見で署名数について「市民がIRについてに関心、心配があることの表れ」と話し、市議会に条例案を提出する際は実施の賛否に意見を付けない考えを示した。林市長はこれまで、住民投票が実現し、反対が多数となった場合は誘致を撤回する考えを示している。
「横浜IR誘致、住民投票を」市民団体が署名提出 林文子市長「市民の関心、心配の表れ」:東京新聞 TOKYO Web https://t.co/hr1SStlsxv
— ロング@再都市化 (@saitoshika_west) November 17, 2020
出展:横浜市>IR(統合型リゾート)
IR誘致先として候補に挙がっている山下埠頭に倉庫などを持つ事業者からは、当初より一貫して反対の声が上がっています。その中でも「ハマのドン」とも呼ばれる、横浜港ハーバーリゾート協会会長の藤木幸夫氏は「私は絶対やらないですから、カジノは」とIR誘致計画を一蹴しました。署名は今後、選管が署名の有効性を審査し、林市長に住民投票条例の制定が直接請求され、条例案が市議会で可決されれば、住民投票が実施されます。ただし、横浜市議会はIR誘致賛成の与党系会派が過半数を占めている為、住民投票の条例案に反対し投票が実施されない可能性があります。
出展:横浜市>IR(統合型リゾート)
横浜IRについては、現職の林市長が2017年7月にIR誘致を「白紙」として市長選3選を果たしましたが、2019年8月にIR誘致を正式表明。同年11月に横浜商工会議所など誘致推進派の経済団体が「IR横浜推進協議会」を設立し、誘致活動が本格化しました。その後、日本版IRの厳しすぎる進出条件を嫌って2020年5月に米カジノ大手ラスベガス・サンズが横浜IRから撤退を表明し、8月には米ウィン・リゾーツも横浜IRから撤退しました。さらに、以前は積極的な姿勢を見せていたゲンティン・シンガポールは10月の決算発表で「グループの投資条件を満たした場合に提案に回答する予定」とコメントし、曖昧な態度に変化しました。コロナ禍という未曾有の厄害により、IRオペレーターは苦しい立場に追いやられています。手持ちの資本の集中と選択を迫られる中、住民投票に必要な数の署名が集まり、横浜IRの不確実性が高まった為、有力なIRオペレーターが残らず撤退する可能性が出てきました。