越谷アルファーズ、新ホームアリーナ計画の全貌!レイクタウンに最大6000席、2029年度竣工を目指す


プロバスケットボールB1リーグの越谷アルファーズが、埼玉県越谷市内への新ホームアリーナ建設計画を本格化させています。整備予定地は越谷レイクタウン駅近くの市有地(約1万㎡)で、収容規模は最大6000人。2026年度設計着手・2027年12月ごろ着工・2029年度竣工、2029〜30シーズンからの運用開始が目標です。

この計画は単なるスポーツ施設の建設ではありません。Bリーグの新体制への参入要件、行政との役割分担、巨大商業エリアとの関係という複数の要素が絡み合っています。以下、順を追って整理します。

1. 計画の基本情報

整備予定地は越谷市有地「水辺のまちづくり館」(レイクタウン4-1-4)と隣接地を含む約1万㎡です。クラブは2024年3月27日に使用・支援を求める要望書を市へ提出しています。

施設は「民設民営」方式が基本で、設計・施工事業者は未定。クラブはデロイトトーマツに検討支援業務を委託して準備を進めており、越谷市も上限1800万円(履行期限:2026年7月31日)でアリーナ整備支援検討業務を発注しています。建設費の総額は非公表です。


時期 内容
2024年3月 越谷市へ要望書提出
2026年2月 市民説明会(大相模中学校)
2026年度 設計着手予定
2027年12月ごろ 着工予定
2029年度 竣工目標
2029〜30シーズン 新アリーナ運用開始

2. なぜ今アリーナなのか? B.PREMIERという参入条件


現ホーム会場の越谷市立総合体育館は収容4472人。Bリーグが2026〜27シーズンから導入する新体制「B.革新」の最上位カテゴリー「B.PREMIER」への参入には、収容5000席以上・VIPルーム等のホスピタリティ設備・2028〜29シーズン開幕時点での使用可能、という三条件が求められており、現施設では基準を満たせません。クラブはすでに2026〜27シーズンでの参入を断念しており、新アリーナ完成に合わせた2029〜30シーズン参入を目標に切り替えています。

この要件はバスケットボールの競技環境とは直接関係なく、飲食テナント・スイート席・ネーミングライツなどを組み込んだ「興行施設」としての機能が実態です。Bリーグとしては、各クラブを体育館の場所借り事業者から、アリーナを自前で持つ興行・エンターテインメント企業へ転換させる意図があると見られています。

3. クラブの現状ーソフト面はすでに到達水準



・営業収益:2024〜25シーズンに15億円を突破
・ホーム平均入場者数:確定値3839人(30試合中15試合が4000人超)
・ファンクラブ:有料会員に占める越谷市民の割合が全国トップクラス

収益・集客・地域浸透という「ソフト面」の条件はすでに整っており、残るボトルネックはアリーナだけです。前身は1997年創部の企業チームで、関東実業団6部からスタートし2015年B3参入・2018年B2ライセンス取得・2024年B1昇格と階段を上ってきました。上原和人社長は2026年2月の市民説明会で「この越谷の地でB.PREMIERの参入条件を満たすクラブを目指す」と明言しています。

4. なぜレイクタウンなのか?立地の意味と副作用


出展:GoogleMAP

越谷レイクタウンはイオンレイクタウンを中心とした年間集客5000万人規模の商業エリアで、越谷レイクタウン駅直結・広域アクセス良好という条件が揃います。ゼロから集客基盤を作るよりも既存の人の流れの隣にアリーナを置く方が事業成立の確率は高く、「昼間の買い物の街」に夜間のエンターテインメント需要を加えることでエリア全体の消費を底上げする効果も期待できます。

ただし副作用も構造的に存在します。既に交通負荷が高いエリアにイベント日だけ数千人規模の波が加わるため、近隣住民への影響は避けられません。交通対策の費用負担と解決主体をどう定めるかは、計画実現の重要な論点としてすでに住民側から問題提起されています。

5. 「民設民営」の実態——公と民の役割分担

「民設民営」は市が何もしないという意味ではありません。構造を整理すると次のようになります。



・市(公共):市有地の貸与・支援策の検討(公費1800万円)・行政手続きの協力
・クラブ(民間):建設費の全額調達・施工・運営・収益化・赤字リスクの負担

建設費は業界水準から数十億〜百億円規模とみられます。市は直接の財政負担なしに大型集客施設と防災拠点を確保でき、税収と経済波及効果を受け取る立場になります。福田晃越谷市長は「B.PREMIER参入は本市のさらなる活性化につながる」と期待を示しつつ「用地確保を含め多くのハードルがある」とも述べており、市の支援範囲は現時点で未確定です。交通対策や周辺整備をどちらがどこまで担うかを含め、具体的な協議が今後の焦点となります。

