台北101は、台北市信義区にそびえる高さ508mの超高層ビルで、2004年の完成当時には世界一の建築物として世界中の話題をさらいました。観光やショッピングはもちろんですが、やっぱり一番の目玉は展望台からの眺望です。
実は私自身、数年前にここを訪れたとき、まさかの「カメラのバッテリー切れ」によって展望台からの絶景を一枚も記録できないという痛恨の失敗をしました。あのときの悔しさがずっと胸に残っていましたが、今回は天候にも恵まれ、念願のリベンジがついに実現!その瞬間の高揚感とともに、台北101の魅力をたっぷりお届けします。
建物概要

台北101(Taipei 101)は、地上101階・地下5階、延床面積は約41万㎡という巨大スケールを誇る台湾随一のランドマークです。高さは508m。2004年の竣工当時は世界一の高さを誇り、世界中の注目を集めました。
設計は台湾の著名な建築家・李祖原氏、施工は日本の熊谷組を中心とする国際JVが担当。基礎は岩盤下30mにまでしっかり打ち込まれ、さらに上層部には世界最大級の「チューンド・マス・ダンパー(TMD)」が設置されています。台風も地震も多い台湾で、このビルが堂々と空を突き抜けているのは、こうした技術の結晶ゆえです。
デザインの特徴

台北101の外観は、とにかく独特。テーマは「竹」。8階ごとに区切られた“節”が8回連なり、天に向かって伸びていく姿は、まさに成長と繁栄のシンボル。縁起の良い数字「8」をふんだんに取り入れているあたり、台湾らしい文化の香りも漂います。
全面ガラス張りのファサードは現代的でありながら、寺院建築を思わせる宝塔のシルエットも融合。伝統とモダンが共存するデザインは、昼間は爽やかに、夜は幻想的に光り輝き、訪れる人の目を奪います。しかも、このガラスは8トントラックの重さにも耐え、紫外線や熱を約2/3カットするという高性能。見た目の美しさと機能性を兼ね備えたデザインなのです。
展望台からの眺め

さて、今回の訪問のクライマックスはここ。エレベーターに乗り込むと、わずか37秒で地上382mへ!分速1,010mというスピードに体がぐっと持ち上げられ、耳に気圧の変化を感じながらもあっという間に展望フロアに到着します。これだけでもちょっとしたアトラクション。
-
89階 屋内展望台(約382m)
眼下に広がる台北の街並みは圧巻。都市のスケール感が一望でき、夜には無数の光が瞬く宝石箱のような光景が広がります。ここでは巨大なTMDも見学可能で、建物を支える“縁の下の力持ち”を間近に体感。 -
91階 屋外展望台(約391m)
外気に触れながらの展望体験は格別!風を浴びながら眺める360度の景色は、屋内とは違った迫力があります。山並みや淡水河までクリアに見渡せたときの爽快感は、まさに「天空散歩」と呼びたくなる瞬間。 -
101階 スカイライン460(約460m)
VIP向けに限定公開される特別な展望エリア。東京スカイツリーの天望回廊(450m)とほぼ同じ高さ。今回は未体験・・。
日本の主要展望台との比較

台北101の高さは、日本の代表的な高層建築と比較しても圧倒的です。
建物 | 展望台高さ | 展望フロア階数 | 完成年 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
台北101 | 89F:382m91F:391m101F:460m | 89F・91F・101F | 2004年 | 屋内・屋外・VIPの3層展望台。多層的な体験が可能。 |
東京スカイツリー | 天望デッキ:350m、天望回廊:450m | 345F・450F相当 | 2012年 | 世界一高い電波塔。スロープ状の回廊が特徴。 |
東京タワー | メインデッキ:150mトップデッキ:250m | 150m・250m | 1958年 | 高さでは劣るが、昭和を象徴するランドマーク。 |
あべのハルカス | ハルカス300:288~300m | 58~60F | 2014年 | 日本一高い超高層ビル。吹き抜け構造で開放感抜群。 |
比較すると、台北101の91階屋外展望台(391m)は、あべのハルカス(300m)や東京タワー(250m)を大きく超えており、101階スカイライン460(460m)は東京スカイツリーの天望回廊(450m)とほぼ同じ高さ。数字を並べるだけでもワクワクしますが、実際に立ってみると「世界を見渡している感覚」がリアルに迫ってきます。
台北都心の眺め

台北101の展望台から眺めた台北市の様子です。台北市は台湾の首都で、政治・経済・文化の中心地です。北部に位置し、市域面積は約271.8km²、人口は2025年2月時点で約248万人。周辺の新北市や基隆市を含む台北都市圏(大台北都會區)は約2,457km²に広がり、総人口は約703万人に達します。さらに桃園市を加えた「北北基桃生活圏」では約925万人規模となり、台湾最大の都市圏を形成。交通網は高鉄、台鉄、MRT、高速道路が整備され、アジア有数の国際都市圏として発展を続けています。


