出展:大阪観光局
米ニューヨークを拠点とする都市カルチャーメディアTime Outは2025年11月19日、2025年版「世界で最もクールなストリート」ランキングを発表しました。このランキングで、日本からは大阪・南堀江のオレンジストリート(立花通り)が世界2位に選出され、東京からは西原商店街が12位にランクインしています。
本ランキングは、観光名所や高級商業地を評価するものではなく、現在進行形で都市文化を形成している“通り”そのものに焦点を当てた点が特徴です。今回の結果は、インバウンドの拡大や大阪・関西万博を背景に、大阪という都市が世界の視点から再評価され始めていることを象徴するニュースとも言えます。
Time Outが選ぶ「世界で最もクールなストリート」2025年版
出展:https://www.timeout.com/ 1. Rua do Senado, Rio de Janeiro
Time Outによるこのランキングは、世界各都市の編集者ネットワークや現地視点をもとに、歩くことで都市の空気や文化を体感できるストリートを選出するものです。
2025年版の主な結果は以下の通りです。
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1位:Rua do Senado(ブラジル・リオデジャネイロ)
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2位:オレンジストリート(大阪・南堀江)
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3位:Rua do Bonjardim(ポルトガル・ポルト)
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9位:Orchard Street(アメリカ・ニューヨーク)
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12位:西原商店街(東京)
このほか、カナダ・モントリオール、ドイツ・ベルリン、オーストラリア・ブリスベンなど、世界各地のローカルストリートが名を連ねています。
評価基準に見えるTime Outの都市観
出展:https://www.timeout.com/ 6. Montague Road, Brisbane
Time Outが重視している評価軸は以下の点に集約されます。
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建築や景観が生む街並みの連続性
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博物館、ブティック、飲食店などの用途の多様性
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大規模再開発ではない、人のスケールで歩ける環境
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観光地化しすぎていない生活感と文化性
つまり評価されているのは「有名さ」や「高級さ」ではなく、その通りを歩くこと自体が都市体験になるかどうかという点です。
9位:オーチャードストリート(ニューヨーク)
出展:https://www.timeout.com/ 9. Orchard Street, New York City
Orchard Streetは、ローワー・イースト・サイドに位置し、8ブロックにわたって低層のレンガ造建築が続くストリートです。移民街としての歴史を色濃く残しながら、本屋兼ポッドキャストスタジオ「P&T Knitwear」やフォトブース博物館「AUTOPHOTO」など、新旧の文化が交錯する空間を形成しています。
飲食では「Scarr’s Pizza」や「Bar Contra」などが知られ、また移民の生活史を伝える「Tenement Museum」も、この通りを象徴する存在です。オーチャードストリートは、生活史の積層そのものが価値となったストリートと位置付けられます。
2位:オレンジストリート(立花通り・大阪)
大阪市西区南堀江に位置するオレンジストリートは、地下鉄四つ橋線・四ツ橋駅から徒歩約3分、アメリカ村三角公園にも近い立地にあります。この通りは、かつて全国有数の家具屋街として発展してきましたが、1990年代に一般公募で「オレンジストリート」という愛称が付けられ、意図的なイメージ転換が図られました。以降、カフェ、ブティック、インテリアショップ、雑貨店などが集積し、関西有数の流行発信地として再編されてきました。
主なスポットとしては、南堀江公園前のカフェ&ダイナー「TABLES」、ルーフトップレストランを備える「BIOTOP OSAKA」、インテリアセレクトショップ「TIMELESS COMFORT」、ストリートファッションを象徴する「Supreme Osaka」などが挙げられます。
なぜ大阪は世界2位に選ばれたのか

出展:TIMELESS COMFORT(タイムレスコンフォート)
オレンジストリートの評価で注目すべき点は、自然発生ではなく、用途転換と編集によって成立したストリートであることです。
オーチャードストリートが歴史と生活の積層によって形成されたのに対し、オレンジストリートは、
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家具屋街からの用途転換
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通り名の再定義
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店舗ジャンルの意図的な編集
というプロセスを経て成立しています。これは、巨大再開発やランドマーク建設とは異なる、ストリート単位での都市更新モデルと言えます。
外部視点が可視化した大阪の価値

外から見た大阪は、東京とは異なり、中央マスコミのフィルターを必ずしも介さずに評価される場面が少なくありません。そのため海外メディアや訪問者の視点を通すことで、国内にいると見えにくかった大阪の都市的価値が、逆に鮮明になるケースも多く見られます。
インバウンドの拡大や大阪・関西万博の開催決定を通じて、大阪はガイドブックや既存イメージを通さず、実際に歩いて体験される都市として世界に認識され始めました。
今回の評価は、そうした変化の中で、オレンジストリートのような通り単位の魅力が国際的に拾い上げられた結果と捉えることができます。
ストリートが都市価値をつくる時代へ
今回のランキングは、都市の価値が巨大プロジェクトだけで決まる時代から、人のスケールで編集されたストリートが国際的評価を左右する時代へ移行しつつあることを示しています。
大阪では、万博やIR、都心部の再開発が進む一方で、その足元にオレンジストリートのような完成度の高い都市の「ライン」が育ってきました。世界2位という評価は、その積み重ねが可視化された結果と言えるでしょう。
