ロイヤルホテルは2023年1月20日付けのニュースリリースで、主力のリーガロイヤルホテルの土地と建物を、カナダの大手生命保険会社傘下の不動産投資会社であるベントール・グリーンオーク・グループ(BGO)に売却すると発表しました。日経新聞が伝える所によると、土地・建物の売却額は非公表ですが、500億円台半ばとの事で、譲渡益は約150億円を見込んでいます。
2023年3月末にホテルがある土地と建物をBGOに譲渡。BGOは取得後に135億円を投じて大幅な改修を実施。リーガロヤルホテルは「劣化が見られたハード面の全面的な刷新」としており、客室や宴会場、レストランなどが対象となります。ロイヤルホテルは運営を受託し、ホテル施設を刷新した上で、2025年大阪・関西万博に備えます。【出展元】
→ベントール・グリーンオークとの資本業務提携並びに リーガロイヤルホテル(大阪)の資産及び運営に関する基本合意書締結のお知らせ
→IHG ホテルズ&リゾーツ、1,000 室を持つ由緒あるホテルとの契約締結を予定している旨の発表、大阪にヴィニェット コレクションが誕生
→日経新聞>リーガロイヤル大阪、土地・建物を売却 135億円で改修
また『リーガロイヤルホテル』は世界最大級のホテルオペレーターであるIHG ホテルズ&リゾーツと提携し、「ヴィニェット・コレクション」というブランド名を冠したホテルとなります。IHGの会員ネットワーク『IHGワンリワーズ』を活用し、海外富裕層などの取り込みをはかる目論見です。
BGOは前述のとおり大規模改装を行い、高級志向のホテルとしてのリポジショニングを図り、新たにリーガロイヤルホテル大阪-ヴィニェット コレクション として 2025 年に再オープンする予定です。
出典:IHGホテルズ&リゾーツ
ヴィニェット・コレクションは IHGのラグジュアリー&ライフスタイルポートフォリオに最近加わったブランドで、先日ヴィニェット コレクション第一号ホテルが一周年記念を迎えました。現在14のユニークなホテルで構成された力強いポートフォリオを持ち、オーストラリアとタイとポルトガルの3 ホテルを展開中です。今後10年間で100 のヴィニェット・コレクションを展開するという非常に高い目標に向かい、現在順調に成長しています。
出典:IHGホテルズ&リゾーツ
グローバル・ホテルオペレーターは、市場や顧客の属性に合わせた複数の自社ブランドを展開していますが、コレクションは、各都市に存在する「ローカルのブランド」を選りすぐって集めた、まさにホテルのコレクションです。ホテルオペレーターは、ローカルブランドをコレクションに取り込む事でネットワークを拡大でき、ローカルブランドは、ホテルオペレーターの会員システムによって世界中から集客する事が出来ます。リーガロヤルホテルは、自身のの伝統や良さを最大限残し、IHGの持つ顧客層やシステムをホテルに取り込む為に、ヴィニェット・コレクションに加盟しました。
皇族や国賓も利用し“西の迎賓館”とたたえられるリーガロイヤルホテルですが、コロナ禍で収益が落ち込み、財務体質の見直しが急務となっていました。ロイヤルホテルはホテル不動産の売却で得た資金で、金融機関からの借入金を全額返済するほか、日本政策投資銀行(DBJ)などが保有する優先株を償還します。
コロナ禍の影響でかなりの深手を負ったロイヤルホテルは、今回のIHGとの提携とホテル不動産の売却を機に、運営特化型に舵を切り、生き残りるをかけることになります。
ロイヤルホテルはかつて森トラストに土地を売却するも結局買い戻した経緯があり、この事が最後まで建替えに影響を残した格好になったと思われます。現経営陣の責任追及は必至で、今後どの様なホテルに生まれ変わるのか、期待と不安が入り交じります。
中之島をはじめ、弁天町、京橋など東西軸を形成する再開発は、IRの成り行き次第で大化けするでしょう。受け入れ側も、進出する業者も駒は出揃っているので、早急に政治的なプロセスを進めてほしい。