Mastercard、三菱総合研究所、関西観光本部は、2025年4月13日から10月13日まで開催された大阪・関西万博期間における「大阪・関西万博期間における訪日外国人旅行者の消費行動分析」を共同で作成しました。
本レポートは、Mastercardのネットワーク内で集約・匿名化された決済データを用い、万博開催がインバウンド消費に与えた影響を、関西だけでなく全国規模で定量的に整理したものです。
大阪・関西万博は日本国政府が主催する国家イベントとして開催されましたが、報道の文脈では「大阪のイベント」として受け止められる場面もありました。今回のレポートは、そうした印象とは別に、実際の消費データから万博の影響範囲を検証した点に特徴があります。
万博期間中の訪日外国人消費の全体像
万博開催期間中の訪日外国人旅行者数は2,150万人でした。全国での消費額は4兆6,606億円となり、前年同期比で5,797億円(14%)増となりました。
このうち、万博来場者(156万人)による消費額は6,085億円に達しています。万博来場者による消費額は、訪日外国人消費全体の増加分を上回っており、万博来場がインバウンド消費拡大において大きな役割を果たしていたことが分かります。
消費は関西にとどまらず全国へ
万博来場者による関西地域での消費額は2,703億円でした。一方で、6,085億円のうち半分以上は関西以外で消費されており、万博を目的に来日した訪日外国人旅行者が、他地域にも足を伸ばしていたことが示されています。関西以外では特に東京都が万博の恩恵を受けており、全体の23.5%の消費額となりました。この結果から、万博の経済効果は開催地周辺に限定されるものではなく、全国に波及していたことがデータで確認されました。
消費単価と高付加価値旅行者の動き
訪日外国人旅行者全体の1人当たり消費額は、全国平均で21.7万円でした。これに対し、万博来場者に限ると、1人当たり消費額は39.0万円となっています。
また、日本国内で1人当たりの消費額が100万円以上となる高付加価値旅行者の消費額も拡大しました。全国では8,902億円(前年同期比13%増)、関西では1,735億円(前年同期比30%増)となり、万博期間中は消費の「量」だけでなく「質」も押し上げられていたことが分かります。
関西・大阪で見られた波及の広がり
関西2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)における訪日外国人旅行者の消費額は9,461億円で、前年同期比26%増となりました。大阪府以外の地域でも、滋賀県や京都南部などで大幅な伸びが確認されています。
大阪市内では、消費額が5,037億円(前年同期比28%増)となりました。特に、万博会場を含むベイエリアでは42%増と高い伸びを示し、会場と都心を結ぶ大阪メトロ中央線沿線では65%増となるなど、万博動線に沿った消費の拡大が確認されました。
データが示した万博の位置づけ
今回のレポートが示したのは、万博が開催地だけのイベントにとどまらず、訪日外国人消費という観点では全国規模で影響を及ぼしていたという事実です。
万博はローカルイベントではありませんでした。少なくともインバウンド消費の面では、全国に効果が波及した国家イベントだったことが、データによって確認できたといえます。万博の評価を巡ってはさまざまな意見がありますが、本レポートは、経済的側面について議論するための共通の事実として、重要な材料を提供するものとなっています。





