世界的ラグジュアリーホテル『カペラ東京』が2030年度開業へ 六本木ヒルズ隣に高さ約200m・54階のホテル&レジデンス複合タワー誕生



東京・六本木エリアで進む「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」に、世界的ラグジュアリーホテルブランド「カペラ」が進出します。野村不動産は2026年6月30日、同再開発のホテル名称を「カペラ東京」とし、2030年度の開業を予定していると発表しました。

計画地は、東京都港区西麻布三丁目および六本木六丁目各地内。六本木ヒルズの西側に位置する約1.6haの区域で、地上54階・地下4階、高さ約200mの超高層複合ビルを中心に、住宅、ホテル、商業、事務所、寺社、子育て支援施設などを整備する大規模再開発です。

「カペラ」が東京初進出 グループとしては大阪・京都に続く展開



カペラホテルズ&リゾーツは、シンガポールを拠点とするカペラホテルグループが展開するラグジュアリーホテルブランドです。野村不動産の発表によると、同ブランドは旅行専門誌「Travel + Leisure」の「World’s Best Awards」で、2023年、2024年、2025年の3年連続で「世界第1位のホテルブランド」に選出されています。

日本におけるカペラホテルグループの展開としては、まず2025年5月に、大阪城公園に隣接するラグジュアリーホテル「パティーナ大阪」が開業しました。パティーナは、カペラホテルグループが手掛ける別ブランドであり、同グループとしてはこれが日本初進出となります。

その後、カペラホテルズ&リゾーツのブランドとして日本初進出となる「カペラ京都」が開業し、今回の「カペラ東京」は、カペラブランドとしては日本国内2軒目、東京では初進出となります。

京都が日本の伝統文化を象徴する都市であるのに対し、東京・六本木は国際都市としてのダイナミズムを体現する場所です。一方で、グループ全体で見ると、大阪、京都、東京という日本の主要都市に段階的に展開している点も見逃せません。

ホテルは全86室、高層階に配置



「カペラ東京」は、地上54階建ての超高層複合ビルの高層部に入ります。客室数は全86室で、レストラン、バーラウンジ、スパ、フィットネスジム、宴会場などを備える計画です。

ホテルの階構成は、1階にエントランスとパティスリー、4・5階にロビー、レストラン、宴会場、46階にスパ、47〜52階に客室を配置する構成です。延床面積は約13,800㎡で、竣工は2029年度、開業は2030年度を予定しています。
項目 内容
ホテル名称 カペラ東京
所在地 東京都港区西麻布三丁目
開業予定 2030年度
竣工予定 2029年度
客室数 86室
ホテル延床面積 約13,800㎡
主な施設 レストラン、バー、宴会場、スパ、フィットネスジム
客室階 47〜52階
スパ階 46階
内装デザイン G.A. Design、Brewin Design Office

約500戸のレジデンスにホテル連携サービス



今回の計画で特に注目されるのは、ホテル単体ではなく、同じ複合開発内に整備される約500戸のレジデンスと連携する点です。野村不動産は、住宅部分にカペラによる専属コンシェルジュ等のスタッフを配置し、居住者にホテルライクな暮らしを提供するとしています。

これは、単に「高層階に高級ホテルが入る」だけの計画ではありません。ホテルブランドのサービス品質を、レジデンスの価値にも接続する開発です。

東京の都心高級住宅市場では、立地や眺望だけでなく、サービス、ブランド、日常の体験価値がより重視されるようになっています。カペラ東京は、その流れを象徴するプロジェクトになりそうです。

再開発の全体像



「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」の施行者は、西麻布三丁目北東地区市街地再開発組合です。事業の概要は以下の通りです。
項目 内容
事業名 西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業
施行者 西麻布三丁目北東地区市街地再開発組合
所在地 東京都港区西麻布三丁目および六本木六丁目各地内
施行区域面積 約1.6ha
超高層棟 地上54階・地下4階
高さ 約200m
超高層棟延床面積 約96,380㎡
住宅戸数 約500戸
主用途 住宅、事務所、商業、ホテル、寺社、子育て支援施設など
設計 梓設計、大成建設一級建築士事務所
施工 大成建設
寺社3棟の設計・施工 松井建設
建設通信新聞によると、超高層棟の設計は梓設計と大成建設、施工は大成建設が担当します。別途整備される寺社3棟については、松井建設が設計施工を担当します。

