三重・VISON周辺にJR紀勢本線の新駅構想!多気町が基本調査を開始、特急「南紀」の停車も検討へ

 

三重県多気町が、大型商業リゾート「VISON(ヴィソン)」周辺へのJR紀勢本線の新駅設置を検討しています。2026年10月29日、新駅の実現可能性を調べる基本調査業務の公募を開始しました。調査では駅の建設費や利用需要に加え、特急「南紀」の停車を含む列車ダイヤへの影響も検討し、2027年3月末までに結果を取りまとめます。

ただし、新駅の設置が決まったわけではありません。既存駅の改良やバスとの接続強化も比較し、最も合理的な交通アクセスのあり方を探ります。

高速道路には直結、鉄道ではアクセスしにくいVISON



VISONは2021年7月に全面開業した大型商業リゾートです。飲食店や産直市場、ホテル、温浴施設などが集まり、三重県を代表する観光拠点の一つとなっています。大きな強みは高速道路との接続です。勢和多気インターチェンジに近く、伊勢方面からは多気ヴィソンスマートインターチェンジを利用して直接アクセスできます。

一方、公共交通は不便です。最寄りのJR紀勢本線・栃原駅からも二次交通が必要で、松阪駅からの路線バスは約40〜50分。鉄道で訪れる観光客には乗り換えの負担があります。

そこで浮上したのが、VISON周辺への新駅設置構想です。

今回の調査では、VISON来訪者400人、観光客1,000人を目標に利用意向を調べ、新駅の候補地、駅前広場、アクセス道路、概算事業費、経済波及効果などを検証します。

新駅を造っても、列車が少なければ意味がない


出展:学校法人近畿大学

最大の課題は、紀勢本線の運行本数です。新駅の候補となる佐奈駅~栃原駅付近は、普通列車が上下合計で1日19本程度と少なく、日中には2〜3時間以上の間隔が空く時間帯もあります。

仮に新駅ができても、観光客が利用しやすい時間帯に列車がなければ、鉄道への転換は進みません。また、VISONの敷地に直接乗り入れるわけではないため、駅の位置によっては新たな二次交通も必要になります。

そこで重要になるのが、特急「南紀」の停車や普通列車の増発です。もっとも、これらは現段階では調査上の検討項目であり、JR東海との合意は確認されていません。

もう一つの選択肢は、既存の多気駅などを改良し、VISONへのバスを充実させる方法です。新駅の建設費や維持管理費を考えれば、こちらの方が費用対効果に優れる可能性もあります。

2027年3月末に調査完了、事業化の判断へ



新駅構想は2026年6月に建設専門紙が報じており、9月の補正予算には調査費1,230万9,000円が計上されました。今回の公募は、構想を具体的な検討へ進める動きです。
時期 予定・経緯
2026年6月 新駅構想が報道される
2026年9月 基本調査費を補正予算に計上
2026年10月29日 調査業務の公募開始
2026年11月26日 調査事業者の審査結果通知予定
2027年3月31日 基本調査の履行期限
今回の調査業務の契約上限額は1,229万8,000円。新駅の建設費ではありません。駅の設置場所、総事業費、開業時期などは、調査結果を踏まえた今後の検討事項となります。

VISONは、自動車アクセスを強みに成長してきた地方型リゾートです。その集客力を鉄道へ取り込み、沿線全体の利用促進につなげられるか。

人口減少が進む地方では、新駅の建設自体が目的にはなりません。観光需要を生かして既存の鉄道をどう維持・活性化するのか。今回の調査は、地方の観光開発と公共交通の関係を考えるうえでも興味深い取り組みです。




出典・参考資料

Visited 99 times, 99 visit(s) today