高槻市が駅徒歩圏に「城下町の風景」を再生へ 高槻城公園北エリアが2026年度末に一次開園、乾櫓・桝形門も段階整備



大阪府高槻市が、市街地中心部に残る高槻城跡を、歴史・文化・交流の拠点として再整備しています。

計画地は、阪急高槻市駅とJR高槻駅から徒歩圏内にある高槻城公園です。2023年に開館した高槻城公園芸術文化劇場に続き、旧市民会館跡地と旧姉妹都市交流センター跡地を「北エリア」として公園に編入。2026年度末の一次開園に向けて、城郭や城下町の風景を感じられる空間を整備します。

これは、天守を含む高槻城全体を復元する計画ではありません。堀や石垣、門、櫓、土塁、土塀などの要素を段階的に再現し、劇場、公園、歴史施設、飲食店を一体化するプロジェクトです。

高槻城公園約6.2ヘクタールを一体的に再整備



高槻城公園は、北・中央・南の3エリアで構成され、総面積は約6.2ヘクタールです。
項目 計画内容
事業主体 高槻市
計画地 高槻城公園、旧市民会館跡地、旧姉妹都市交流センター跡地
公園面積 約6.2ha(北1.8ha、中央1.9ha、南2.5ha)
アクセス 高槻城公園芸術文化劇場まで阪急高槻市駅から徒歩約8分、JR高槻駅から徒歩約13分
北エリア 土塁、土塀、乾櫓、桝形門、武家屋敷風施設、飲食店など
大手地区 火見櫓と町会所、まちやカフェ
中央エリア 高槻城公園芸術文化劇場、二の丸の堀、石垣、橋
南エリア 高山右近像、歴史民俗資料館、池、広場

高槻城二の丸の堀と石垣を再現

中央エリアでは、2023年3月に高槻城公園芸術文化劇場が開館しました。劇場の周囲には、高槻城二の丸の堀と石垣、不明門へ向かう橋などを再現。発掘調査で見つかった高槻城の石垣石も活用されています。

北エリアの整備によって、芸術文化劇場を中心とする公園は、城郭と城下町の歴史を感じられる文化地区へと広がります。

北エリアに三の丸、大手地区に城下町の風景を再現


 

旧市民会館跡地を中心とする北エリアでは、かつての高槻城三の丸を思わせる景観をつくります。第1期工事では、土塁や土塀、武家屋敷をイメージしたトイレ、東屋などを整備します。園内にはカフェやレストランなどの民間店舗も導入し、歴史的な景観を眺めるだけでなく、散策や休憩、食事にも利用できる公園とします。

 

 



 

一方、旧姉妹都市交流センター跡地に当たる「北エリア大手地区」では、高槻城下町に実在した「火見櫓と町会所」を再現します。町会所は、地域の運営を担った城下町の施設です。その屋根の上には、火災などの異変を監視する火見櫓が建ち、災害時には半鐘を鳴らして住民に危険を知らせていたとされます。



町会所の屋根上に火見櫓を設けた構造は全国的にも珍しく、高槻市は明治初期の写真や絵図を参考に、かつてのランドマークを現代によみがえらせます。中庭には「(仮称)まちやカフェ」を設け、阪急高槻市駅と高槻城公園を結ぶ立ち寄り拠点とします。

高槻城全体ではなく、歴史的な要素を部分的に再現



高槻城の本丸跡には現在、大阪府立槻の木高校が立地しています。二の丸跡は芸術文化劇場を含む中央エリア、三の丸跡は北エリアと南エリアに相当します。

このため高槻市は、絵図や写真、発掘調査の成果から確認できる城郭の要素を取り入れ、現代の都市公園として部分的に再現する方針です。歴史的な景観をつくる一方で、芝生広場や休憩施設、飲食店など、日常的に利用できる機能も組み込みます。

構想の起点は古く、2003年度には、現在の公園区域より広い約15ヘクタールを対象とする将来構想が検討されました。現在の高槻城公園周辺を先行して整備し、本丸跡を含む区域は中長期計画エリアに位置付けています。

将来、槻の木高校の土地利用に変化が生じた場合には、本丸跡をシンボルゾーンとして整備する余地も残されています。ただし、現時点で天守復元などの具体的な計画が決まっているわけではありません。

高槻市の狙いは、駅前に「訪れる理由」をつくること



 

高槻市はJRと阪急の2路線を利用でき、大阪と京都の双方へ移動しやすい都市です。一方で、交通利便性の高い住宅都市という印象が強く、高槻固有の歴史を分かりやすく伝えるランドマークは限られていました。

そこで市は、大坂城、岸和田城と並ぶ府内三大城下町の一つとされる高槻の歴史を可視化し、駅徒歩圏に新たな目的地をつくろうとしています。
整備の仕掛け 期待される効果
芸術文化劇場と公園を一体化 公演前後の散策や滞在を促進
城郭・城下町の景観を再現 高槻固有の都市イメージを形成
カフェやレストランを導入 滞在時間を延ばし、地域内消費を拡大
駅から各施設を徒歩で結ぶ 中心市街地の回遊性を向上
日常的に利用できる公園を整備 市民利用と観光を両立
劇場に公園、歴史景観、飲食機能を組み合わせることで、公演がない日にも、散策や食事を目的とする来訪を生み出せます。

駅前商業地から大手地区、北エリア、芸術文化劇場、南エリア、しろあと歴史館へと歩いて巡る動線が整えば、来訪者の滞在時間が延び、飲食や買い物への波及も期待できます。

高槻市が目指しているのは、城郭施設をつくること自体ではありません。地域の歴史を、中心市街地の回遊や消費、都市ブランドの向上につなげることが計画の狙いです。

高槻城公園の整備工程

北エリアは一度に完成させるのではなく、段階的に整備します。
時期 対象エリア 主な整備内容
2023年3月 中央エリア 高槻城公園芸術文化劇場が開館。二の丸の堀、石垣、橋などを整備
2025~2026年度 北エリア・第1期 土塁、土塀、武家屋敷風トイレ、東屋、飲食施設などを整備
2026年度末 北エリア 第1期区域を一次開園。時期の目安は2027年3月まで
2027年度以降 北エリア・第2期 乾櫓や桝形門など、象徴性の高い城郭施設を整備
今後 北エリア大手地区 火見櫓と町会所、まちやカフェを整備
中長期 本丸跡周辺 土地利用に変化が生じた場合、シンボルゾーンとして検討
第2期工事で乾櫓や桝形門が整備されれば、国道171号側からも城郭を感じられる景観が生まれ、高槻市中心部の新たな目印となります。

今後は公園内の整備に加え、駅前商業地や周辺の寺社、町家、歴史施設との回遊を、どこまで広げられるかが焦点です。

高槻城公園の再整備は、城郭と城下町の記憶を文化、交流、飲食、観光につなぎ、高槻市中心部の価値を高める都市再生プロジェクトです。2026年度末の一次開園は、その全体像が見え始める最初の大きな節目となります。




出典元

  • 高槻市「高槻城公園の整備計画をご紹介します」
  • 高槻市「城跡公園再整備基本計画の策定について」
  • 高槻市「高槻城公園北エリアの整備に関する発表」
  • 高槻市「高槻城公園芸術文化劇場に関する発表」

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