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大阪IR開業は2030年秋にリスケ、政府の認定が遅れが主原因。初期投資額は約1兆2,700億円に増加、MGMとオリックスが自ら追加投資!


大阪府・市は、2023年9月5日に、大阪IRの開業に向けた具体的な計画を定めた『実施協定案』を公表しました。今後、国に協定案を申請し、国の審査を経て許可されれば、9月末を目標に府と大阪IR株式会社(SPC)が正式な協定として締結する予定です。また、SPCはこれとは別に、大阪市と土地の借地権設定契約を締結します。

大阪IRの工程の変更については、IR整備法に基づく政府の審査が長期化し認定が遅れたことから、開業予定の「2029年秋〜冬」から「2030年秋ごろ」に開業時期を1年程度見直しする事になりました。

【出典元】
大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備 関連協定(案)等について



見直し後のスケール(2023年9月)

2023年4月 区域整備計画の認定
2023年春頃~ 行政手続き・調査
2023年夏頃 実施協定の締結認可 実施協定・事業用定期借地権設定契約等の締結

2023年秋頃 液状化対策工事の着手

2024年夏頃 IR準備工事の発注及び着手
2025年春頃 IR建設工事の発注及び着手

2030年夏頃 工事の完了
2030年秋頃 IR施設の開業


 



大阪IRの事業費(初期投資額)については、建設資材価格等の高騰の影響により、約1兆800億円から 約1兆2,700億円へと増加(約17%・約1,900億円増)します。事業費増加に伴い必要となる追加資金調達については、中核株主(合同会社日本MGMリゾーツ及びオ リックス株式会社)による出資額の増額により対応。資金計画は、借入:約 5,500億円、出資:約 7,200億円(MGM 約3,060億円、オリックス 約3,060億円、少数株主全体 約1,060億円)となります。

SPCは、継続的に相当の資金投下をしながら、設計、調査、工事調整等の各種準備作業を進めており、今回の約1,900億円にのぼる事業費増加に対しても、中核株主2社自らの追加投資という非常に大きな経営判断を行うなど、事業実現に向けた強い意志を有しており、事業実施に向けた具体的な事業進捗も認められます。

一方、SPC側は、 判断基準日において事業前提条件が成就しておらず、現状、最終的な事業実施判断を行うことができる状況にないと判断。また、SPCの解除権が設定されました。(行使期限:2026年9月末)

事業前提条件

1:税務上の取扱い、カジノ管理委員会規則:国際競争力・国際標準の確保
2:資金調達:融資契約の締結、融資実行の合理的見込み
3:開発:土地・土壌に関する市における適切な措置の実施 等
4:新型コロナウイルス感染症:観光需要の回復の見込み 等

 



今回の発表ですが、まず開業時期が1年延期された事については、国の区域整備計画が選挙絡みで先延ばしにされた影響を受け「リスケ」となりました。これは既に織り込み済みす。

驚いたのが初期投資額が約1900億円も上振れした事と、さらにSPCの中核2社であるMGMとオリックスが、約950億円づつの追加投資を行う事を決めた事です。これまで海外事業者から「カタツムリ」と酷評されるほど国の動きが遅く、ダラダラと先延ばしにされてきたにも関わらず、さらに1900億円も増額してくるとは、両者の大阪IRにかける執念の様なモノを感じました。

現状、大阪のビッグプロジェクトで、1兆円を超える投資を行ってくれる民間事業者は他に考えられず、しかもここまで付き合ってくれる事は奇跡に近いと思います。それにしても日本版IRの実現までのプロセスが大変過ぎで、こんな手順を踏んでまで、日本に投資したいと思う事業者が他に現れるのか?本当に疑問です。

とにかく、MGMとオリックスの大きな賭けに答えられる様に、国、大阪府・市は、大阪IRの実現に向けて全力で取り組んで欲しいと思いました。

大阪IRの概要は以下の記事を参照

大阪IR『区域整備計画』認定!カジノを含む統合型リゾート、約 9.3 万人の雇用創出、経済波及効果は年約 1兆1400億円【2029年後半開業】

1 COMMENT

ガンマ

TV報道でも少し報じてましたが万博開催と工事開始が重なる懸念もあったようですね。
しかし、遅い!日本は昨今の国際競争全てにおいて遅いですね。
決断できない、先送りで30年成長できなかった原因の一つかもしれませんね。

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