リーガロイヤルホテルを展開するロイヤルホテルが、新たなブランド戦略を本格的に動かします。2026年4月3日に大阪・なんばで開業する「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は、その第1弾となるホテルです。さらに同年秋には、福岡・博多で「バウンシー・バイ・リーガ」の開業も予定されており、同社は従来のシティーホテル中心の展開に加え、若年層や個人旅行需要を意識した新しいカテゴリーの整備を進めます。
今回の動きは、新しいホテルが1軒増えるという話にとどまりません。ロイヤルホテルが、旅行市場の変化に合わせてブランドの役割を広げようとしている点に注目が集まります。ホテルに求められる価値は、立地や客室の快適性だけでなく、その街でどのような時間を過ごせるかへと広がっています。「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は、そうした変化を踏まえて計画されたホテルといえそうです。
新ブランドの舞台は、なんば・新世界エリア
「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」の所在地は大阪市浪速区日本橋5丁目。大阪メトロ堺筋線「恵美須町」駅から徒歩約2分で、新世界、裏なんば、オタロードなどが徒歩圏に収まります。大阪らしい食、街のにぎわい、サブカルチャー、レトロな空気感が混在するエリアであり、観光客にとっても個性の分かりやすい立地です。
新ブランドの第1弾としてこの場所が選ばれたことには、一定の納得感があります。街そのものの個性が強く、ホテルの外に出た瞬間から大阪らしさを感じやすいからです。御堂筋沿いの都心的な洗練とは異なる、ミナミの雑多さや熱気を含めて滞在体験に取り込める点が、この立地の大きな特徴です。
「アンカード」は、旅の途中で立ち寄る拠点
ブランド名の「アンカード」は、“錨を下ろす”を意味します。旅の途中で立ち寄る自分だけの拠点、街を歩き、楽しみ、また戻ってくるベースとしての役割が込められています。
このネーミングからも、ホテル単体で完結するのではなく、街との接点を重視したブランドであることがうかがえます。館内で静かに過ごすことを中心にした従来型の高級ホテルとは少し異なり、街に出て、その土地の文化や空気を感じながら滞在するスタイルを意識しているようです。
全200室、全室24㎡以上 使いやすさを重視した客室構成

ホテルは地上15階・地下1階建てで、客室数は200室。全室24㎡以上を確保し、洗い場付きバスルームと独立トイレを備えます。なんば周辺では、立地を優先したコンパクトな客室のホテルも少なくないため、ゆとりのある客室面積と水回りの使いやすさは、このホテルの分かりやすい特徴になっています。
客室は、2〜4人で利用しやすいツイン・キングルームを中心に構成し、最大7人まで宿泊できるコネクティングルームも24室用意されます。若年層のグループ旅行や家族旅行、訪日客の複数名利用を意識した設計です。加えて、防虫仕様の寝具や厚みのある特製マットレスなど、快適性にも配慮しています。
世界観やデザインだけでなく、実際の使いやすさがきちんと押さえられている点は、このホテルの安定感につながりそうです。
最上階に大浴場・サウナ 観光拠点としての完成度を高める
最上階には大浴場とサウナを設けます。なんば・新世界エリアは、ホテルの中で過ごすよりも、外へ出て街を歩くことで魅力が伝わりやすいエリアです。そのため、ホテルに戻ってからどれだけ快適に休めるかは、滞在全体の満足度に直結します。
街歩きや買い物、飲食を楽しんだ後に、大浴場やサウナで身体を整えられる構成は、観光拠点として使いやすいものです。ランドリーコーナーも複数フロアに配置されており、連泊にも対応しやすくなっています。
食やアートでも“大阪らしさ”を表現
「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は、客室や大浴場だけでなく、館内の演出でも街との接続を意識しています。ロビーや館内には大阪ゆかりのアーティストによる作品を配置し、街のにぎわいやエネルギーをホテルの中にも取り込む計画です。
