2026年初夏、栄エリアに新たな商業拠点
J.フロント リテイリング、大丸松坂屋百貨店、パルコ、J.フロント都市開発は、名古屋市中区錦三丁目で建設中の複合ビル「ザ・ランドマーク名古屋栄」内に、新たな商業施設「HAERA(ハエラ)」を2026年初夏に開業すると発表しました!
地下2階から地上4階までの延床面積約18,776㎡のフロアに、アパレル・ライフスタイル・飲食など約65店舗を集積。松坂屋名古屋店や名古屋PARCO、BINO栄などグループ施設と連携し、エリア全体の回遊性と来街目的の多様化を図ります。
「HAERA」の名称とロゴデザイン
施設名「HAERA」は、「栄える(はえる)」と「era(時代)」を組み合わせた造語です。“次の栄えるをつくる”という意味を持ち、栄地区の新しい成長と時代変化の起点を表しています。ロゴはソウルを拠点とするデザインスタジオ Ordinary People が制作。漢字の「栄」をモチーフに、伝統的な造形とモダンデザインを融合し、都市の進化と継承を可視化しています。
コンセプト「PUBLIC MUSEUM」──商業と文化の融合
HAERAの基本コンセプトは「PUBLIC MUSEUM(パブリック・ミュージアム)」。ファッション、アート、食、ライフスタイルなど、さまざまな文化要素を組み合わせ、来訪者が多面的な体験を得られる空間を目指します。
内装設計は、建築設計事務所 NOIZ(豊田啓介・蔡佳萱・酒井康介)が担当。地下から地上へとつながる動線全体を「展示空間」と捉え、歩行体験そのものをデザインに組み込んでいます。各階の特徴を明確にしながらも、全体として一貫した世界観を構築する設計手法が採用されています。
世界ブランドと新しい都市カルチャーを集約
久屋大通・大津通に面した立地には、世界的ラグジュアリーブランドの旗艦店をはじめ、ファッション・スイーツ・レストランなど多様な店舗が出店予定です。高価格帯から日常使いまでを幅広くカバーし、消費の場に加えて“滞在と体験”の価値を高めます。HAERAは、来訪者が商品を購入するだけでなく、ブランド・アート・空間の関係性から新しい刺激を得られる構成を採用しています。
栄を「感性を中心とした都市モデル」として再構築

名古屋市の都市構造は、近年、名古屋駅(名駅)を中心とした再開発が進み、「資本集積型」の街づくりが加速しています。一方、栄エリアは歴史的に文化やファッションを発信してきた地域であり、今後は“滞在と体験”を軸とした「文化循環型」エリアへの転換が求められています。J.フロントグループは、栄を感性を中心とした都市モデルとして再構築し、グループ全体の事業領域を「モノを売る」から「街の価値を編集する」方向へ拡張しています。
街の価値と人の感性を再び結びつける
HAERAの目的は、経済効果の拡大だけでなく、街の価値と人の感じ方を再び結びつけることです。現代の都市は、効率や機能を重視するあまり、来訪者の感覚や体験との接点が薄れています。
HAERAは、SNSで断片的に拡散される“映える体験”をリアルな「体験の流れ」として再構築し、歩くことで新しい発見を得られる空間を提供します。また、地下2階から地上4階までの中層ゾーンを立体的に編集し、地上・地下・通路を有機的につなげることで、都市の回遊性と連続性を高めます。
さらに、アート・ファッション・食といった異なる領域を同一文脈で体験できるようにすることで、商業と文化が共に発展する新しい経済循環を生み出します。HAERAは、こうした取り組みを通じて、買い物だけでなく学びと発見を促す都市型商業施設を目指しています。
「ザ・ランドマーク名古屋栄」との一体運営

HAERAが入居する「ザ・ランドマーク名古屋栄」は、地上41階・地下4階、高さ約211mの超高層複合ビルです。延床面積は約109,700㎡。事業主は三菱地所、J.フロント都市開発、日本郵政不動産、明治安田生命、中日新聞社の5社で、2026年3月竣工予定です。
ホテル、オフィス、映画館、住宅など多機能を備える複合構造の中で、低層部に位置するHAERAは、上層階の機能と地上の商業・文化をつなぐ役割を担います。この一体的な構成により、滞在時間の延伸と都市空間全体の付加価値向上を実現します。
まとめ:商業の再定義と都市デザインの拡張
HAERAは、商業施設を単なる販売拠点ではなく、街の価値を編集し、文化と経済を同時に動かすプラットフォームとして再定義しようとする試みです。名古屋・栄という歴史ある中心地で、資本と感性の両面から都市を再構築する取り組みは、今後の都心再編のモデルケースになる可能性があります。
実際、J.フロントはこれまで、大丸心斎橋店および大丸神戸店を核とした旧居留地エリアで、エリア・マネジメントによる都市再編集を進め、着実に実績を上げてきました。これらの経験を踏まえ、同社グループは名古屋・栄においても、松坂屋本店を起点に新施設「HAERA」を加え、エリア全体を一体として再編集する可能性があります。つまり、HAERAの開業は単なる新商業施設の誕生ではなく、J.フロントが展開してきた「都市編集型マネジメント」の第三極となるプロジェクトともいえます。
J.フロントグループは「売る」から「つなぐ」へ。HAERAは、その転換を具体的に示すプロジェクトとして位置づけられています。
出典:
J.フロントリテイリング株式会社ほか「2026年初夏、名古屋 栄に商業施設『HAERA』開業」(2025年10月14日発表)
報道各社掲載記事(日本経済新聞、中日新聞、名古屋テレビほか)