道路拡幅、歩行者デッキ、広場も整備

この再開発は、ホテルや住宅だけでなく、都市基盤の更新も大きな目的です。

東京都都市整備局は、同地区について、前面の補助第10号線が未整備であること、歩道が狭いこと、旧耐震基準の建築物が多いこと、オープンスペースが不足していることなどを課題として挙げています。

再開発では、補助第10号線の拡幅、歩行者デッキ、広場などを整備し、歩行者空間や防災性を高めながら、住宅、生活支援施設、商業・ホテル機能を重ねた複合市街地の形成を目指します。

つまり、この計画は単なる民間ビル開発ではありません。ホテル、住宅、商業、事務所、寺社、子育て支援機能を重ねながら、道路・歩行者空間・広場を同時に更新する「街区再編型」の再開発です。

六本木・西麻布の価値をもう一段引き上げるプロジェクト



六本木エリアは、六本木ヒルズや東京ミッドタウンを中心に、国際的な業務・商業・文化機能が集積しています。一方で、西麻布側は高級住宅地、飲食店、寺社、坂道のある地形など、六本木の都市的な華やかさとは異なる奥行きを持つエリアです。

西麻布・六本木という立地には、国際都市としての東京、成熟した住宅地としての麻布、文化施設が集まる六本木という複数の文脈が重なっています。カペラ東京は、その立地性をホテルとレジデンスの価値に変換するプロジェクトだといえます。

筆者の視点:大阪の「ONE DOJIMA PROJECT」と重なる構図



この計画を見て、真っ先に思い浮かんだのが大阪・堂島の「ONE DOJIMA PROJECT」です。

大阪では、地上49階・高さ約195mの超高層複合タワーに、分譲マンション「Brillia Tower 堂島」と「フォーシーズンズホテル大阪」が一体的に入居しました。「フォーシーズンズホテル」と分譲マンションを組み合わせた日本初の超高層複合タワーとして竣工したプロジェクトです。

一方、東京・西麻布三丁目北東地区では、野村不動産が参加組合員として参画し、「カペラ東京」を高層部に入れ、約500戸のレジデンスにホテル連携サービスを提供します。世界的ラグジュアリーホテルと高級住宅を組み合わせる構図は、堂島のBrillia Tower 堂島+フォーシーズンズ大阪にかなり近いものがあります。

ただし、両者には違いもあります。

大阪のONE DOJIMA PROJECTには、シンガポール資本が関わっています。これは、インバウンドを背景に国際観光都市としての大阪のポテンシャルに、外部資本が反応した側面があります。対して、今回のカペラ東京は、野村不動産が東京の一等地でラグジュアリーホテルとレジデンスを組み合わせる計画です。

ここに、東京と大阪の都市開発の違いが見えてきます。

東京は、国内最大級の資本集積を背景に、東京地盤のデベロッパーが自らリスクを取り、都市の価値をさらに押し上げていく。一方の大阪は、万博、IR計画、インバウンド、ラグジュアリーホテルの進出を通じて、国内外の投資を呼び込む都市へと変わりつつあります。

都市開発の主役は、建物の高さやブランド名だけではありません。誰が資金を出し、誰がリスクを取り、その都市の未来にどれだけ賭けているのか。カペラ東京のニュースは、東京の強さを改めて見せる一方で、大阪が外部資本を呼び込む都市へ変わってきたことも、逆説的に浮かび上がらせているように感じます。




出典・参考資料

・野村不動産「カペラ東京」2030年開業ニュースリリース
・野村不動産「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」権利変換計画認可リリース
・東京都都市整備局「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業」
・港区「西麻布三丁目北東地区第一種市街地再開発事業 事業計画書」
・建設通信新聞「西麻布三丁目北東地区再開発、カペラが東京初進出」
・パティーナ大阪 公式プレス情報
・東京建物「ONE DOJIMA PROJECT/Brillia Tower 堂島」関連情報
・フォーシーズンズホテル大阪 公式情報

Visited 1,055 times, 1,056 visit(s) today