三井不動産の主要商業施設「2025年度売上」が判明!ラゾーナ川崎990億円、TOKYO-BAY・木更津790億円、EXPOCITY570億円 数字から見える「勝ち組」への消費集中



三井不動産が公表した決算資料から、「ららぽーと」「三井アウトレットパーク(MOP)」など国内主要商業施設の2025年度店舗売上が明らかになりました!

リージョナル型ではラゾーナ川崎プラザが990億円と1000億円の大台に迫り、ららぽーとTOKYO-BAYが790億円、関西ではららぽーとEXPOCITYが570億円となりました。アウトレット型では、増床したMOP木更津が790億円まで拡大しています。

なお、三井不動産が公表したのは売上高上位ではなく、店舗面積上位10施設の売上です。以下のランキングは、その掲載施設を2025年度売上高順に並べ替えたもので、金額は10億円単位の概数です。(三井不動産)

ラゾーナ川崎が990億円、EXPOCITYは570億円


主要リージョナル型施設・2025年度店舗売上ランキング

単位:億円
順位 施設 2025年度 2024年度 増減 前年比
1 ラゾーナ川崎プラザ 990 940 +50 +5.3%
2 ららぽーとTOKYO-BAY 790 630 +160 +25.4%※
3 ららぽーとEXPOCITY 570 540 +30 +5.6%
4 ららぽーと富士見 560 550 +10 +1.8%
5 ららぽーと豊洲 520 520 ±0 0.0%
6 ららぽーと福岡 480 440 +40 +9.1%
7 ららぽーと横浜 460 570 ▲110 ▲19.3%
8 ららぽーと門真+MOP大阪門真 450 450 ±0 0.0%
9 ららぽーと沼津 350 330 +20 +6.1%
10 ららぽーと愛知東郷 290 290 ±0 0.0%
※TOKYO-BAYは2025年度からNorth Gateを含み、店舗面積が約10.2万㎡から約13.3万㎡へ拡大しました。北館建替え第1期も2025年10月31日に開業しているため、25.4%増を既存店の成長率として見ることはできません。

アウトレット首位は木更津、売上790億円


主要アウトレット型施設・2025年度店舗売上ランキング

単位:億円
順位 施設 2025年度 2024年度 増減 前年比
1 MOP木更津 790 690 +100 +14.5%※
2 MOPジャズドリーム長島 580 610 ▲30 ▲4.9%
3 MOP滋賀竜王 310 310 ±0 0.0%
4 MOP札幌北広島 300 300 ±0 0.0%
5 MOP横浜ベイサイド 240 240 ±0 0.0%
6 MOPマリンピア神戸 220 130 +90 +69.2%※
6 MOP幕張 220 220 ±0 0.0%
8 MOP仙台港 150 140 +10 +7.1%
9 MOP岡崎 140 新規※
10 MOP北陸小矢部 110 110 ±0 0.0%
※木更津は2025年6月に第4期増床を開業。岡崎は2025年11月の新規開業後、マリンピア神戸の2024年度は同年11月の建替え再開業後に限った売上であり、単純な前年比較はできません。

増収の中心は、増床・建替えを実施した施設

今回の数字は一見好調ですが、増減を分解すると、成長が一部の施設に集中していることが分かります。
比較対象 2025年度 2024年度 増減率 読み方
リージョナル型10施設 5,460億円 5,260億円 +3.8% 全体では増収
TOKYO-BAYを除く9施設 4,670億円 4,630億円 +0.9% 増床効果を除くとほぼ横ばい
TOKYO-BAY・横浜を除く8施設 4,210億円 4,060億円 +3.7% 横浜を除く既存大型施設は堅調
比較可能な成熟アウトレット7施設 1,910億円 1,930億円 ▲1.0% 成長は増床・新設施設に集中
リージョナル型10施設の増加額は200億円ですが、そのうち160億円をTOKYO-BAYが占めます。一方で、110億円減少したららぽーと横浜を除けば、残る施設は3.7%増でした。実態は「大型SCが一律に好調」なのではなく、増床施設、成長を続ける既存施設、大幅減となった施設に分かれる三層構造です。(三井不動産)

アウトレットも同様です。増床した木更津、新規開業した岡崎、前年が部分稼働だったマリンピア神戸を除く7施設は、合計で約1%減少しました。アウトレット市場全体の自然成長というより、大規模な再投資が売上を押し上げたと読むべきでしょう。(三井不動産)