台北101の展望台から眺めた台北都心の様子です。凄まじい密度感で、大阪ですら危ういのでは?と思えるほどの発展ぶりが広がっています。

写真中央に見えるタワークレーンは、台北雙子星大楼(台北ツインスタービル)の建設現場です。

出典:熊谷組
台北ツインスタービルは、台北駅西側で建設中の台湾最大級の都市開発プロジェクト。C1タワーは地上56階・高さ288mのオフィス棟、D1タワーは地上74階・高さ368mのオフィス・ホテル複合棟で構成され、総延床面積は約17万坪(約56万㎡)に達します。完成すれば台北101に次ぐ高さを誇るランドマークとなり、台北スカイラインを一変させる存在です。プロジェクト費用は約606億台湾ドル(約2,909億円 ※1TWD=4.8JPY換算)に及び、台北駅と直結した圧倒的な交通利便性を背景に、オフィス・商業・文化施設を融合。環境認証取得を目指すスマートグリーンビルとしても位置付けられ、完成後は約16,000人の雇用を創出し、年間数十億ドル規模の経済効果を見込む国家的プロジェクトです。

信義路(Xìnyì Lù)。台北市の中正区から信義区へ東西に延びる幹線道路で、旧市街と新都心を直結する大動脈です。西は中正紀念堂を起点に、市街を横断しながら東へ進み、台北101や市政府がある信義計画区に至ります。MRT淡水信義線や信義線が並走し、公共交通と連動して都市機能を支える重要な東西軸として台北の発展を支えています。




台北101周辺の新都心「信義計画区」。市政府移転を契機に整備された台北東部の再開発エリアです。台北101や南山プラザ、スカイタワーなど超高層ビルが立ち並び、金融機関や国際企業が集積。新光三越や微風信義など商業施設、国際会議場も揃い、観光とビジネスの中心地として発展。MRT市政府駅や台北101/世貿駅に直結し、台北の旧市街と並ぶ都市の二大拠点となっています。

富邦信義A25本部。台北市信義区に建つ高さ265.78m、地上54階・地下4階の超高層ビルで、台湾で6番目に高い建物です。敷地面積約18,020㎡、延床約132,363㎡で、オフィスタワー、商業施設、アートギャラリーで構成。設計はレンゾ・ピアノと姚仁喜。計画当初はホテルも含む複合開発でしたが、市場低迷により全てオフィスへ変更され、2024年に富邦美術館が開館、同年7月には富邦生命本社も移転しました。

国泰金融中心(Cathay Financial Center)は、台北市信義区松仁路に位置する超高層オフィスビルです。日本の建築家・鳥居徳敏の設計により2002年に竣工し、地上26階、高さは約105m。台湾を代表する大手金融グループ「国泰金控(Cathay Financial Holdings)」の本社として機能しています。2017年には米国の環境建築認証制度LEEDにおいてEBOMゴールド認証を取得し、台湾の生命保険業界における既存建築物として初のグリーンビルディング認証を受けた点も特徴です。信義区の国際金融エリアを象徴するビルの一つといえます。


台北ドーム(台北大巨蛋、Taipei Dome)。台北市信義区に建設された台湾初の本格的ドーム球場です。2011年に着工しましたが、安全性や契約を巡る論争で遅れ、2023年に完成しました。収容人数は野球で約4万人、コンサートでは約5万人規模。可動式屋根を備えた全天候型で、商業施設やホテルも併設し、信義区の都市空間と一体化。台湾プロ野球や国際大会、コンサートの拠点として期待される新ランドマークです。

国立国父紀念館。中華民国建国の父と称される孫文(孫中山)の生誕百周年を記念して建設された施設です。台北市信義区、すなわち市政府に近い台北市東部に位置し、1972年5月16日に竣工、同月20日から一般公開されました。
設計を手掛けたのは台湾を代表する建築家・王大閎であり、館内には展示館、講堂、図書館、庭園などが整備されています。そのため、単なる記念施設にとどまらず、演劇や展示会などが開かれる多目的文化センターとしての役割も果たしています。
まとめ

台北101は、単なる高層ビルではなく、台湾の技術力と文化を象徴するランドマーク。展望台からの眺めは、訪れる人すべてに「天空からの視界」という忘れられない体験を与えてくれます。
数年前の無念を晴らし、今回ようやくリベンジに成功しました。382m、391m、それぞれの高さから見下ろす台北の街は、同じ景色でありながら違った表情を見せてくれます。昼の澄んだ青空も、夜の光の海も、どちらも息をのむ美しさ。もし台北を訪れるなら、この「508mの天空体験」は絶対に外せません。あなたもぜひ、自分の目でこのスケール感を味わってみてください!