大丸心斎橋店本館が年内で営業終了、外観生かし建て替えの方針

th_P1020900.jpg


J.フロント リテイリング は、2014年4月に発表した「2014~2016 年度 中期経営計画」で、大型商業施設のオーバーストア化で競合が激化する大阪地区での競争力を抜本的に強化するため、大丸心斎橋店(本館、北館、南館)を中心に周辺の不動産・商業施設活用を含めた心斎橋地区再開発計画の具体化を進める事を発表、心斎橋店の「本館建て替えを含め、前向きに検討している」事が明らかになりました。

この発表以降、本館の建て替え計画に関する続報はありませんでしたが、先日報道各社が一斉に「大丸心斎橋店本館」建て替え」のニュースを発信しました。Jフロントリテイリングは、この報道を否定するコメントを出していましたが、報道大手各社が一斉に同じ内容のニュースを伝えた事から建て替え計画がかなり具体化している事が推測されます。


【出典元】
→大丸心斎橋店建て替えへ 外観は保存
http://www.yomiuri.co.jp/osaka/news/20150718-OYO1T50026.html?from=tw

→大丸心斎橋店本館、年内で営業終了 外観生かし建て替え
http://www.asahi.com/articles/ASH7L3S0GH7LPLFA002.html

→ヴォーリズ設計「心斎橋大丸」建て替えへ…築80年の外観生かし、平成31年オープン目指す
http://www.sankei.com/west/news/150718/wst1507180028-n1.html

→大丸心斎橋店:本館建て替えへ 外観生かす方向で検討
http://mainichi.jp/select/news/20150719k0000m020019000c.html










th_IMG_6426.jpg

 
1933年に完成した大丸心斎橋店本館は、米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの代表作のひとつで、アールデコやネオ・ゴシック様式を織り交ぜた「大正モダン建築」として有名です。大理石を多用した玄関ホールの天井にはイスラム様式の幾何学模様アラベスクもみられます。1945年の大阪大空襲で上層階を焼失しましたが、その後、雰囲気を保ったまま修復・増築され現在に至ります。














th_001_20140607173516bd8.jpg
こちらは、Jフロントリテイリングが開発を行っている松坂屋上野店南館の建替えの完成イメージパースです。商業、シネマコンプレックス、オフィス機能を備えた高層複合ビルに建替えることにより、地上23階、塔屋1階、地下2階、高さ約120mの超高層ビルが建設されます。大丸心斎橋店が建て替えられる事が決まった場合、松坂屋上野店南館と同様に超高層化される事になると思います。
















th_IMG_8150.jpg


いよいよ建て替え計画が動き出した大丸心斎橋店本館。前回の記事でも書きましたが、大丸心斎橋店の置かれている状況は非常に厳しい状態です。既に語り尽くされた感がありますが、梅田地区と阿倍野地区で相次ぐ百貨店の増床、建て替えに挟まれる形になっている様に見えます。大丸心斎橋店のここ数年感の年間売上高は800億円ほどで推移しており極端な落ち込みは見られません。

ただ、梅田、阿倍野地区が一連の再開発によりエリア自体の存在感を増す中、このまま何もしなければ大丸心斎橋店だけでなく心斎橋エリア自体がジリ貧になって行く事は確実な状況です。大丸がこの状況に強い危機感を持っている事は容易に想像できます。

今回の建て替え計画がどのような形になるのかは解りませんが、おそらくダイビル本館のようなイメージで再開発が行われる事になるのではないでしょうか?いずれにせよ、今後の動向に要注目です。