
オリックス不動産が京都市東山区で計画している「(仮称)京都東山七条ホテル建替計画」の外観イメージと計画概要が明らかになりました。
計画地は、2027年5月9日に営業を終了する「ハイアット リージェンシー 京都」の敷地と、その西側隣接地を合わせた場所です。既存ホテルを解体し、東山七条の一等地に新たなホテルを建設する計画で、設計は日建設計が担当します。
当ブログでは以前、ハイアット リージェンシー 京都の営業終了について、単なる老朽化による閉館ではなく、東山七条という立地の価値が高まり、現在のハードではそのポテンシャルを十分に引き出しにくくなったため、建替えによってホテル資産を上位シフトさせる動きではないか、と考察しました。
今回、完成イメージ、建物規模、設計者、許認可スケジュールが見えてきたことで、その方向性はより明確になってきました。計画は、営業終了発表の段階から、景観審議・風致許可を見据えた具体化段階へ進んだことになります。
新たに判明した計画概要

出展:建設通信新聞Digital 紫宸殿をイメージ、東山七条ホテル
今回明らかになった新ホテルの外観は、京都御所の紫宸殿をイメージしたものです。金属横葺き屋根や漆喰塗装などを取り入れ、周辺に立ち並ぶ歴史的建築群との調和を意識したデザインとされています。建物は地下2階・地上4階建て、塔屋1層、延床面積は約25,000㎡です。地上部分を低層に抑えながら、敷地全体を活用してホテル機能を組み込む計画とみられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計画名 | (仮称)京都東山七条ホテル建替計画 |
| 事業者 | オリックス不動産 |
| 所在地 | 京都市東山区三十三間堂廻り644番地2、644番地7 |
| 現施設 | ハイアット リージェンシー 京都 |
| 現ホテル営業終了 | 2027年5月9日予定 |
| 敷地面積 | 約13,790㎡ |
| 延床面積 | 約25,000㎡ |
| 階数 | 地下2階・地上4階建て、塔屋1層 |
| 構造 | RC造一部S造 |
| 設計 | 日建設計 |
| 今後の見通し | 2027年度以降に既存施設の解体工事へ |
時系列で見る「京都東山七条ホテル建替計画」
今回の計画は、ハイアット リージェンシー 京都の営業終了発表から、京都市の景観審議、風致許可申請へと段階的に進んでいます。現時点で確認できる主な流れは、以下の通りです。| 時期 | 主な動き | ポイント |
|---|---|---|
| 2026年4月9日 | オリックス不動産が「ハイアット リージェンシー 京都」の営業終了を発表 | 2027年5月9日で営業終了予定と公表 |
| 2026年4月24日 | 京都市が土地利用条例に基づく開発構想を公告 | 事業者、計画地、区域面積、用途などが確認可能に |
| 2026年6月17日 | 京都市美観風致審議会 景観専門小委員会で事前協議 | 「(仮称)京都東山七条ホテル建替計画」が審議案件として扱われる |
| 2026年6月26日 | 建設通信新聞Digitalが完成イメージと計画概要を報道 | 紫宸殿をイメージした外観、延床約25,000㎡、設計・日建設計などが判明 |
| 2026年内予定 | 事業者が風致許可を申請する見通し | 景観・風致面での正式な手続きへ進む段階 |
| 2027年2月予定 | 順調に進めば、美観風致審議会で諮問へ | 計画の景観・風致面の妥当性がさらに審議される見通し |
| 2027年5月9日 | ハイアット リージェンシー 京都が営業終了予定 | 現ホテルとしての営業が終了 |
| 2027年度以降 | 既存施設の解体工事に着手する見通し | 新ホテル建設に向けた現地工事段階へ |
| 時期未定 | 新ホテルのブランド、客室数、開業時期の発表 | 今後の最大の注目点 |
紫宸殿をイメージした低層・大屋根のホテル

