出展:JR東海
奈良県が誘致しているリニア中央新幹線・奈良駅について、荒井知事は2022年9月7日の記者会見で有力な候補地として3か所を挙げ、駅やルートの決定にみずからのリーダーシップを発揮したいと改めて意欲を示しJR東海に候補地を打診しました。
リニア中央新幹線の奈良駅につては、奈良市(JR平城山駅周辺、JR奈良駅・近鉄奈良駅周辺、八条・大安寺地区)、生駒市(学研都市の高山第2工区)、大和郡山市(JR大和路線と近鉄橿原線の交差点付近)に新駅設置を要望していまいたが、荒井知事は「生駒市が要望している学研都市の高山地区第2工区とJR奈良駅・近鉄奈良駅周辺を除く3箇所が有力だ」という認識を示しました。【出展元】
→JR東海>リニア中央新幹線
→奈良県>リニア中央新幹線
→奈良市>リニア中央新幹線概要と誘致の現状
→大和郡山市>「リニア新駅は、ど真ん中駅、大和郡山へ。」
リニア中央新幹線とは?

出展:https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/plan/
リニア中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づいて計画された、東京都を起点、大阪市を終点とする延長約438kmを結ぶ新幹線鉄道です。2011年5月に決定された整備計画において、走行方式は超電導磁気浮上方式(超電導リニア)とし、最高速度は505km/hとすることが定められました。
ダブルネットワークを形成しリスク分散を図る

出展:奈良市
リニア中央新幹線は、新しい国土軸を形成する高速輸送鉄道として、全国新幹線鉄道整備法に基づいて整備されています。その中で、「奈良市附近」を主要な経過地として、1973年に基本計画が決定されました。リニア中央新幹線のルートは、東海道新幹線から離れたルートとなっており、万が一、東海道新幹線にトラブルがあった場合にリスクを分散する「リダンダンシー(二重系化)」を重視しています。その為、できるだけ東海道新幹線から距離を取り、かつ建設費用を最小限に抑え、高速走行ができる直線ルートが望ましく、奈良県においては2011年5月の整備計画により、「奈良市附近」に新駅が設ける事が決定しています。
リニア奈良駅の候補地

※出展:奈良市 筆者加筆。生駒市案は遠すぎる為、上記mapには未掲載
1:JR平城山駅周辺
かなり前からリニア奈良駅の候補地として上がっている場所です。駅周辺はニュータウンとして開発されていますが、それほど高密度な市街地では無く、新駅の設置は比較的容易と思われます。ただ、京都府との県境に近い立地の為、県内各所からのアクセスに時間がかかり、近鉄と接続しない為、県内各所からの交通利便性は低くなります。
2:JR奈良駅・近鉄奈良駅周辺(候補外)
続いてJR奈良駅・近鉄奈良駅周辺ですが、候補地は県庁・市役所、奈良公園が集中する都心部で立地的に申し分ないのですが、既存市街地の為、用地買収が困難である事や、世界遺産の大深度地下の利用について住民理解が得られない可能性があり、難易度が高すぎる立地の為、候補地から外されました。
3:JR大和路線新駅(八条・大安寺地区)付近
JR奈良駅~大和郡山駅の中間付近に計画されている新駅付近です。駅周辺では新しい街づくりが行われる予定で、近接する京奈和自動車道との連携も可能です。候補地周辺は田んぼが広がっている状況で新駅設置は現実的です。
ただし、奈良県民の大動脈である近鉄と接続出来ません。
大和郡山市JR大和路線と近鉄橿原線が交差する場所に両線の新駅を設置、その地下にリニア奈良駅を設ける案です。JR・近鉄の両方に接続できる為、奈良、法隆寺、大阪方面に加え、京都、橿原神宮、吉野方面へのアクセスが可能になり、奈良県全域にリニアの恩恵をもたらす事が出来ます。
5:学研都市の高山第2工区(候補外)
生駒市が要望する学研都市の高山第2工区は奈良県の最北部に位置しており、県内各所からのアクセスが最も遠くなる立地です。交通利便性が最も低い為、候補地から外されました。
本命「大和郡山」、対抗「八条・大安寺地区」?

八条・大安寺地区の現状
リニア奈良駅の3箇所ですが、奈良県全体への波及効果を考えると、JR・近鉄の両線と接続できる「大和郡山」案が本命だと思います。JR奈良、法隆寺、西大寺(平城京)、京都、橿原神宮方面、いずれにもアクセス可能となります。対抗の「八条・大安寺地区」は、奈良県が新駅を中心に新たな街づくりを推進しており、リニア駅を起爆剤に新拠点の整備を進めたい思惑があるのかもしれません。
また、JR東海の『東名阪を最短で結ぶ』視点で見ると、大和郡山案は最も遠回りのルートで、JR平城山駅案が最短ルートとなります。さに京都目線で見ると、JR平城山駅案は最も京都市に近く、大和郡山案は遠い案となります。
さらに、近鉄は新幹線と共存する『新幹線連絡輸送』を行っており、京都で東海道新幹線に接続し、奈良・橿原神宮方面に送客しています。大和郡山案であれば、今度はリニア新幹線の利用者を京都方面に送客する事が可能になります。近鉄にとってもリニアとの接続は死活問題となる為、大和郡山案が最良と思われます。
奈良県、JR東海、京都府、近鉄、それぞれの目線で3案を考えると、各候補地は、一長一短である事が解ります。リニア奈良駅について、今後、候補地が決まると思いますが、僕は奈良県民なので、県全体の波及効果を考えて、大和郡山案が最良であると考えています。さて、リニア駅は一体どこに決まるのでしょうか・・・!


