
旧奈良監獄(奈良少年刑務所)は1908年(明治41年)に造られた「五大監獄」の一つで、「五大監獄」(千葉、金沢、奈良、諫早、鹿児島)で唯一、現存する貴重な近代建築物です。赤れんが造りと看守所から放射状に延びる収容棟が特徴で、2017年02月に国の重要文化財に指定されました。
旧奈良監獄は、先日「日本初の監獄ホテルが誕生!」のトッピクスで話題を集めました。法務省は運営権を8月にホテル運営のソラーレホテルズアンドリゾーツ、清水建設など8社のコンソーシアムに売却する予定で、今後はホテルを中心とした集客施設としてリノベーションされる事が決まっています。

そんな旧奈良監獄ですが、改装前の姿を見学出来る最後のチャンスとなる「一般公開」が2017年07月15,16日に行われました。15日は抽選に当選された方のみの見学会で一般参加は不可。予約無しで見られる一般見学会は16日の13時〜17時半の予定でしたが、僕が並びに行った10時半頃には既に50人ほどの行列ができており、その後もドンドン列が伸びていった為予定よりも1時間前倒しの12時開場となりました。現地では大阪ビル景の しょーけん氏(著書:大阪ビル景)と合流し見学開始。

ロマネスク調様式の表門(正門)の様子です。

表門を内側から見た様子です。

表門の内側にはこんなシンボリックな照明器具がありました。

表門を真正面には2階建ての庁舎があります。この庁舎には処遇本部、講堂、中央監守所などがあり、まさに旧奈良監獄の中心となる建物です。

庁舎のアップです。札幌の赤レンガ庁舎もビックリの立派な近代建築物が奈良のこんな所にあったとは・・・。

庁舎の中央部分の塔はまるで教会の様ですね。
旧奈良監獄の建物配置を説明する為に、GoogleMAPを見ながらご説明します。この写真の右手中央に「表門」があります。先ほどの2階建ての庁舎は放射状に5つの庁舎がならんでいる中心部分に位置しています。この様な中央監視所を中心に放射状に寮が並ぶ半スター型の配置を「五翼放射状舎房」と言うそうです。

こちらは第五寮の奥にある、第1,第2実習所が入る建物から見た、講堂方面の様子でえす。て合えに見えるのは本館入浴所、奥の煙突はボイラー室の物です。写真右手の低層の建物は炊場です。

第五寮のアップです。こりゃ凄いわ・・・。

赤れんがと屋根瓦。まさに和洋折衷、明治期を思わせる凄いデザインですね。この1枚が取れただけで「来てよかった!」と思えるほどの素晴らしさでした。

南西側から見た第五寮の様子です。写真左下の白色の細い鉄棒の様な物は収監されている人が布団を干す場所との事です。

建物の外観を見て回ると、他では見たことが無い作りが随所に見られました。ここは拘置監の中心部。赤れんが+屋根瓦+法輪を足して2で割った様ななんとも言えないデザインになっています。赤れんがの壁面の上に屋根瓦と鬼瓦。凄すぎでしょ!

建物外観の美しさに目を奪われていると、ふと「ここが監獄だ」という事に気付かされるシーンに出くわしました。それは、パイプ、ポールなど、よじ登れる、降りられそうなありとあらゆる物が有刺鉄線でグルグル巻にされている事です。

ピカピカの金属配管に真新しい有刺鉄線。ここが、ついこの間まで生きた監獄だった事を目の当たりにした瞬間です。

拘置監の外壁には、独房の番号を示した場号が書かれていました。

駆け足でご紹介して来た旧奈良監獄の外観、いかがだったでしょうか?和洋折衷の凄い外観も凄かったですが、これだけの規模が、ほぼ当時のまま現存している事にも驚きました。本当に凄かったです。
次回はいよいよ、建物内部をご紹介して行きたいと思いますが、こちらも見どころ満載でした。乞うご期待!
					