ただし、店舗面積上位施設だけで三井不動産の商業施設事業全体を評価するのも早計です。同社の2025年度既存商業施設売上は前期比4.5%増え、全国22施設のららぽーとのうち8割以上が過去最高を記録しました。大型10施設に含まれない施設も、ポートフォリオ全体の成長を支えています。

売上高から見える「勝てる施設」の条件


施設 2025年度実績 数字の読み方
ラゾーナ川崎 990億円、+5.3% 駅直結と高頻度利用で稼ぐ都市型モデル
TOKYO-BAY 790億円、+25.4% 増床とアリーナを組み合わせたエリア一体型モデル
EXPOCITY 570億円、+5.6% 公園・イベント・体験を束ねる滞在型モデル
木更津 790億円、+14.5% 増床で目的地性を高めた広域観光型モデル
横浜 460億円、▲19.3% 減収理由は未公表。大規模改装で再構築へ
門真・滋賀竜王 名目横ばい 定着には成功したが、再成長策が課題
マリンピア神戸 220億円 建替え後初の通年実績。今後の比較基準となる数字

ラゾーナ川崎は「大きさ」より「販売密度」で稼ぐ

ラゾーナ川崎の店舗面積は約7.9万㎡で、約13.3万㎡のTOKYO-BAYより4割ほど小さいにもかかわらず、売上は200億円上回りました。

店舗面積1㎡当たりの売上を単純計算すると、ラゾーナ川崎は約125万円、TOKYO-BAYは約59万円です。ラゾーナは巨大な商圏から年に数回集客する施設というより、駅利用者や周辺住民が繰り返し利用する高頻度型の都市商業インフラとして強みを発揮しています。(三井不動産)

TOKYO-BAYとEXPOCITYは「可処分時間」を取り込む

TOKYO-BAYでは、商業施設とLaLa arena TOKYO-BAYの連携により、イベント日の来館者数が通常の140%となった実績があります。モール単体ではなく、アリーナ、飲食、イベントを含む南船橋エリア全体で消費を取り込む戦略です。

EXPOCITYも2025年春に新規・改装31店舗を導入し、「空の広場」を約1,200㎡から約2,400㎡へ拡張。約2,600㎡のイベントホールも新設しました。570億円への増収は、物販面積を増やすだけでなく、来館者の滞在時間と来訪目的を広げる投資と重なります。(三井不動産)

ECと品ぞろえや価格だけで競うのではなく、食事、余暇、スポーツ、イベントまで含めて消費者の可処分時間を獲得することが、大型SCの新たな競争軸になっています。

木更津は増床部分を既存施設並みの効率で稼働

MOP木更津は第4期増床によって、店舗面積を約4.6万㎡から約5.31万㎡へ約15%拡大し、店舗数も330店舗となりました。売上の伸び率も14.5%で、面積の増加率とほぼ同水準です。

販売効率が急上昇したというより、新たに増やした売場を既存区画と同程度の効率で稼働させたと評価できます。増床区画は2025年6月開業であり、通年寄与する次年度には、さらに売上が伸びる余地があります。

最大の不透明要因は、ららぽーと横浜

ららぽーと横浜は570億円から460億円へ19.3%減少しました。今回の掲載施設では最大の落ち込みですが、決算資料では理由が説明されていません。

三井不動産は2026年春から2028年夏まで、開業以来最大規模となる3カ年のリニューアルを進めています。減収を直ちに競争力低下と断定するのではなく、テナント入れ替えや改装の影響を含め、次年度以降の回復力を確認する必要があります。

関西はEXPOCITYが成長、門真・滋賀竜王は成熟局面

関西ではEXPOCITYが30億円増の570億円となり、明確な成長を示しました。万博記念公園や周辺のスポーツ・レジャー施設を含め、広域的な目的地を形成できている点が強みです。

一方、ららぽーと門真+MOP大阪門真は450億円、MOP滋賀竜王は310億円で横ばいでした。開業特需後の売上を維持した門真は一定の定着に成功していますが、物価上昇下では名目横ばいを成長とは評価しにくく、再来館頻度や客単価を引き上げる次の施策が求められます。

