
千葉県君津市で、千葉ロッテマリーンズの新ファーム施設を核とした都市公園計画が動き出しました。
君津市は2026年7月1日、「(仮称)貞元総合公園整備事業」の公募型プロポーザルを公告しました。参考価格は208億4,800万円(税込)。設計・施工・工事監理を一括して発注するDB方式で事業者を選定し、2030年1月末の供用開始を目指します。
計画地は、JR君津駅南口から徒歩約10分の貞元・中富地区です。公園区域は約14.4ha、選手寮を含めた整備予定地は約14.8ha。約3,000席のスタジアム、野球場、屋内練習場、クラブハウス、芝生広場、遊具、カフェ、駐車場、防災機能などを一体的に整備します。
君津市が目指しているのは、ロッテの育成拠点を、日常利用できる都市公園の中に埋め込むことです。言い換えれば、プロ野球の育成現場を、市民公園の風景にする計画です。
駅徒歩圏14.4haに、ロッテ新ファーム施設を核とする都市公園

整備主体は千葉県君津市、利用主体は千葉ロッテマリーンズです。
君津市が用地を取得し、スタジアム、グラウンド、屋内練習場、クラブハウス、外構などを整備します。千葉ロッテはこれらをファーム本拠地として使用し、市に施設・土地使用料などを支払います。
つまり、市が公共施設として整備し、球団がアンカー利用者となる構図です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 整備主体 | 千葉県君津市 |
| 利用主体 | 千葉ロッテマリーンズ |
| 事業名 | (仮称)貞元総合公園整備事業 |
| プロジェクト名 | CO-FIELD KIMITSU |
| 所在地 | 千葉県君津市貞元・中富地区 |
| 立地 | JR君津駅南口から徒歩約10分 |
| 公園区域 | 約14.4ha |
| 整備予定地 | 選手寮を含め約14.8ha |
| 主な施設 | 約3,000席のスタジアム、野球場、屋内練習場、クラブハウス、芝生広場、遊具、カフェ、駐車場、防災機能など |
| 事業方式 | DB方式 |
| 参考価格 | 208億4,800万円(税込) |
| 供用開始目標 | 2030年1月末 |
| 事業期間 | 2031年1月31日まで |
育成拠点を市民の日常に埋め込む、新しい公園モデル

この計画の面白さは、球団施設を閉じた空間にしない点にあります。
平日は、選手の練習を横目に、子どもが芝生広場や遊具で遊ぶ。親はカフェで休憩し、市民は園内を散歩したり、ランニングしたりする。週末や試合日には、約3,000席のスタジアムでファーム公式戦を観戦し、マルシェやイベントも開かれる。災害時には、避難や支援物資の集積拠点にもなる。
目指しているのは、「試合の日だけ賑わう球場」ではありません。平日も、試合日も、災害時も使える、スポーツを核にした都市公園です。
ここで効いてくるのが、ファーム施設ならではの距離感です。1軍本拠地のような大規模興行施設ではなく、選手の練習や成長過程が日常的に見える育成拠点だからこそ、市民公園との相性が良い。子どもたちはプロ選手の努力を身近に感じ、市民は散歩や休憩の延長でプロスポーツに触れることができます。
この近さこそ、CO-FIELD KIMITSUの最大の特徴です。
スタジアム、練習場、カフェ、広場、防災機能を一体化

公園は、スタジアムゾーン、エントランス・緑の広場ゾーン、クラブハウスゾーン、トレーニングゾーン、付加価値ゾーン、駐車場ゾーンで構成されます。ファーム公式戦の興行機能と、市民の日常利用を両立させる配置です。
| ゾーン | 主な役割 |
|---|---|
| スタジアムゾーン | ファーム公式戦、観戦、飲食・物販、散策、練習見学 |
| エントランス・緑の広場ゾーン | 君津駅側からの導入空間、芝生広場、遊具、イベント利用 |
| クラブハウスゾーン | 球団機能、一般利用カフェ、屋内遊戯施設、防災備蓄 |
| トレーニングゾーン | 屋内練習場、野球場、ブルペン、練習見学エリア |
| 付加価値ゾーン | Park-PFIなどによる民間機能導入を検討 |
| 駐車場ゾーン | 約600台規模、災害時の活動スペース |
クラブハウスには、球団機能だけでなく、一般利用できるカフェ・食堂、屋内遊戯施設、防災備蓄倉庫などを配置します。さらに、芝生広場、遊具、水遊び場、ステージ広場などを整備し、野球ファン以外も日常的に訪れやすい公園を目指します。
プロスポーツを使って、交流・健康・防災・経済を動かす

君津市がこの計画でなし得たいことは、千葉ロッテのファーム本拠地を誘致することだけではありません。
狙いは、プロスポーツの育成拠点を呼び水に、地域交流、子育て、健康づくり、防災、観光回遊、地域経済を同時に動かすことです。
基本計画では、同公園を「交流拠点」「経済拠点」「成長と変化の拠点」「健康拠点」「防災拠点」として位置づけています。プロ野球が持つ集客力や話題性を、市民生活と地域経済にどう還元するか。それが、この計画の核心です。
球団側にとっては、育成環境の強化が最大の目的です。一方、君津市にとっては、駅徒歩圏に新たな公共空間を生み出し、南千葉のランドマークをつくる都市戦略でもあります。
208億円の公共投資は、市民の日常に還元されるのか