6. 「超地域密着アリーナ」構想ー理念と積み残し

森岡礼佳取締役はアリーナの活用方針として、試合日以外のコンサート・各種イベント開催、防災拠点機能、教育・交流機能、地域企業との連携を掲げています。上原社長は「クラブのためではなく地域の皆さまの夢のアリーナを目指したい」と語っており、この多目的利用の方向性は事業の継続性という観点からも合理的です。年間を通じた稼働率を高めることが、建設コスト回収と安定運営につながるからです。

一方で、「防災拠点」や「教育・交流」を本当に機能させるには、非常電源・備蓄・定期訓練・維持管理という継続的なコストが発生します。その運用主体と費用負担の所在が明確になっていない点は、今後詰める必要があります。

7. スケジュールの厳しさー締め切り駆動の構造リスク

2026年度設計着手→2027年末着工→2029年度竣工という工程は、B.PREMIERが求める「2028〜29シーズン開幕時点で使用可能」という条件から逆算したぎりぎりのラインです。制度上の締め切りがあるプロジェクトでは、仕様の詰めが不十分なまま工程が進む、住民説明や交通対策が後手に回る、結果としてコスト・設計に歪みが生じるというパターンが各地の公民複合事業で繰り返されてきました。レイクタウン立地である以上、交通問題は着工前から最後まで付きまとう可能性が高く、スケジュール圧力と合意形成のバランスが計画の実現性を左右します。

8. 先行事例から見る可能性と注意点


SAGAアリーナ

Bリーグの島田慎二チェアマンは沖縄アリーナ・SAGAアリーナを例に「アリーナは地域の収益拠点になり得る」と説明しています。沖縄アリーナ(2021年開業)では琉球ゴールデンキングスの観客動員が大幅増加し、コンサート等誘致による宿泊・飲食需要の拡大も実証されました。SAGAアリーナも防災・交流機能で評価されています。

ただし沖縄はリゾート観光需要、佐賀は県全体の行政支援という固有の条件があります。越谷の強みは「年間5000万人が訪れるレイクタウンに隣接する」という点で独自性があり、先行事例とは異なる勝ち筋を持っています。民設民営で建設費を回収しながら安定運営できるかの検証はこれからです。

9. まとめー注目すべきポイント

越谷アルファーズの新ホームアリーナ計画は、クラブ単体の施設整備を超えた、越谷市の都市戦略・官民連携・既存インフラ活用が重なるプロジェクトです。


事業面:収益・集客ともにB.PREMIER水準に近い数字を達成。ソフト面の準備は整っています。
制度面:B.PREMIERのアリーナ要件はクラブを興行企業へ転換させる構造的な誘導を含んでいます。
立地面:5000万人トラフィックへの隣接は大きな強みですが、交通問題という副作用も同時に抱えます。
資金・リスク分担:市有地と公費検討を組み合わせた「公民ハイブリッド」の実態があり、費用と利益の分担をいかに明確化するかが住民・行政双方の理解を得る鍵です。
スケジュール:制度締め切りから逆算した工程には余裕がなく、交通対策と合意形成の並行処理が求められます。


クラブが掲げる「地域の夢のアリーナ」は、27年の地道な積み重ねを背景にした言葉です。その実現を支える構造は制度・立地・資本という現実的な計算の上に成り立っており、両者が重なる部分と重ならない部分を見極めながら計画の進展を追っていく必要があります。






出典・参考情報

・越谷アルファーズ公式サイト(要望書提出・クラブ沿革・シーズン情報)
・埼玉新聞(2026年2月 市民説明会報道・営業収益・平均入場者数)
・越谷市公式ホームページ(令和8年2月20・21日 市民説明会告知、アリーナ整備支援検討業務 委託上限1800万円)
・日刊建設工業新聞(越谷市立総合体育館収容人数4472人、デロイトトーマツへの委託)
・地域情報メディア「がやてっく」(デロイトトーマツへの委託に関する報道)
・Bリーグ公式(B.革新・B.PREMIER参入基準)
・島田慎二Bリーグチェアマン 公式コメント(沖縄アリーナ・SAGAアリーナ事例)

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