ヒルトンのラグジュアリーブランド「LXRホテルズ&リゾーツ」が、日本で新たな展開を打ち出しました。サンケイビル、長谷工不動産、ヒルトンの3社は2026年4月23日、神奈川県箱根町強羅で開発を進める「(仮称)箱根強羅ホテル計画」について、LXRホテルズ&リゾーツとして2028年夏に開業すると発表しました。ヒルトンにとって箱根初進出となる案件です。
計画地は、箱根登山鉄道「強羅」駅から徒歩約9分、箱根登山ケーブルカー「公園上」駅から徒歩約3分の立地です。ホテルは総客室数94室で、全室50㎡以上のラグジュアリータイプとし、客室露天風呂を備えます。一部にはドッグフレンドリールームも設け、レストラン、ラウンジ、大浴場、スパ、フィットネスも整備する計画です。計画地は神奈川県管理地の「紅葉谷」に面しており、周辺には彫刻の森美術館、箱根美術館、強羅公園なども集まっています。着工は2025年5月、竣工は2027年11月末、開業は2028年夏を予定しています。
今回の案件は、サンケイビルと長谷工不動産が進めてきたホテル計画を、ヒルトンのLXRブランドで運営するものです。両社は2026年3月30日付でヒルトンとブランディングおよびマネジメント契約を締結しており、サンケイビルと長谷工不動産によるホテル共同開発は今回が初めてとなります。
LXRの日本展開を読む
LXRホテルズ&リゾーツは、ヒルトンが展開するラグジュアリーコレクションブランドです。ヒルトンは同ブランドを、世界の魅力的なデスティネーションに立地し、その土地ならではの個性や体験を前面に出すブランドとして位置づけています。日本では2021年9月に「ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts」が開業しており、これが日本初、かつアジア太平洋初のLXRとなりました
その後、ヒルトンは2024年12月に広島県宮島口で2028年開業予定のLXR案件を発表しました。さらに2025年9月には、ニセコビレッジの「Kasara Niseko Village」をLXRポートフォリオに加える方針も公表しています。今回の箱根・強羅は、それに続く日本での新たな案件という位置づけです。
京都、宮島口、箱根、ニセコ 見えてきたLXRの出店パターン
広島宮島口LXRホテル
| 地域 | ホテル・計画名 | 状況 | 主なポイント |
|---|---|---|---|
| 京都 | ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts | 開業済 | 2021年9月開業。日本初、アジア太平洋初のLXR |
| 宮島口 | 宮島口LXR計画 | 計画中 | 2028年開業予定 |
| 箱根・強羅 | (仮称)箱根強羅ホテル計画 | 計画中 | 2028年夏開業予定。ヒルトンの箱根初進出 |
| ニセコ | Kasara Niseko Village | 発表済 | 2025年にLXRポートフォリオ入り方針を公表 |
この並びを見ると、日本でのLXRは、大都市の中心部に高級ホテルを横展開するというより、目的地そのものに強い魅力があるエリアを選んで出店していることが分かります。京都は歴史文化、宮島口は世界遺産・宮島の玄関口、箱根は温泉と自然、ニセコは国際的な山岳リゾートという具合に、それぞれの立地に明確な個性があります。 (stories.hilton.com)
首都圏近郊の温泉ラグジュアリー市場へ
ROKU KYOTO
今回の箱根案件も、この流れに沿ったものといえそうです。箱根は首都圏近郊を代表する温泉地であり、自然景観に加えて美術館群や滞在型観光の要素も強い市場です。全室50㎡以上、客室露天風呂付きという構成を見ても、単なる宿泊需要の取り込みではなく、強羅という土地の魅力を滞在価値として再編集する案件として位置づけられます。LXRの日本展開は、今回の箱根進出によって、より輪郭がはっきりしてきたといえます。
次のLXRはどこか?ここから先は筆者の予想
ここまでが各社公表資料に基づく事実関係です。以下は、既存の出店傾向から連想した筆者の私見であり、公式情報でも、取材に基づく裏付けのある話でもありません。あくまで、今の日本展開を見ると次もこうした方向になるのではないか、という予想です。
| 候補地 | 位置づけ | そう感じる理由 |
|---|---|---|
| 富士山麓 | 本命 | 日本を象徴する景観資源があり、首都圏近接の滞在型リゾートとして組み立てやすい |
| 伊勢志摩 | 有力候補 | 聖地性、海景、食、工芸など、地域固有の物語を作れる |
| 沖縄・奄美 | 有力候補 | 自然、ウェルネス、独自文化の文脈が強く、海外富裕層にも訴求できる |
| 紀伊山地 | ダークホース | 精神文化の厚みは魅力だが、ホテル事業としては難度も高そう |
| せとうち | 将来候補 | 景観とアートの相性は良さそうだが、宮島口案件との距離感は少し気になる |
もちろん、実際の出店は立地条件、案件の有無、採算性、事業パートナーとの関係などで決まります。したがって、この表は将来計画を示すものではなく、LXRのこれまでの出店傾向から見た方向感を整理したものにすぎません。
それでも、京都、宮島口、箱根、ニセコという顔ぶれを並べると、ヒルトンがLXRを「どこにでも置ける高級ホテル」ではなく、「その土地だから成立するラグジュアリー」として日本で育てようとしているように見えるのは確かです。今回の箱根・強羅の発表は、新規開業ニュースであると同時に、LXRの日本戦略がより明確になったことを示す動きとしても注目されます。
出典元
- サンケイビル・長谷工不動産・ヒルトン 2026年4月23日付ニュースリリース(箱根強羅ホテル計画)
- Hilton公式「LXR Hotels & Resorts Debuts In Kyoto, Japan」 (stories.hilton.com)
- Hilton公式「LXR Hotels & Resorts to Make Hiroshima Debut in 2028」 (stories.hilton.com)
- Hilton公式「Hilton Expands Partnership with YTL Hotels with Four Luxury and Lifestyle Hotels」 (stories.hilton.com)






