インテックス大阪(大阪国際見本市会場)は、大阪市のベイエリア、咲州にある国際展示場です。1985年に港区朝潮橋から移転・開場しました。インテックス大阪の愛称は、Intex Osaka= International Exhibition Centerが語源となっています。敷地面積12万8986㎡、延床面積13万2709㎡、総展示面積7万2978㎡の規模で、国内では3番目の展示面積を誇る展示場です。そんなインテックス大阪ですが、昨日の報道各社が伝える所によると、開場から約32年が経過し老朽化が進んでいる事、展示面積(約7.3万㎡)は競合他国、他都市の国際会議場と比べ見劣る状態になっており、新築移転を含めた将来像の検討が始まったとの事です。日本の国際展示場の展示面積は世界各都市に比べると非常に見劣りしており、国内最大の展示面積を誇る東京ビッグサイトでも世界ランキングでベスト50位にも入りません。
【総展示面積の比較】
1)東京ビッグサイト:9万5,420m2
2)幕張メッセ:7万5,098m2(国際会議場含む)
3)インテックス大阪:7万2,978m2
▼引用始め
アジアには10万平方メートル以上多数、7万平方メートルの国際展示場「インテックス大阪」将来像検討へ…老朽化などに対応
産経WEST 2017.9.14
http://www.sankei.com/west/news/170914/wst1709140053-n1.html
大阪市住之江区の咲洲にある西日本最大級の国際展示場「インテックス大阪」について、老朽化や国際競争力強化に対応するため、大阪市が具体的な将来像の検討に入ることが14日、市などへの取材で分かった。市は7月から専門家や民間事業者でつくる検討会を実施しており、今月22日の検討会で集約した意見を基に、方向性を協議する。
インテックス大阪は昭和60(1985)年に開業し、国内3番目となる約7万平方メートルの延べ床面積がある。アジア各国には10万平方メートル以上の施設が多数あり、今後の在り方の検討が迫られている上、大阪での平成37(2025)年国際博覧会(万博)実現や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を見据えて「将来的にどういう施設が必要かの意見収集を始めた」(市担当課)という。
松井一郎府知事は14日、「インテックス大阪がこのままでいいのかどうか、大阪にどのくらいの規模の展示場が必要なのか議論すべきだ」と話した。
世界国際展示場の展示面積ランキング(2011 年、上位 30位)
1 ハノーバー国際見本市会場; 46万6,100㎡ ハノーバー ドイツ
2 フランクフルト見本市会場; 34万5,697㎡ フランクフルト ドイツ
3 フィエラ・ミラノ国際見本市会場: 34万5,000㎡ ミラノ イタリア
4 中国出口商品交易会琶洲展示館: 33万8,000㎡ 広州 中国
5 ケルン・メッセ国際見本市会場: 28万4,000㎡ ケルン ドイツ
6 デュッセルドルフ見本市会場: 26万2,704㎡ デュッセルドルフ ドイツ
7 パリ・ノール見本市会場 :24万1,582㎡ パリ フランス
8 マコーミックプレイス:24万1,524㎡ シカゴ アメリカ
9 バレンシア見本市会場:23万0,602㎡ バレンシア スペイン
10 ポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場:22万8,211㎡ パリ フランス
11 クロッカス・エキスポ:22万6,399㎡ モスクワ ロシア
12 フィラ・デ・バルセロナ(グランビアセンター):20万5,000㎡ バルセロナ スペイン
13 ボローニャ・フィエラ:20万0,000㎡ ボローニャ イタリア
13 マドリード見本市会場:20万0,000㎡ マドリード スペイン
13 上海新国際博覧中心:20万0,000㎡ 上海 中国
16 The NEC:19万8,983㎡ バーミンガム イギリス
17 オレンジ カウンティー・コンベンションセンター:19万5,077㎡ オーランド アメリカ
18 武漢国際展示会場:19万0,000㎡ 武漢 中国
19 ラスベガス・コンベンションセンター:18万4,372㎡ ラスベガス アメリカ
20 新ミュンヘン国際見本市会場:18万0,000㎡ ミュンヘン ドイツ
21 中国出口商品交易会流花路展示館:17万0,000㎡ 広州 中国