レストランでは、大阪らしい要素を取り入れた朝食や飲食メニューを展開し、滞在中に自然とローカルな空気に触れられるよう工夫されています。ホテルが街と切り離された空間になるのではなく、街の延長として機能するよう設計されている点が、このブランドの特徴といえます。
開業記念では新世界を巡る体験型企画も実施
開業記念企画として、宿泊者先着100組に新世界エリアのリアル謎解きゲームキット「PLAYFUL OSAKA MYSTERY WALK」を配布します。ホテルを起点に、巨大看板や食文化、街のアートなどを巡りながら楽しめる内容です。
この施策は、宿泊促進に加えて、ホテルと街歩きを一体化させる役割も担っています。立地の良さを単に“徒歩圏”で説明するのではなく、街を体験することそのものをホテル価値に変えようとしている点が見えてきます。
なぜ今、新ブランドなのか
ロイヤルホテルが新ブランドを立ち上げる背景には、旅行者の価値観の変化があります。訪日外国人旅行者は、団体型から個人・少人数グループ型へと移行し、国内でも20〜30代を中心に、旅先での体験やストーリー性を重視する傾向が強まっています。
SNSで共有したくなる空間や、その土地ならではの文化との接点を求める旅行者が増える中で、ホテルも単なる宿泊機能ではなく、旅の印象を左右する存在になっています。ロイヤルホテルは、こうした変化を受けて、2024年公表の「中期経営計画2026」でブランドカテゴリーの再編を打ち出しました。
そこで新設されたのが、「感性」や「共感」を重視する新たな「Xカテゴリー」です。「アンカード」と「バウンシー」は、その第1弾ブランドに位置付けられています。
老舗ブランドの強みを残しながら、新しい需要に対応
従来のリーガロイヤルホテルは、安心感や信頼感、落ち着いた上質さで支持を集めてきました。一方、新ブランドはそこに加えて、街との一体感や、記憶に残る滞在体験を重視しています。方向性は異なりますが、既存ブランドの価値を否定するものではなく、顧客層や利用シーンを広げるための展開と見ることができます。
「アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば」は、全室24㎡以上、洗い場付きバス、大浴場、グループ対応客室という実用性を備えつつ、街の魅力をホテル体験の中に取り込もうとしています。ロイヤルホテルにとっては、若年層との接点を広げる意味を持つと同時に、今後のブランド多角化の方向性を示す案件にもなりそうです。
福岡でも新ブランドを展開、今後の広がりにも注目

ロイヤルホテルは、大阪なんばに続き、2026年9月1日に「バウンシー・バイ・リーガ 福岡博多」を開業予定です。こちらも「Xカテゴリー」に属するブランドで、若年層やライフスタイル志向の旅行者を意識した展開となります。
大阪なんばの「アンカード」は、その先陣を切る存在です。老舗ホテル企業が、新しい旅行需要にどう応えていくのかを考えるうえでも、今後の展開を占う1軒として注目されます。
ホテル概要
名称:アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば
所在地:大阪府大阪市浪速区日本橋5丁目6番16号
交通:大阪メトロ堺筋線「恵美須町」駅 徒歩約2分、JR環状線「新今宮」駅 徒歩約10分、南海電車「なんば」駅 徒歩約15分
規模:地下1階・地上15階建て
客室数:200室
収容人数:582名
設備:レストラン、大浴場、サウナ、ランドリーコーナー
建築主:東急不動産株式会社
設計:株式会社プレジオ
施工:株式会社プレジオ
開業日:2026年4月3日
出典
- ロイヤルホテル・東急不動産「リーガロイヤルホテルズ 新ブランドホテル『アンカード・バイ・リーガ 大阪なんば』4月3日開業」
- ロイヤルホテル「中期経営計画2026」
- ロイヤルホテル「リーガロイヤルホテルグループの新規ホテル展開について」
- 日本経済新聞「ロイヤルホテル、難波の新ブランド公開 若年層・アジア客訴求」









