阪急電鉄は2025年11月26日、大阪梅田駅において、2026年1月から大規模リニューアル工事を開始すると発表しました!今回の工事は、阪急阪神ホールディングスが掲げる都市構想「梅田ビジョン」に基づき、駅と周辺エリアの回遊性向上や利便性強化を進めるものです。特に「芝田1丁目計画」を念頭に置いた再編プロジェクトの一環として、駅構造そのものの見直しが始まります。
ホームの“北側14m移動”で駅設備を再構成
リニューアル工事では、3階ホームにおける列車停止位置を北側(十三方面)へ約14m移動します。神戸線は2026年1月、宝塚線は同年春、京都線は同年秋に実施される予定です。
車両1両は約19mであり、14mの移動は大幅なホーム形状の変更ではありませんが、このスペースを活用することで、改札機の再配置や案内カウンター、多機能トイレ、授乳室、カームダウンスペースなどを順次整備し、コンコースのゆとりを確保する方針です。
大阪梅田駅の主要構造物への本格的な改修は、1973年の9線10面ターミナル完成以来、初めてとなります。
バリアフリー対応と安全性向上
茶屋町口改札では、2026年春からバリアフリー化に向けたエレベーター設置工事が始まります。また、2031年頃からは全ホームに可動式ホーム柵を順次導入する計画で、ホーム床面の改良とあわせて安全性を高めていきます。
国際交流都市としての機能向上を視野に、案内設備の強化や多言語対応なども推進され、国内外からの利用者が利用しやすい環境づくりを加速させます。
芝田1丁目計画と連動する「梅田ビジョン」
阪急阪神ホールディングスは2022年、「梅田ビジョン」を策定し、大阪・梅田を「世界と関西をつなぐ国際交流拠点」として発展させる方針を示しました。その中核プロジェクトが「芝田1丁目計画」です。
本計画には、
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大阪新阪急ホテル跡地の再開発
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阪急ターミナルビルの建て替え
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阪急三番街の全面改装
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大阪梅田駅リニューアル
が含まれており、鉄道ターミナルと商業・業務・宿泊機能を一体化した都市拠点の形成を目指しています。
ホーム移動は「将来の駅再編」の布石との見方も
今回の列車停止位置の移動によって、ホーム南側に一定の空間が生まれます。阪急梅田駅は1973年に高架9線10ホームを持つ、一日120万人の乗降に対応できる“超近代ターミナル駅”として設計されました。しかし、現在の乗降客数は約50万人規模となっており、当初の想定からは大きく乖離しています。さらに、今後は「なにわ筋連絡線」の開業により、利用者が分散する可能性も指摘されています。
また、利用客減少とホームドア設置を踏まえ、阪急電車の10両編成は2025年2月をもって運行を終了しました。このため、10両対応を前提とした現行ホームの長さは、今後の需要に対して過剰になっている状況です。
阪急は現段階で減築には言及していませんが、14mの停止位置移動はターミナルビル建て替え後の「新ビルの開発用地」を生み出す布石と考えられ、再開発に向けた準備作業と捉えられる動きと言えます。
阪急の顔、巨大ターミナルが新たな段階へ
大阪梅田駅は1910年の開業以来、時代ごとの需要に合わせて拡張を重ね、9線10面の巨大ターミナルとして発展してきました。今後は輸送力一辺倒の駅から、都市空間と連続した“交流の拠点”として、時代に合わせて進化していくことが求められています。
阪急は今回のリニューアルを「居心地の良さ」「回遊性」「阪急らしさの継承と進化」という3つの軸で位置づけており、芝田1丁目計画の本格化が予想される2030年代に向けて、駅の再編と都市機能の高度化が加速していく見込みです。
阪急梅田駅の改造は、梅田エリア全体の将来像を再構築する大型プロジェクトの第一歩となります。工事期間中は動線変更などが発生しますが、阪急は「すべての利用者にとって快適な駅づくり」を掲げ、徐々に新しい梅田の姿を具体化していく方針です。
【出展元】
→「梅田ビジョン」にもとづく「大阪梅田駅の将来のありたい姿」を策定 「芝田1丁目計画」に向けて2026年1月よりリニューアル工事に着手