一方で、最大の論点は208億円という事業費の重さです。
概算事業費の内訳は、造成40億円、スタジアム67億円、野球場B15億円、屋内練習場25億円、クラブハウス47億円、緑の広場・外構等14億円。財源は、一般財源、寄附金、補助金・交付金、起債などを組み合わせる想定です。千葉ロッテからも、30年間にわたり施設・土地使用料などが支払われる計画です。
| 区分 | 概算事業費 |
|---|---|
| 造成 | 40億円 |
| 野球場A/スタジアム | 67億円 |
| 野球場B/グラウンド | 15億円 |
| 屋内練習場 | 25億円 |
| クラブハウス | 47億円 |
| 緑の広場・外構等 | 14億円 |
| 合計 | 約208億円 |
208億円規模の公共投資である以上、問われるのは、市民が日常的に使える公園になるのか、地域経済に波及するのか、維持管理費を抑えながら継続的な賑わいを生めるのか、という点です。
成否を分けるポイント
この計画の成否を分けるのは、ファーム公式戦の観客数だけではありません。むしろ重要なのは、試合のない日にどれだけ人が来るかです。ファーム公式戦だけでは、都市公園としての価値は限定的です。子どもが遊ぶ。親が休む。市民が歩く。選手の練習が見える。カフェが使われる。イベントが開かれる。災害時には地域を守る。そこまで機能して初めて、この公園は「ロッテの2軍施設」ではなく、君津の都市戦略になります。
鍵になるのは、施設同士のつなぎ方です。スタジアム、練習施設、クラブハウス、芝生広場、カフェ、防災機能が縦割りで配置されるだけでは、日常利用は生まれません。選手の練習風景、子どもの遊び場、カフェ、散策路、イベント広場が自然につながってこそ、プロ野球の育成現場が市民公園の風景になります。
2027年に事業者選定、主要施設は2030年1月末供用開始へ

今後は、2026年7月下旬に参加表明を受け付け、11月下旬に技術提案書や参考見積書を提出。12月にプレゼンテーションを行い、2027年1月に優先交渉権者を選定する予定です。その後、2027年3月下旬に本契約を結び、設計・造成・建設工事へ進みます。
| 時期 | 主な予定 |
|---|---|
| 2026年7月1日 | 公示、募集要項交付 |
| 2026年7月27日〜31日 | 参加表明書兼参加資格確認申請書の提出 |
| 2026年8月17日 | 第1回競争的対話 |
| 2026年10月30日 | 第2回競争的対話 |
| 2026年11月27日〜30日 | 技術提案書・参考見積書・VE提案の提出 |
| 2026年12月22日 | プレゼンテーション |
| 2027年1月8日 | 優先交渉権者選定通知 |
| 2027年1月15日 | 審査結果公表 |
| 2027年3月下旬 | 本契約締結予定 |
| 2030年1月末 | 供用開始目標 |
| 2031年1月31日 | 事業期間満了 |
まとめ:CO-FIELD KIMITSUは、南千葉の都市戦略になれるか

CO-FIELD KIMITSUは、千葉ロッテマリーンズの新ファーム施設を核にした、南千葉の新しいボールパーク型都市公園です。
本質は、ロッテの2軍球場を造ることではありません。プロ野球の育成現場を市民の日常に開き、駅徒歩圏に新しい公共空間を生み出すことです。
評価軸は明確です。ロッテの選手にとって良い育成環境になること。市民にとって普段使いできる公園になること。地域に経済効果と交流を生むこと。そして、208億円の公共投資に見合う価値を継続的に生み出すことです。
成功すれば、君津駅徒歩圏に、子どもが遊び、市民が歩き、選手が練習し、試合日にはファーム公式戦で賑わう、南千葉の新たなランドマークが生まれます。一方で、日常利用が伸びず、試合日だけの施設にとどまれば、208億円の重さは厳しく問われます。
プロ野球の育成現場を、市民公園の風景にできるか。CO-FIELD KIMITSUは、プロスポーツをまちづくりにどう生かすかを問う、君津市の大きな都市戦略です。
出典
- 君津市「(仮称)貞元総合公園整備事業公募型プロポーザルを実施します」
- 君津市「CO-FIELD KIMITSU特設サイト」
- 君津市「(仮称)貞元総合公園整備基本計画」
- 君津市「(仮称)貞元総合公園整備事業 募集要項」
- 君津市「千葉ロッテマリーンズファーム本拠地(仮称)移転に関する基本協定を締結しました」
- 千葉ロッテマリーンズ「新ファーム施設に関する整備基本計画の策定について」
- 日刊建設タイムズ「参考価格は約208億円/貞元総合公園整備プロポ」
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