MOPマリンピア神戸の220億円は、前年が再開業後の部分実績だったため、69.2%増という伸び率よりも、建替え後初の通年実績として今後の基準値ができたことに意味があります。

SCは減っているが、売上は過去最高



日本ショッピングセンター協会によると、2025年の国内SC総売上高は33兆1,238億円と過去最高を更新しました。既存SC売上も3.5%増えた一方、SC総数は前年比52施設減の3,013施設、新規開業は18施設にとどまりました。(JCSC)
国内SC市場 2025年実績
総売上高 33兆1,238億円
前年比 +2.7%
既存SC売上 +3.5%
SC総数 3,013施設
前年からの増減 ▲52施設
新規開業 18施設
施設数が減りながら市場全体の売上は増えています。これはリアル商業の全面復活というより、消費が集客力の強い施設へ集中していることを示しています。

三井不動産の商業施設では、売上連動型の変動賃料比率が24%に達しています。施設売上の増加は変動賃料を通じて利益に反映され、契約更新時の賃料や共益費の引き上げ余地も広がります。施設別売上は単なる人気ランキングではなく、デベロッパーの将来収益を読む先行指標でもあります。

大型SCの全面復活ではなく「強い拠点への集中」

今回の数字が示すのは、大型商業施設が一律に復活したという単純な構図ではありません。

駅直結で日常需要を取り込むラゾーナ川崎、アリーナと連携するTOKYO-BAY、公園やイベント機能を持つEXPOCITY、観光目的地化を進める木更津など、商業以外の来訪目的を束ねた施設が成長を取り込んでいます

商業施設市場は、巨大な箱を次々と新設する時代から、強い商圏を持つ既存施設を増床・建替え・再編集する時代へ移りました。三井不動産の2025年度実績は、リアル商業が消えるのではなく、駅、住宅、公園、スポーツ、観光、飲食を取り込んだ一部の施設が、地域の消費と可処分時間を吸収するプラットフォームへ進化していることを示しています。




出典・参考資料

  • 三井不動産「2027年3月期 第1四半期決算概要」(2026年8月7日公表)
    2025年度の主要商業施設別店舗売上、店舗面積、店舗数など。(三井不動産)
  • 三井不動産「2026年3月期 第1四半期決算概要」(2025年8月5日公表)
    2024年度の主要商業施設別店舗売上など、前年比較の基礎資料。(三井不動産)
  • 三井不動産「2026年3月期 プレゼンテーション資料」(2026年5月公表)
    既存商業施設の売上動向、商業施設事業の収益構造、変動賃料、増床・リニューアル戦略など。(三井不動産)
  • 三井不動産「三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY北館建替え計画 第1期」(2025年9月16日公表)
    North Gateへの名称変更、北館第1期開業、LaLa arena TOKYO-BAYとの連携施策など。(三井不動産)
  • 三井不動産「三井ショッピングパーク ららぽーとEXPOCITY 開業以来2度目のリニューアル」(2025年3月12日公表)
    新規・改装31店舗、「空の広場」の拡張など。(三井不動産)
  • 三井不動産「三井アウトレットパーク 木更津 第4期グランドオープン」(2025年1月30日公表)
    第4期増床、全330店舗への拡大、店舗面積の増加など。(三井不動産)
  • 三井不動産「三井アウトレットパーク マリンピア神戸 全面建替えのうえ2024年11月26日開業」(2024年9月19日公表)
    全面建替えの概要、全145店舗、時間消費型リゾートアウトレットへの転換など。(三井不動産)
  • 三井不動産「三井ショッピングパーク ラゾーナ川崎プラザ 過去最大級のリニューアル」(2026年7月22日公表)
    2026年10月から2029年春まで実施する大規模改修・店舗入れ替え計画。(三井不動産)
  • 三井不動産「三井ショッピングパーク ららぽーと横浜、3か年にわたる最大規模のリニューアルを始動」(2026年3月18日公表)
    開業20周年に合わせた2026年から2028年までの再構築計画。(三井不動産)
  • 日本ショッピングセンター協会「SCプレスリリース2026 第4号」
    2025年の国内SC総売上高、既存SC売上、SC総数、新規開業施設数など。(JCSC)
  • 総務省統計局「消費者物価指数・全国2025年度平均」
    2025年度の総合指数は前年度比2.6%上昇。名目売上を評価する際の参考指標。(stat.go.jp)

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