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大阪メトロ、万博効果で過去最高益 !4〜6月期 直接効果70億円、都市開発や広告にも波及


大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)が8日に発表した2025年4〜6月期(2026年3月期第1四半期)連結決算は、営業収益が654億円と前年同期比34.9%増加しました。営業利益は169億円(同34.8%増)、最終利益は113億円(同27.8%増)で、いずれも四半期として過去最高を更新しました。4月13日に開幕した大阪・関西万博に伴う鉄道・バスの利用増や、都市開発、不動産販売、広告収入の伸びが全体を押し上げました。

大阪メトロ 2025年度第1四半期(2025年4〜6月)決算概要


項目 数値・内容 増減率/差額(前年同期比) 出典
営業収益 654億円 +169億円(+34.9%) 大阪メトロ決算資料
営業利益 169億円 +44億円(+34.8%) 同上
最終利益 113億円 +25億円(+27.8%) 同上
乗車人員 2億6,059万人 +2,639万人(+11.3%) 同上
鉄道運輸収入 +74億円(+18.6%) 同上
バス運輸収入 +12億円(+47.9%) 同上
交通事業営業収益 543億円 +94億円(+21.0%) 同上
万博関連直接効果 約70億円 日本経済新聞
都市開発事業 営業収益 79.3億円 +69.6億円(+719.3%) 大阪メトロ決算資料
都市開発事業 営業利益 16.5億円 +12.9億円(+360.1%) 同上
広告事業 営業収益 13.9億円 +4.5億円(+48.6%) 同上
通期業績予想(営業収益) 2,360億円 据え置き 同上
通期業績予想(最終利益) 294億円 据え置き 同上

万博アクセスが業績を底上げ、設備投資も加速

万博開催に伴う鉄道・バス輸送の増加は、短期的な業績押上げの柱となりました。第1四半期の乗車人員は2億6,059万人で前年同期比2,639万人(11.3%)増となり、鉄道運輸収入は74億円(18.6%増)、バス運輸収入は12億円(47.9%増)となりました。交通事業全体の営業収益は543億円で、前年同期から94億円(21.0%)増加しました。日本経済新聞によりますと、このうち万博関連輸送による直接的な増収効果は約70億円とされています。中央線夢洲駅への直通輸送や会場外シャトルバスの運行が中心で、期間中は中央線をピーク時2分30秒間隔で運行しました。新型車両400系の全編成投入や駅の大規模改修、警備強化など、安全・快適性向上策も進められました。

輸送以外にも波及する万博効果 都市開発・広告が大幅伸長

万博効果は輸送分野にとどまらず、他の事業にも広がりました。都市開発事業では、新築分譲マンション「メトライズ森ノ宮中央」の全戸引渡しや、前年度に取得したオフィスビル・賃貸マンションの賃料収入増が寄与し、営業収益は79.3億円と前年同期比7倍以上に拡大しました。営業利益も16.5億円(+360.1%)となりました。広告事業では、夢洲駅の大型広告「夢洲ドリームゲートシート」の掲出や、欧米豪の旅行者向け観光サービス「Osaka JOINER」の拡充が奏功し、営業収益は13.9億円(+48.6%)となりました。

これらの間接効果を加味すると、直接効果約70億円に加えて、都市開発や広告の増収分を合わせ、総額で100億円を超える押上げとなった可能性があります。輸送、住宅販売、賃貸、広告、観光消費が同時に活性化し、地域経済に幅広い波及をもたらしている状況です。

会期末まで高水準需要、万博後も都市価値維持へ


通期の業績予想は据え置きで、営業収益2,360億円、最終利益294億円を見込んでいます。日本国際博覧会協会は、会期末までに来場者数が2,820万人に達すると想定しています。7〜9月期は夏休み需要も重なり、高水準の輸送・宿泊需要が続く見通しです。大阪メトロは「交通の価値向上に資する都市開発」を掲げ、万博後も沿線価値の維持・拡大を目指す方針です。

今回の決算は、万博がもたらす短期的な直接収益効果と、中長期的な都市価値向上という二重の効果を数字で裏付けたものとなりました。


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