中之島パビリオンフェスティバル2025実行委員会は、2025年10月31日(金)から11月9日(日)にかけて、秋フェスティバルとして「中之島 EAST よりみちプロジェクト」を開催すると発表しました!
このプロジェクトは、中之島の東端部に位置する「ばらぞの橋」周辺を対象に、公園と河川空間を一体的に活用する社会実験です。都市空間における“よりみち”の価値を問い直すことで、水都大阪としての都市ブランドを「実体のある体験」へと変換する試みとなっています。国土交通省の「まちなかウォーカブル推進事業」にも採択されており、都市再生と観光政策の交差点として注目されます。
「中之島の端部」に滞在価値を実装する

ばらぞの橋周辺は、中之島の主要動線から外れた“端部”に位置し、従来は来訪者の滞在や消費を生みにくいエリアでした。今回のプロジェクトでは、この空間を「通過点」から「立ち寄る場所」へと転換し、歩いて楽しい・夜も過ごせる都市空間としてのポテンシャルを可視化します。
実施概要と主なコンテンツ
| プログラム | 概要 | 実施期間 | 時間帯 |
|---|---|---|---|
| 川床(かわゆか) | 河川敷に滞在空間を新設。テイクアウト飲食と連携し、ライトアップ演出も実施 | 10/31~11/9 | 10:00〜21:00 |
| ウォーカブルスポット | Wi-Fi・充電機能付きトレーラーを活用した休憩拠点を設置 | 10/31~11/3 | 10:00〜21:00 |
| マルシェ | 園芸や飲食をテーマとした店舗が並ぶ仮設市場 | 10/31~11/9 | 10:00〜19:00 |
| 光るファニチャー | 夜間の回遊性向上を目的に、照明付き家具で景観演出 | 10/31~11/9 | 17:00〜21:00 |
すべて中之島公園のばらぞの橋北東部にて実施され、滞在・移動・消費が結びつく空間構成が試みられます。
プロジェクトの意義:水辺空間を都市政策として実装する
「EASTよりみちプロジェクト」は、この移行期における具体的な“体験の場”として機能します。
| 視点 | 目的 |
|---|---|
| 空間活用 | 公園・護岸・文化施設の一体的活用による面的整備の検証 |
| 滞在と回遊 | 通過点ではなく「立ち寄る場所」としての都市構造を構築 |
| ナイトタイム経済 | 夜間景観と照明演出による夜の消費機会の創出 |
| 政策データ化 | 滞在・移動・消費行動を実測し、次期都市施策にフィードバック |
水都大阪の再評価、スローガンから実装へ!
「水都大阪」は長らく行政スローガンとして掲げられてきましたが、生活空間・ライフスタイル・観光導線との接続が乏しく、実感としての定着は まだ限定的な状況です。水辺との連携不足、高速道路・護岸による視認性の低下、そして都市政策と空間デザインの断絶が、体験価値としての“水都”を曖昧なものにしてきた背景があります。
しかし近年、中之島を中心に文化・景観・基盤整備が連動する動きが進みつつあります。
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中之島美術館、こども本の森、中之島フェスティバルシティなどの施設整備
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中之島バンクス、LOVE CENTRAL、ほたるまちなど民間の水辺活用
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八軒家浜の護岸再整備や船着場の機能強化、中之島通の歩行者空間化
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道頓堀川の遊歩道整備、戎橋の架替えなど市街地との面的接続
これらは10年以上にわたり積み重ねられてきた成果であり、近年ではイベント活用も含めて都市景観や体験に反映され始めています。
「水都大阪」は、概念や標語の段階を超え、“都市空間としてのブランド化”のフェーズに入りつつあるといえます。ただし、観光導線との接続、民間投資の継続、生活動線への浸透といった課題は、依然として残されており、いまはまさに「始まっているが、まだ途中」というプロセスにあります。
まとめ:都市再生の“現在地”を体験化する
中之島EASTよりみちプロジェクトは、「空間に機能を足す」のではなく、「空間に体験を実装する」都市政策型フェスティバルです。大阪が掲げてきた「水都」という構想を、現実の公園・河川・文化・照明・消費のなかで試し、市民や観光客にとって意味のあるものとして再定義できるかが問われます。中之島の“よりみち”が、「水都大阪」というブランドにリアリティを与えるきっかけとなるかどうか。今回の取り組みは、延々と続く水都ブランド構築に向けた活動の一つですが、こうした積み重ねが、やがて大きく花開くことを期待しています。
出展元
・中之島EASTよりみちプロジェクトイベント水辺関係者事業・中之島パビリオンフェスティバル2025 秋フェスティバル 「中之島 EAST よりみちプロジェクト」の開催について





