IHGホテルズ&リゾーツとGIキャピタル・マネジメントが手がける、アッパーラグジュアリーホテル「リージェント京都」が京都市左京区で正式着工されました。舞台は、世界の王侯貴族を迎えてきた老舗料亭「岡崎つる家」の敷地。伝統と革新が交差するこの一帯に、静かなる新章が刻まれます。
リージェント京都(仮称)京都TOプロジェクトが始動、IHG最高級ブランドが京都に進出!「岡崎つる家」敷地内にホテルを一体開発 現地の最新状況 24.02
着工は2025年5月、開業は2028年へ変更

出展:IHGホテルズ&リゾーツ/IHG・ANA・ホテルズグループジャパン
2025年5月23日、京都市左京区岡崎東天王町で「リージェント京都」の地鎮祭が執り行われ、計画が本格着工しました。開発主体はIHGホテルズ&リゾーツ(英国)とGIキャピタル・マネジメント株式会社(東京都千代田区)。当初2024年開業を目指していましたが、着工時期の遅れを受け、現在は2028年の開業を目指しています。
建設地は、平安神宮や京都市京セラ美術館に近接する文化的中核エリア。計画地に位置するのは、100年近い歴史を誇る名料亭「岡崎つる家」の敷地です。
計画概要──敷地面積3,630㎡、客室数83室の低層構成
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所在地:京都市左京区岡崎東天王町30番
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敷地面積:3,630.61㎡
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建築面積:2,403.09㎡
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延床面積:9,922.29㎡
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階数・高さ:地上4階・地下1階、高さ17.12m(S造一部SRC造)
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客室数:83室
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設計:久米設計
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施工:ーーー
建物は景観への配慮から低層・水平型構成とされ、京都らしいしっとりとした佇まいを目指します。
「岡崎つる家」の再生と一体運営
出展:岡崎つる家
再開発の中心には、1928年創業の老舗料亭「岡崎つる家」があります。皇室やエリザベス2世、ダイアナ妃、ブッシュ元米大統領、ミッテラン元仏大統領らが宿泊・会食に訪れた迎賓の場は、2021年4月をもって休業していました。
今回の計画では、既存建物の空間構成や景観との関係性を活かし、ホテル施設と一体的に再構成。建物の一部は解体されるものの、杮門・床柱・建具などの遺構を再利用し、伝統建築の価値を継承した再生が行われます。
岡崎つる家はホテルのテナントとしてではなく、強く連携するパートナー施設として営業を再開予定です。
リージェントブランド──東西融合の哲学と京都の親和性

出展:Regent Hotels & Resorts
リージェントホテルズ&リゾーツは1970年創業、東洋の静けさと西洋の洗練を融合させたデザイン哲学が特徴です。2018年、IHGが株式の過半を取得し再始動。現在は香港、バリ、カールトン・カンヌ、サンタモニカなどで展開されており、「リージェント京都」はアジアにおける象徴的拠点と位置づけられています。
室内には、“縁側”を現代的に解釈した客室設計が導入され、眼前の庭園と背後の東山の自然景観とを一体化。まさに「庭屋一如」の空間体験を提供します。
パークハイアット京都の先例と今後の波及
今回の計画は、「山荘 京大和」の敷地を再編して誕生したパークハイアット京都と構造的に類似しています。いずれも老舗料亭を母体に持ち、景観に配慮した低層高級ホテルを展開。京都における伝統資産活用型再開発のモデルとして位置づけられます。
老舗側にとっては老朽施設の再生とブランド継承、ホテル側にとっては類まれな立地の確保──その双方の利害が一致し、ポストコロナ時代の京都で注目される開発手法となっています。
IHGのコメントと展望
GIキャピタル代表のC・ジェームズ・リー氏は、「京都の静寂と美意識をリージェントブランドで昇華させることに誇りを感じる」と語り、IHG・ANA・ホテルズグループジャパンCEO アビジェイ・サンディリア氏は、「日本のラグジュアリー市場における成長を牽引する存在になる」と意義を強調しています。
IHGは現在、日本国内で10ブランド・54ホテルを展開し、今後17ホテルの新規開業を予定。本計画はその中でも戦略的フラッグシップと位置づけられています。
結びに
京都における文化継承と都市再生の接点に現れる「リージェント京都」。これは単なるホテル開発ではなく、100年の迎賓文化を未来へつなぐ、建築と経営の結節点であり、今後のラグジュアリーホテル市場や都市開発にも影響を与える計画といえるでしょう。
出典・参照:
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IHGホテルズ&リゾーツ プレスリリース(2025年5月29日付)
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建築計画のお知らせ(2024年2月確認)
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岡崎つる家 公式サイト
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Regent Hotels & Resorts ブランド資料(IHG)
リージェント・・大阪にもこのクラスのホテルを誘致したいですね。