京都芸大及び銅駝美工は、1880年(明治13年)に日本初の公立の絵画専門学校として創設された「京都府画学校」を起源とする日本で最も長い歴史を持つ芸術大学です。今日まで卒業生や教員等、京都芸大関係者における文化勲章受章者は18名,文化功労者は26名に及ぶなど我が国の文化芸術をけん引する大きな役割を果たしてきました。
現在のキャンパスは西京区の大枝沓掛、洛西ニュータウン西郊にあり、1980年にそれまで別々の地にあった美術学部と音楽学部を一つのキャンパスに移転統合し今日に至ります。しかし、前回の移転から40年以上が経過する中で、施設・整備の老朽化や狭隘化など各種の課題が顕在化し、これらの課題を解消するためJR京都駅東部の崇仁地域への全面移転が決まりました。
【出展元】
→京都市立芸術大学移転整備事業について
→京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転整備事業に係る実施設計について
キャンパス移転の経緯
京都芸大の移転予定地である崇仁地域は、京都駅東部エリアに位置する交通至便な立地ですが、住環境整備の事業が長期化し、駅前の好立地でありながら、人口減少や高齢化が進行し、未利用の空き地が目立つなど、活気のない状況が続いていました。
一方、京都芸大の現キャンパスは、老朽化やバリアフリー化・耐震性の面に課題があるほか、学生数の増加や作品の大型化に伴う狭あい化などの課題解決と、大学の更なる発展のため、大学から市に対して都心部への移転が要望されました。
市は、「文化を基軸としたまちづくり」を都市経営の理念としており、京都駅東部エリアや東南部エリアなどの周辺地域も含めた「文化芸術都市・京都」ならではの特色あるまちづくりの推進を目指していたことから、崇仁地域への京都芸大の移転が決定されました。
これまでの動き
2014年 1月 京都市から移転整備方針の発表
2015年 3月 基本構想策定
2017年 3月 基本計画策定
2018年 11月 基本設計発表
2020年 3月 実施設計発表
2021年 2月 工事請負契約締結(C地区)
4月 工事開始(C地区)
6月 工事請負契約締結(A・B地区)
7月 工事開始(A・B地区)
2023年 4月 銅駝美工移転開校、秋 京都芸大移転開校(予定)
移転整備事業の基本理念は、京都の玄関口・京都駅東部エリアに、文化芸術を創造し,国際的に様々な人が集い交流し、まちが賑わい世界に発信する「文化芸術都市・京都」の新たなシンボルゾーンを創生すること。京都芸大の教育研究成果の発信,市民や国内外からの来訪者との交流など、文化芸術の「創造・発信・交流」の拠点としての大学の機能を最大限に発揮し,地域の賑わいや新しい人の流れの創出に繋げる計画です。
また,京都芸大移転を見据えて、移転予定地の京都駅東部エリアや隣接する東南部エリアの周辺地域においては、将来のまちづくり活性化方針をそれぞれ策定し、芸術とまちが共生する取組を進めています。
完成予想パース
C敷地、北西側から見た様子です。高倉塩小路通から音楽ホール兼講堂のある3階へスムーズにアクセスできる大階段を設け、キャンパス内に人の流れをつくります。
C敷地、北東側から見た様子です。ギャラリー@KCUA(アクア)や芸術資料館を1階に配置し、塩小路通沿いにおいて 大学の芸術活動を発信すると共に、京都駅から東山へ至る動線の魅力向上を図ります。
C敷地中央、キャンパスを南北に貫く大通り(芸大通)や,中高層階の大きなテラスが芸術活動の場に なるとともに,芸大を訪れる人々と芸大生の交流の場となり,都市の中の大学の新しいあり 方を表現していきます。
B敷地、東側から見た様子です。高瀬川沿いは屋外スペースや高瀬川も活用しながら、柳原銀行記念資料館や地域と連携 した創作活動が行われるような親水空間が作られます。 また,制作中の作品や創作活動が外から見えるような開放的なデザインとなります。
A敷地、南東側から見た様子です。鴨川に沿って流れるように屋根をかけ、銅駝美工と京都芸大を一体感のあるデザインとし ます。またキャンパスと鴨川がつながるようにデザインし、自然に親しみながら創作活動 ができるようにします。
