三菱倉庫は11月27日、大阪府豊中市が進める「旧庄内さくら学園中学校跡地活用事業」において、優先交渉権者として選定されたと発表しました。公募型プロポーザルには5者が応募し、内容審査に進んだ3者の中から、三菱倉庫が最も高い評価を得ました。
本事業は、豊中市南部の地域再生を目的として、跡地にスポーツ振興施設、子ども関連施設、生活利便施設(商業・医療等)を整備し、地域の新たな交流拠点を形成するものです。市が策定した「南部地域活性化構想」(2017年度)、「南部地域活性化基本計画」(2019年度)、「学校跡地個別活用計画」(2020年度・2023年度改定)などに基づく位置づけとなっています。
事業の背景と市の狙い
豊中市南部では、北部とのイメージ格差や、少子化による学校再編への対応など、複数の課題が指摘されてきました。とりわけ旧校舎の跡地は、地域の象徴性が高い一方で、老朽化による解体費用を含め、市にとって財政的な負担となる側面もあります。
今回、市は公民連携による整備方式を採用し、解体費約11億円を事業者側が負担するほか、年間約5121万円の地代収入も得られる点を明らかにしました。財政負担を抑制しながら地域のにぎわいを創出できる点は、今回の選定における大きな柱となっています。
また、市は本事業を「南部地域のランドマーク」として位置づけ、スポーツ、子育て支援、生活利便施設を組み合わせることで、子育て世帯の定着促進や地域イメージの向上を狙っています。
三菱倉庫が示す事業の方向性
三菱倉庫は物流事業に加え、近年は地域共生型の不動産開発を積極的に進めています。本事業でも、総合型スポーツクラブや食品スーパー、医療サービス、地域交流スペースを組み合わせ、地域の日常生活を支える「生活インフラ型の複合開発」を提示しました。
運営においては、ルネサンス(スポーツ)、イチケン(建設)、シアターワークショップ(こども・芸術関連企画)、BEACH TOWN(スポーツ関連)、四国サンメンテナンス(施設管理)など、複数の事業者が参画する体制を採用しています。
施設計画の概要

出展:豊中市
| 区分 | 棟名・用途 | 延床面積 | 主な機能 | 駐車場 |
|---|---|---|---|---|
| A棟 | 総合型スポーツクラブ | 約15,325㎡ | プール、アリーナ、ジム、スタジオ 等 | 約100台 |
| B棟 | 商業棟(食品スーパー中心) | 約5,890㎡ | 食品スーパー、飲食・物販店舗 | 約219台 |
| C棟 | 商業棟(医療・サービス) | 約3,782㎡ | クリニック、ドラッグストア、サービス店舗 | 約145台 |
| D棟 | 屋内スタジオ・地域交流スペース | 約1,741㎡ | 音楽・ワークショップ、地域イベント | ― |
| 中央広場 | オープンスペース | 約2,500㎡ | 野外イベント、ピクニック、地域交流 | ― |
芝生広場は野田中央公園と連続させ、日常の憩いからイベント利用まで幅広い活用を想定しています。
事業スキームとパートナー体制
出展:豊中市
三菱倉庫を事業主体とし、建設や運営は専門事業者が担う分業型の体制を採用しています。
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建設:イチケン
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スポーツ施設運営:ルネサンス
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子ども・芸術企画:シアターワークショップ
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スポーツプログラム:BEACH TOWN
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施設管理:四国サンメンテナンス
複数領域を横断することで、運営リスクを分散しつつ、地域の需要に柔軟に対応する仕組みとなっています。
スケジュール
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2025年度内:定期借地契約を締結
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2026年~2027年:解体・造成および新築工事
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2028年秋:開業予定
まとめ
出展:豊中市
旧庄内さくら学園中学校跡地の再開発は、豊中市にとって南部地域の活性化に直結する重要事業です。市は財政負担を抑えつつ、スポーツ・子育て・商業・医療を組み合わせた複合施設を整備し、地域の魅力向上と住民サービスの充実をめざしています。
一方、三菱倉庫にとっては、地域共生型の不動産開発や公民連携の実績構築、長期安定の生活インフラ型アセットの獲得につながる事業です。両者の狙いが一致したことで、南部地域に新たな交流拠点が形成され、2028年秋の開業に向けてプロジェクトは本格的に進む見込みです。
出典元
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豊中市「旧豊中市立庄内さくら学園中学校跡地活用事業 優先交渉権者の選定結果」
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三菱倉庫「優先交渉権者 提案イメージ図(PDF)」
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豊中市公式発表(2025年11月26日 公募型プロポーザル選定結果)





