2025年5月23日、京都市左京区岡崎東天王町にて「リージェント京都」の地鎮祭が行われ、長らく準備が続けられてきた計画がいよいよ本格的に動き始めました。開発主体はIHGホテルズ&リゾーツとGIキャピタル・マネジメント。当初は2024年開業を目指していましたが、着工時期の遅れにより、開業予定は2028年へと改められました。
建設地は、平安神宮や京都市京セラ美術館のほど近く。古くから文化の中心であった岡崎エリアの一角であり、そこには約100年の歴史を刻んできた老舗料亭「岡崎つる家」の敷地があります。
リージェント京都(仮称)京都TOプロジェクトが始動、IHG最高級ブランドが京都に進出!「岡崎つる家」敷地内にホテルを一体開発 現地の最新状況 24.02
「岡崎つる家」の再生と共に

1928年に創業した「岡崎つる家」は、皇室をはじめ、エリザベス女王やダイアナ妃、米ブッシュ元大統領、仏ミッテラン元大統領ら、世界の賓客を迎えてきた迎賓の場です。2021年4月に休業して以降、その行方が注目されていました。
今回の再開発では、建物の一部を解体しつつも、杮門や床柱、建具などの要素を新たな施設に活かし、景観との調和を意識した再構成が進められます。岡崎つる家はホテル内のテナントではなく、リージェントと強く連携しながら営業を再開する予定であり、伝統の継承と新しい時代への対応を両立する姿勢が示されています。
リージェントブランドと京都の親和性

出展:Regent Hotels & Resorts
リージェントホテルズ&リゾーツは1970年に創業し、東洋の静けさと西洋の洗練を融合させたデザイン哲学を大切にしてきました。2018年にIHGが株式を取得してからは、香港、バリ、カンヌ、サンタモニカといった世界各地で再展開が進められています。京都に開業するリージェントでは、客室設計に“縁側”の要素を取り入れ、庭園や東山の自然と一体化する「庭屋一如」の体験を重視。京都ならではの空間文化を国際的なラグジュアリーブランドに重ね合わせる構想が描かれています。
先行事例との共鳴

この形式には、すでに実績があります。二寧坂に開業した「パークハイアット京都」です。老舗料亭「山荘 京大和」の敷地を再編し、伝統建築や庭園を保存・再生しながらホテルを併設した例は、地域との調和を意識した都市開発として評価されてきました。
岡崎つる家とリージェント京都の取り組みも、同じ文脈に位置づけられます。老舗にとっては歴史あるブランドを守り続けるための選択であり、ホテルにとっては京都の核となる土地で新しい価値を創造する機会。両者の利害が重なったことが、この再開発を実現へと導いたといえます。
IHGの視点と今後の展望

出展:IHGホテルズ&リゾーツ/IHG・ANA・ホテルズグループジャパン
GIキャピタル代表のC・ジェームズ・リー氏は「京都の静けさと美意識をリージェントブランドで昇華させたい」と語り、IHG・ANA・ホテルズグループジャパンCEOのアビジェイ・サンディリア氏も「日本のラグジュアリー市場における成長を牽引する存在となる」と意義を強調しています。IHGはすでに国内で10ブランド・54ホテルを展開し、今後17軒の新規開業を予定。そのなかでもリージェント京都は、戦略的フラッグシップと位置づけられています。
京都にとっての意味

リージェント京都の着工は、都市開発としてだけでなく、文化資産を次の時代に受け渡す営みとしても注目されます。伝統建築の要素を残しつつ新しい機能を取り込み、迎賓文化を未来につなげる姿勢は、京都が抱える「守り」と「進化」の課題に一つの解を与えているように見えます。2028年の開業に向けて、この計画がどのように形を整えていくのか。京都という都市の歴史に新しいページが加わる過程を、静かに見守りたいところです。
計画概要

計画名称:(仮称)京都TOプロジェクト
所在地:京都市左京区岡崎東天王町30番
構造:S造、一部SRC造
階数:地上4階、地下1階 ※棟数:2棟
高さ:17.12m
主用途:ホテル
客室数:86室
敷地面積:3,630.61㎡
建築面積:2,403.09㎡
延床面積:9,922.29㎡
容積対象面積:9,272.72㎡
建築主:合同会社クレイン・アンド・スターズ
設計者:久米設計
施工者:大林組
着工:2023年09月19日(予定)←2025年5月23日(地鎮祭)
竣工:2025年12月01日(予定)←2027年末〜2028年初頭(予想)
開業:2028年
2025年8月の様子
現地の様子です。前回の取材が2024年2月だったので、約1年半ぶりの撮影です。
リージェント京都は、2025年5月23日に京都市左京区岡崎東天王町で地鎮祭が執り行われ、建設工事がいよいよ本格的に始まりました。当初は2024年の開業を目指していましたが、着工の遅れによりスケジュールが見直され、現在は2028年の開業を予定しています。
撮影時には、敷地内で山留工事や地中障害物の除去作業が進められており、現場は着実に次の段階へと移行している様子が確認できました。
ハイアングルで見た敷地内部の様子です。
敷地東側の様子です。
ついに工事が始まったリージェント京都。2022年からこの計画を追いかけてきただけに、現場で重機の動きを目にすると感慨深いものがありました。
着工前の様子
リージェント京都(仮称)京都TOプロジェクトが始動、IHG最高級ブランドが京都に進出!「岡崎つる家」敷地内にホテルを一体開発 現地の最新状況 24.02
リージェント・・大阪にもこのクラスのホテルを誘致したいですね。