A敷地、北東側から見た様子です。全国屈指の美術専門高校である「銅駝美術工芸高校」を移転。鴨川に面し京都の四季折々の風情を感じることができる恵まれた環境です。
計画概要
地区 | 京都駅側の地区 | 中間の地区 | 鴨川沿いの地区 | |
(名称) | (C地区) | (B地区) | (A地区) | |
種別 | 京都芸大 | 京都芸大 | 京都芸大 | 銅駝美工 |
敷地面積(㎡) | 約15,900 | 約6,000 | 約12,700 | |
延床面積(㎡) | 約46,500 | 約9,500 | 約8,900 | 約9,300 |
合計:約74,200 | ||||
階数 | 地上7階 | 地上5階 | 地上3階 | 地上4階 |
地下1階 | ||||
構造 | 鉄骨鉄筋 | 鉄骨鉄筋 | 鉄骨鉄筋 | 鉄筋 |
コンクリート造 | コンクリート造 | コンクリート造 | コンクリート造 | |
一部鉄骨造 | 一部鉄骨造 | 一部鉄骨造 | 一部鉄骨造 | |
(基礎免震) | ||||
主な施設 | 音楽ホール兼講堂 | 食堂 | グラウンド 体育館 |
|
配置例 | ギャラリー@KCUA | |||
図書館・芸術資料館 |
2023年2月の様子
A地区
現地の様子です。前回の撮影が2022年11月だったので、約3ヶ月振りの取材です。
今回もA、B、C地区を順番に見て行きます。まずは一番東側に位置するA地区の様子です。ここは「銅駝美術工芸高校」になります。
北東側から見た様子です。C敷地の建物は完成状態になりました。
北西側から見た様子です。新築建物は、既存の「下京地域体育館」との文脈を考えたデザインに仕上がっており違和感がありません。
こちらはC敷地と道路を挟んで西側にある、B敷地を結ぶ「連絡通路」の様子です。
B地区
続いて3地区の真ん中に位置するB地区の様子です。B地区には、デザイン、染織、総合基礎、食堂、構想設計、版画などの機能が置かれます。
北西西側から見た様子です。
C地区
最後は一番京都駅側に位置する「C地区」の様子です。敷地面積、建物の延べ床面積が最も大きくなります。
新ビルは、高倉通り側に「音楽関連」、河原町通り側に「図書館、資料館、Gallery、事務局等」が置かれます。
C敷地を北西側から見た様子です。
C敷地を南西側から見た様子です。
c敷地東側の棟は足場が取り払われ外装が現れていました。
最後は引き気味でみた全体の様子です。
2022年11月の様子
A地区
現地の様子です。前回の撮影が2022年4月だったので、約7ヶ月振りの取材です。
今回もA、B、C地区を順番に見て行きましょう!まずは一番東側に位置するA地区の様子です。ここは「銅駝美術工芸高校」になります。北東側から見た様子です。C敷地の建物は完成状態に近づきました。なるほど、新キャンパスのデザイン・テイストはこんな感じになるんですね。
北西側から見た様子です。新築建物は、既存の「下京地域体育館」との文脈を考えたデザインに仕上がっており違和感がありませんね。
こちらはC敷地と道路を挟んで西側にある、B敷地を結ぶ「連絡通路」の様子です。
B地区
続いて3地区の真ん中に位置するB地区の様子です。B地区には、デザイン、染織、総合基礎、食堂、構想設計、版画などの機能が置かれます。
北西西側から見た様子です。
C地区
最後は一番京都駅側に位置する「C地区」の様子です。敷地面積、建物の延べ床面積が最も大きくなります。
新ビルは、高倉通り側に「音楽関連」、河原町通り側に「図書館、資料館、Gallery、事務局等」が置かれます。
最後はC敷地を北西側から見た様子です。今回の取材では、各建物の鉄骨建方がかなり進んでおり、新キャンパスの規模の大きさを実感する事が出来ました。
人の流れができるかなあ。この界隈の「よどんだ」イメージが強すぎて。正直ピント来ないですね。
デジタル関係だけでなく、伝統工芸を含むクリエーションは成長産業と思います。個人でも作品を世界中に売りさばける時代。投機的超高価格が付くことも。京都駅前に総合クリエーションセンターができるのは象徴的です。元祖職人の街京都から、ハイテク、ゲーム、アニメに続く世界的企業の輩出を期待します。