まとめ
なぜ大阪のような都市が、これまで(海外では)あまり知られてこなかったのでしょうか?日本は、世界に対して切り札を長く内側にしまい込んでいたのではないか。今回のランキングは、大阪が急に変わったことを示すものではありません。大阪が世界に発見された。そう捉えるほうが、実態に近いニュースと言えるでしょう。
2025年 世界で最もクールな通り 31選(全ランキング)
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セナド通り(Rua do Senado)/リオデジャネイロ(ブラジル)
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オレンジストリート(Orange Street)/大阪(日本)
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ボンジャルディム通り(Rua de Bonjardim)/ポルト(ポルトガル)
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芳華街(Fanghua Street)/成都(中国)
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シャーブルック・ストリート・ウェスト(Sherbrooke Street West)/モントリオール(カナダ)
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モンタギュー・ロード(Montague Road)/ブリスベン(オーストラリア)
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マイバッハ・ウーファー(Maybachufer)/ベルリン(ドイツ)
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オリンポス通り(Olympou Street)/テッサロニキ(ギリシャ)
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オーチャード・ストリート(Orchard Street)/ニューヨーク(アメリカ)
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ヴィンカイン通り(Vinh Khanh Street)/ホーチミン市(ベトナム)
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フランドル通り(Rue de Flandre)/ブリュッセル(ベルギー)
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西原商店街/東京(日本)
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グラヴィリエ通り(Rue Gravillier)/パリ(フランス)
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ジョー・チャット・ロード(Joo Chiat Road)/シンガポール(シンガポール)
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アベニダ・アルバロ・オブレゴン(Avenida Álvaro Obregón)/メキシコシティ(メキシコ)
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ジャラン・ケマン・ラヤ(Jalan Kemang Raya)/ジャカルタ(インドネシア)
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パニスペルナ通り(Via Panisperna)/ローマ(イタリア)
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ナクピル通り(Nakpil Street)/マニラ(フィリピン)
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アルサーカル・アベニュー(Alserkal Avenue)/ドバイ(UAE)
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キャンビーストリート(Cambie Street)/バンクーバー(カナダ)
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バルキージョ通り(Calle del Barquillo)/マドリード(スペイン)
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クルーフ通り(Kloof Street)/ケープタウン(南アフリカ)
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ブラックストック・ロード(Blackstock Road)/ロンドン(イギリス)
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デフェンサ通り(Defensa Street)/ブエノスアイレス(アルゼンチン)
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パシフィック・コースト・ハイウェイ(PCH/マリブ中心部)/マリブ(アメリカ)
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チャルンナコーン通り(Charoen Nakhon Road)/バンコク(タイ)
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ジャラン・プドゥ(Jalan Pudu)/クアラルンプール(マレーシア)
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ロスコー・ストリート(Roscoe Street)/シカゴ(アメリカ)
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スワンストリート(Swan Street)/メルボルン(オーストラリア)
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パスツール大通り(Boulevard Pasteur)/タンジェ(モロッコ)
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ノースダウン・ロード(Northdown Road)/マーゲート(イギリス)







