和歌山県は、勧誘を目指している和歌山IRのRFP(運営事業者公募)の書類審査に2社が応じたと発表しました。応募したのは、カナダのIR投資会社「クレアベスト・グループ」の日本法人「クレアベストニームベンチャーズ」と、マカオやロシアなどでカジノ関連事業を運営している「サンシティグループ」の日本法人「サンシティグループホールディングスジャパン」の2社です。
当初参入の意向を示していたフランス「バリエール」と、フィリピン「ブルームベリーリゾーツ」からは共に応募しませんでした。
県は5月中旬を目処に参加資格審査の結果を公表する予定で、審査を通過した事業者は8月までに事業計画を提案し、11月中旬に県が、優先権を持つ事業者を決定する方針です。
【出展元】
→「和歌山県特定複合観光施設設置運営事業」の事業者公募における参加資格審査書類の提出者について
クレアベストは投資会社で実現性に疑問符、サンシティは正真正銘の中国企業
和歌山IRに応募した2社のプロフィールを見て行きます。1社目は「クレアベスト・グループ」。本拠地はカナダ・オンタリオ、時価総額は7.89億ドル・運営中の主要施設はありません。
日本版IRの開発希望地は北海道でしたが、北海道がIR勧誘から撤退したため、和歌山にターゲットを急遽変更した模様。投資予定額の上限は7億ドル以下と推測されており、他のIRオペレータに比べ見劣りします。クレアベストは、IRの直接事業者ではなく投資家としての参入を目論んでいると思われます。
2社目は「サンシティ・グループ（Suncity Group）」。マカオ最大のジャンケットオペレーターで、時価総額：13億米ドル、主要施設はベトマム：ホイアナ、ロシア：ウラジオストク、フィリピン：マニラなどです。時潤沢な手元資産がありジャンケット事業者として世界最高レベルの巨大なVIPデータベースを有しています。
ジャンケットオペレーターとは、カジノに対して顧客を紹介することで、そこから産まれる収益の一部をキックバックとして獲得する事業者で、IR事業者に向けてＶＩＰ送客・クレジットおよび回収を行い手数料収入を得る業種です。サンシティ・グループは、ジャンケットから、ＩＲ事業者（施設経営・エクイティ所有）への進化を目指しており、和歌山IRへの参入に意欲を示しています。潤沢な資金、十分なノウハウ、最高レベルのVIP客の送客システムを持つ企業ですが、正真正銘の中国企業である事が最大の懸念点となります。
日本版IRに名乗りを上げているのIRオペレーターの中でトップは、MGMリゾーツ、ラスベガス・サンズ、ギャラクシーエンターテインメント、ゲンティン・シンガポールの4社です。和歌山IRに名乗りを上げた「サンシティグループ」は、メルコやウィン・リゾーツなどと同等の2番手グループで実力は十分あります。しかし、正真正銘の中国企業に国がIR事業者の免許を与えるか？疑問符が付きます。クレアベストは元々が投資会社なので、他のIRオペレータとアライアンスを組むと思われ、本当に単独事業者として参入するかは微妙な所です。
日本版IRの勧誘レースはトップの大阪が当確で、残り2カ所を「横浜、長崎、和歌山」が争う展開となっています。今回、和歌山IRに応募した事業者を見ると、和歌山県が選定する業者は実現性から考えるとサンシティになりそうです。しかし、サンシティは正真正銘の中国企業、かつジャンケット事業者なので、ここがネックになると思います。和歌山のライバルである「横浜、長崎」の何れかが頓挫しない限り、和歌山IRの実現性は低いと個人的には予想しています。
大阪はたしかに有力ですが、応募がＭＧＭしかなく、コロナでＭＧＭ有事の可能性もなきにしもあらずかもしれません。そうなると再公募の可能性もありえるかもしれません。まあ、大阪は再公募してもＩＲ業者は手を挙げるでしょうけどね。横浜は元々地元の反対が根強いため、コロナの現況化では事業者公募なんてとてもできないでしょう。このまま長引けば見送りの可能性もありえるかもしれません。長崎は１番近い国際空港が福岡空港で立地が悪いし、興味を示しているＩＲ業者の実績が日本が求めるＩＲの規模に全然達していません。この辺が課題かと。和歌山はサンシティは事業者の実績はありですが、おっしゃるとおり中国企業ですからね。大阪が近くにあるというのも気になります。大阪が有利とはいえ、結局どこも決定打がなさそう。ましてコロナの現況化ではほんとに先がみえないですよね。個人的な気持ちとしては大阪、和歌山に決まって欲しいなとは思うのですが。。。