
名古屋市の中心部・栄エリアで、第一生命保険、鹿島建設、ノリタケカンパニーリミテドの3社が共同開発するオフィスビル「栄トリッドスクエア(Sakae Trid Square)」の建設が進んでいます。
新ビルの規模は、地上19階・地下1階、高さ97.37m、延床面積40,140㎡で、2026年3月に竣工予定です。本プロジェクトは、名古屋市が推進する総合設計制度を活用し、環境性能・都市景観・歩行者空間を総合的に高めることを目的としています。
【出展元】
→名古屋市中区栄エリアにおけるオフィスビル共同開発プロジェクト始動
→名古屋市中区栄エリアのオフィスビル共同開発プロジェクト 施設名称を「栄トリッドスクエア」に決定 一次エネルギー消費量を50%以上削減する建築物として「ZEB Ready」を取得
立地と計画の概要
計画地は、名古屋市中区新栄町二丁目。地下鉄東山線・名城線「栄」駅、名鉄瀬戸線「栄町」駅から徒歩約2分の位置にあります。周辺には、オアシス21や愛知芸術文化センター、久屋大通公園などがあり、商業・文化・緑地が調和する都心立地です。
「栄トリッドスクエア」は、ノリタケ栄ビル(地上5階、1967年竣工)、鹿島中部支店ビル(地上11階、1988年竣工)、栄第一生命ビルディング(地上9階、1972年竣工)の3棟を一体的に建て替える再開発事業で、3社が長年保有してきた敷地を統合し、名古屋市の総合設計制度による「敷地共同化」の特例を活用することで、都心におけるゆとりあるオフィス環境と歩行者空間を確保しました。
名称の由来と事業の目的
「栄トリッドスクエア(Sakae Trid Square)」という名称は、3を意味する接頭語「tri」と、伝統を意味する「traditional」の短縮形「trad」を組み合わせた造語「trid」に由来します。事業主の3社が、それぞれの伝統を礎に1つとなり、街の新しいアイコンを築いていくという想いが込められています。
このプロジェクトでは、ノリタケの陶磁器から着想したデザインを建物各所に展開し、環境に配慮したオフィスの設計、商業店舗の導入、3本の通りに面した公開空地の整備を行います。広小路通、錦通、武平通の3方向からアクセスできる公開空地が、文化・商業・ビジネスをつなぐ回遊性の高い都市空間を形成します。
建築デザインの特徴
外観デザインは、空に伸びる縦基調を基調としながら、ノリタケの食器ブランド「ボーンチャイナ」から着想を得た温かみのある白色を採用しています。角部には陶磁器の柔らかな曲線を取り入れ、外装には日射制御に有効な凹凸形状を採用。光と影のコントラストが生む立体的な表情が特徴です。
低層部は緑や風を感じられる開放的なデザインとし、通りを歩く人々にも親しみやすい空間とすることで、周辺の街並み形成に寄与します。また、鹿島建設が開発した高性能オイルダンパー「HiDAX-e」を採用し、制震性能も強化しています。
計画では、ノリタケの陶磁器から着想したデザインを建物各所に展開し、環境に配慮したオフィスの設計や商業店舗の誘致、3本の通りに面した公開空地の整備を行います。オフィス空間と施設構成
3~19階はオフィスフロアで、基準階貸室面積は約1,475㎡(約446坪)の無柱空間を実現。天井高2,800mm、OAフロア100mm、床荷重500kg/m²(ヘビーデューティーゾーン1,000kg/m²)を確保し、執務環境の快適性とレイアウトの自由度を両立しました。久屋大通公園やテレビ塔、オアシス21を望む開放的な眺望も特徴です。
2階には、屋外テラス付きの「プレミアムオフィス」と入居者専用の「ワーカーズラウンジ」を設置。ワーカーズラウンジには、集中作業用ブース、ボックス席、会議室、リラックススペースなどを配置し、多様な働き方に対応できる環境を提供します。
1階には商業店舗を誘致し、来訪者が立ち寄れる利便性の高い空間を整備。街の通りと自然に接続する設計により、オフィスビルとしてだけでなく地域の交流拠点としての役割も担います。
都市設計とまちづくりへの貢献
「栄トリッドスクエア」は、名古屋市総合設計制度を活用することで、容積率の有効活用とともに、歩行者に開かれた都市空間を創出しています。広小路通、錦通、武平通の3方向に広がる公開空地は、文化・商業エリアと業務エリアをつなぐ歩行ネットワークの一部として機能します。
この配置により、錦通側の文化・芸術ゾーンと広小路通側の商業ゾーンが自然につながり、都心の回遊性を高めることで、栄エリア全体の活性化に寄与します。また、総合設計制度の理念に沿い、地域の景観形成・環境負荷軽減・防災性能の向上を同時に実現しています。
計画概要
【スペック】
名称:栄トリッドスクエア
計画名称:(仮称)S2計画
所在地:愛知県名古屋市中区新栄町二丁目
階数:地上19階、塔屋3階、地下1階
高さ:99.90m
構造:鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
杭・基礎 :
主用途:オフィス 、店舗
敷地面積:3,418.76㎡
建築面積:2,265.60㎡
延床面積:40,173.01㎡
建築主:第一生命保険、鹿島建設、ノリタケカンパニーリミテド
設計者:鹿島建設
施工者:鹿島建設
着工:2023年06月(予定)
竣工:2026年03月(予定)
2025年11月の様子

現地の様子です。前回の取材が2024年12月末ごろだったので、約10か月ぶりの撮影となりました。

北西側から見た様子です。すでに建物は計画上の最高部まで到達しており、タワークレーンの解体に使用される小型クレーンが稼働していました。

西側から見上げた様子です。

基壇部の様子です。カーテンウォールの枠が特徴的なデザインで、ひときわ目を引きます。

南西側から見た様子です。色味は異なりますが、どことなく大阪・中之島のフェスティバルタワー・ウエストを思わせるデザインです。

基壇部の様子です。

撮影ポイントを変えて、中日ビルの屋上庭園と絡めて見た栄トリッドスクエアの様子です。

最後は、さらに撮影ポイントを変えて、中部電力 MIRAI TOWER(名古屋テレビ塔)から見た計画地周辺の様子です。
2024年12月末頃の様子

現地の様子です。前回の取材が2024年3月だったので、約9ヶ月ぶりの撮影です。

北西側から見た様子です。タワークレーン2機が稼働中、地上鉄骨建方が進んでいました。

北側から見た様子です。完成イメージパースにあった曲線を描いた形状が見て取れますね。

西側から見た様子です。南北方向はかなりの幅があります。

最後は南西側から見た様子です
2024年3月の様子

現地の様子です。前回の取材が2022年7月だったので、約1年8ヶ月振りの撮影です。

北側から見た様子です。既存建物の解体が終わり、基礎工事が行われていました。

内部の様子です。乗り入れ構台が設けられ、大規模な掘削工事が行われています。

西側から見た様子です。

最後は南西側から見た様子です。
2022年7月の様子

現地の様子です。事業者から計画概要が発表される事を見越して事前に撮影していました。こちらの写真は4ヶ月前の2022年7月の状況なので、現在はもっと解体工事が進んでいると思います。

西側から見上げた様子です。新ビルの外観は、事業者のノリタケの食器から着想した、ボー ンチャイナを連想させる色調や柔らかな曲線美を取り入れてたデザインとなります。

最後は南西側から見た様子です。