22 ローマ見本市会場 :16万7,000㎡ ローマ イタリア
23 MCHメッセ・バーゼル: 16万2,000㎡ バーゼル スイス
24 メッセ・ベルリン見本市会場: 16万0,000㎡ ベルリン ドイツ
24 ニュルンベルク・メッセ: 16万0,000㎡ ニュルンベルク ドイツ
26 IMPACT: 13万7,000㎡ バンコク タイ
27 ヴェローナ見本市会場: 13万5,904㎡ ヴェローナ イタリア
28 ジョージア・ワールド・コングレスセンター: 13万0,052㎡ アトランタ アメリカ
29 フィエラ デル レヴァンテ:12万8,000㎡ バーリ イタリア
30 ブルノ見本市会場(Veletrhy):12万0,300㎡ ブルノ チェコ
出典:UFI2013
インテックス大阪は開場から30年以上が経過しており、施設の老朽化が進んでいます。また、最大の展示面積がある6号館が多層階4区画構成となっており、使い勝手の面で問題を抱えています。国際展示場の世界ランキングを見ても、インテックス大阪の規模の小ささが解ると思います。都市間競争の観点から考えるとインテックス大阪の全面的な刷新と規模の拡大、アクセス向上は必須と言えます。
私案1:現:インテックス大阪の北側敷地を活用し10〜15万㎡の展示場を整備する。
インテックス大阪の北側にはIBMのビルがありますが、これを市が取得し大ブロックとします。その上で大ブロックに最新鋭の新館を建設。新館の完成後、しばらくは新館にインテックス大阪の機能を移転、現在のインテックス大阪を解体の上、新しい展示場を建設するプランです。現在の2倍程度、展示面積10〜15万㎡の展示場が作れるのではないでしょうか。ただし、現在の場所とほぼ同じですのでニュートラム乗り換えの手間はそのまま残り、アクセス面の不満点は解消できません。

夢洲には広大な敷地があります。また、地下鉄中央線を伸ばせば、現在のニュートラム乗り換えの手間も省け、本町からダイレクトにアクセスする事が可能になります。推測ですが、現在大阪市で検討されているプランで最も有力な案だと思います。国際展示場世界ランキングを見ると、展示面積は最低20万、出来れば30万㎡以上が欲しい所です。ただ現在のインテックス大阪の稼働率から考えると、展示面積は15万〜20万程度になるかもしれません。
また、夢洲案の強みは鉄軌道系のインフラ整備に関するトンネル部の準備工事が終わっている事です。地下鉄中央線のコスモスクエア駅からIRの建設が想定される夢洲間には夢咲トンネルは既に開通しており鉄道を敷設する空間が用意されています。この為、都心と夢洲のIRを結ぶ鉄道の整備は比較的短期間で整備する事が可能です。大阪都心部を東西に貫く地下鉄中央線の都心側のターミナルである本町駅から夢洲新駅までは17分(1駅3分で計算)で、梅田から乗り換え時間を含めて27分(乗り換え7分で計算)程度で到達出来ると思います。
次は世界的なイベントを毎年開催出来るようなインフラ整備とソフト整備の番です。大規模な見本市、展示会、イベントは、これまた膨大な情報、人、モノが集まるので金を産みます。ハード面、展示場のインフラ整備は、インテックス大阪の新築移転、もしくは増築建替えで規模の拡大を図る事になります。
ソフト面は・・・。大阪で10万、20万、30万㎡の展示面積を埋める展示会を開く「意味」があるか?参加者にメリットがあるか?が問われます。現在では、せいぜい関西エリアの企業+西日本の一部企業向けに、東京からワンテンポ遅れて情報が得られる場所、といった位置づけで、大阪で無ければ得られない情報発進の場としては機能していません。その為、7万㎡の展示面積を埋めるのにも四苦八苦している状況です。それでは、どうすれば「大阪」の新しい巨大展示場を埋めるイベントが開催出来るのでしょうか。
たとえば東京で夏、冬に開催されるコミケ。3日間で50万人もの人が集まる一大イベントです。西日本でもコミケの様な大規模なイベントを企画、開催する事は出来ないでしょうか。コミケとは別のイベントとして、夏・冬に対して、春、秋に実施する西の巨大イベントが実施出来れば、それは物凄いインパクトがあると思います。
なぜ海外のローカルな都市(僕が無知なだけかもしれませんが)で20万、30万㎡の展示場が成り立つのでしょうか?
インテックス大阪の移転、廃止などの報道記事を読みつつ、色々な事を考えてしまいました。問題提示は簡単に出来ますが、代案を提示し、問題を解決するプランを僕は思いつけずにいます。