完成イメージで目を引くのは、紫宸殿を意識した低層・大屋根の構成です。
紫宸殿は、京都御所の中心的な建物として知られ、格式、水平性、大屋根、儀礼性を象徴する存在です。今回のホテル計画では、そのイメージを現代のホテル建築に取り入れ、東山七条という歴史的景観の中に新たな宿泊施設を位置づけようとしています。
方向性は明快です。
高層化によって客室数を稼ぐ都市型ホテルではなく、低層の建築、屋根の見え方、外構、庭園的な空間、周辺景観との調和によって価値をつくる計画です。京都のラグジュアリーホテル市場で重視される「場所の文脈」や「滞在体験」を、建築そのものに組み込もうとしているように見えます。
東山エリアはラグジュアリーホテルの集積地へ
前回記事では、ハイアット リージェンシー 京都の営業終了について、東山七条のホテル資産を次の段階へ組み替える動きではないかと見ました。その判断を後押ししているのが、東山エリアの競争環境です。
近隣には、フォーシーズンズホテル京都があります。同ホテルは客室・スイート・レジデンスを合わせて180室を展開し、会議・宴会機能も備えた本格的なラグジュアリーホテルです。さらに、2024年にはシックスセンシズ京都が開業しました。こちらは81室、客室面積42〜238㎡という構成で、ウェルネスや滞在体験の厚みを前面に出しています。東山は、高級ホテルが点在するだけのエリアではなくなっています。客室の広さ、共用部の質、庭園、スパ、料飲、文化体験まで含めて競う、京都でも屈指のラグジュアリーホテル集積地へ変わりつつあります。
そうした環境の中で、1980年の躯体をベースに改修を重ねてきたホテルを維持するより、建替えによって一段上の競争力を取りにいくほうが自然です。今回示された「紫宸殿をイメージした低層ホテル」という方向性は、前回の考察とよくつながります。
東山七条は、土地そのものが商品価値になる

立地の強さも見逃せません。
ホテルは三十三間堂や京都国立博物館に近く、東山七条の歴史資産と観光資産の両方を取り込める場所にあります。さらにこの一帯は、後白河法皇の院御所である法住寺殿の跡地周辺として知られ、三十三間堂自体も法住寺殿域内の蓮華王院に由来します。
宿泊施設としての利便性だけでなく、土地そのものに厚い歴史文脈があることは、東山七条のホテル開発における大きな強みです。
ラグジュアリーホテルにとって、立地は単なる住所ではありません。そこに泊まる理由をつくる物語であり、宿泊単価を支える背景でもあります。その点で、東山七条は非常に強い場所です。
改修延命ではなく、次の収益ステージへ

今回の営業終了と建替えは、「古くなったホテルを閉める」というより、東山七条という立地の価値が高まり、現在のハードではその価値を十分に活かしきれなくなった結果と見るほうが自然です。
ブランドが未定であることも含め、オーナーであるオリックス不動産は、次のホテルを白紙から最適化できる立場にあります。ハイアットブランドを継続するのか、より上位のブランドに振るのか、あるいは別の運営スキームを採るのかは、現時点では分かりません。
ただ、改修延命ではなく建替えを選び、さらに紫宸殿をイメージした低層・大屋根の建築計画を打ち出した時点で、目線が次の収益ステージに向いていることは明らかです。
京都のホテル市場は、量を増やす段階から、場所の文脈をどう読み、どのような滞在価値に変換するかを競う段階へ移っています。その意味で、この計画は東山七条という京都有数の歴史的ロケーションを、次世代のラグジュアリーホテル資産として再構築するプロジェクトです。
今後発表されるブランド、客室構成、料飲、庭園、スパ、文化体験の内容によって、京都ホテル市場の中でも注目度の高い案件になりそうです。
出典元
・建設通信新聞Digital「【オリックス不】紫宸殿をイメージ、東山七条ホテル」・京都市「令和8年度第3回京都市美観風致審議会景観専門小委員会」開催案内・結果
・京都市「土地利用条例に基づく開発構想の公告」
・オリックス不動産「ハイアット リージェンシー 京都」営業終了のお知らせ
・ハイアット リージェンシー 京都 公式サイト
・フォーシーズンズホテル京都 公式ファクトシート
・シックスセンシズ京都 公式リリース・公式サイト
Visited 94 times, 96 visit(s) today
