神戸市は2022年12月1日に、再開発が進むウォーターフロントの方向性を示した「神戸ウォーターフロントビジョン」を公表しました!2011年に策定したウオーターフロントの将来構想を描いた指針「港都神戸 グランドデザイン」の策定から約10年が経過した事から、昨今の社会経済情勢の変化をふまえつつ、神戸空港の国際化等を見据え2030年代前半に向けた今後10年間で取り組むべき施策の方向性が示されました。
新ビジョンでは、訪日客も意識した魅力あふれる海辺の街を目指す方針で、エリアごとに「リゾート感」や「開放感」などのコンセプトを定め、今後はこれらに沿ったまちづくりが進められます。
【出展元】
→「神戸ウォーターフロントビジョン」の公表について
新港突堤西地区は、賑わい×非日常×高揚感を感じられる空間
都市型水族館「アトア」が入る「神戸ポートミュージアム」や第1突堤のホテル「神戸みなと温泉 蓮」のに加え『上質なホテル』を誘致。2024年度に完成予定の第2突堤の多目的アリーナなどを活用し、夜にもイベントを開催するなど、非日常を楽しめるエリアする事で、ナイトタイムエコノミーの拡大を目指します。これは大阪・京都に比べ、インバウンド需要を取り込めていない神戸が抱える課題解消に向けた動きと言えます。
また、水域にはプレジャーボートなどが停泊するマリーナを開設。周辺には緑地空間を設け、人々が海を身近に感じながらリゾート気分をあじわえる空間に再編します。
中突堤周辺地区は、みなとまち神戸を感じる開放的な空間
メリケンパークを擁する中突堤周辺地区は、みなとまち神戸を感じる開放的な空間をコンセプトに整備が行われます。海辺で飲食を楽しめるよう売店やカフェを充実させるほか、神戸ハーバーランドとの回遊性も向上。改修工事中の神戸ポートタワーは、2024年春に再開予定で屋上に新たな展望エリアができるなど、さらに魅力が高まります。
京橋地区は『様々な交通モードが繋がる空間』
都心に近い京橋地区は、ウオーターフロントのエントランスとして位置づけます。新港突堤と中突堤の間に位置する為、様々な交通モードが繋がる空間に再編し、電動キックボードなどモビリティーの拠点やLRTの駅を設けることなどを想定。水域の一部を埋め立ててエリアを広げることも検討します。
都市間競争に打ち勝つ為の魅力創出に繋げる動き
神戸市は、周辺に有馬温泉や淡路島など近畿地方でも有数の集客力を持つ観光スポットがある為、神戸に滞在せずに観光客が通過してしまうという課題があります。インバウンドについても、外国人観光客の支持を集める大阪・京都に比べるとあまり恩恵を受けていない状況でした。
また神戸市は、震災後は復旧・復興のために発行した巨額の市債が財政を圧迫、攻めの投資が出来ない状況でしたが、最大約1兆8千億円にまで膨れ上がった市債残高は、震災から20年を経た 2015年に1兆円程度と震災前に近いレベルまで減少し、ようやく前向きな動きが取れる様になってきました。
ポストコロナ時代を迎えるこれからの10年は神戸にとって正に正念場です。都心部の再開発に加え、「神戸ウォーターフロントビジョン」が都市間競争に打ち勝つ為の魅力創出につながって行くのか、今後も注目したいと思いました。