『(仮称)備後町開発プロジェクト』日本臓器製薬御堂筋ビル(旧・富士フイルム大阪ビル)跡地の再開発、KRD備後町開発特定目的会社(SPC)設立、部分的にテナントが退去 現地の最新状況 26.02


大阪市中央区備後町3丁目、御堂筋沿いに位置する日本臓器製薬御堂筋ビル(旧・富士フイルム大阪ビル)跡地は、再開発が噂されてきた注目の土地です。


同地はかつて富士フイルムが所有していましたが、2013年に日本臓器製薬へ所有権が移転しました。御堂筋では新景観ガイドラインの導入による規制緩和が進み、現在では高さ100mを超える超高層ビルの建設も可能となっています。旧ビルは2015年4月に解体されましたが、その後は具体的な再開発計画が表に出ることなく、長期間にわたりコインパーキングとして暫定利用が続いてきました。


しかし、コインパーキングの閉鎖を契機に、「(仮称)備後町開発プロジェクトに伴う埋蔵文化財発掘調査業務」が開始され、再開発は一気に具体化。発注者はKRD備後町開発特定目的会社、調査業者は株式会社 島田組で、調査期間は2025年10月17日から2026年12月28日までとされています。なお、労災保険関係成立票においても、事業期間は同じく2025年10月17日から2026年12月28日と記載されています。


約2か月ぶりに現地を取材したところ、ビル内で小さな変化が確認できました。前回、2025年12月時点の取材では「目立った退去の動きは見られない」とお伝えしていましたが、2026年2月の再取材では、3階の着物学院が退去、4階のダイエット教室が閉鎖していることが確認できました。さらに、5階以上は空室となり、テナント募集の掲示も見られない状況で、部分的ながらテナント退去が進んでいる様子がうかがえます。

一方で、1階の飲食店と2階の整骨院は引き続き営業を継続しており、現時点ではビル全体の解体や一斉立ち退きが差し迫った段階とは言い切れません。しかし、こうした段階的な退去の進行を踏まえると、御堂筋タイホービルが再開発に参加する可能性は、以前よりも一段と高まったと考えられます。



今回の「(仮称)備後町開発プロジェクト」では、発注者としてKRD備後町開発特定目的会社(SPC)が設立されています。SPC(特定目的会社)が用いられる背景には、不動産再開発特有のリスク管理や事業運営上の合理性が存在します。

金融設計・事業管理を合理化する「器」

SPCは、資金調達や事業管理の面でも有効です。建設資金の融資、将来の賃料収入、担保設定などをプロジェクト単位で整理できるため、いわゆるプロジェクトファイナンスを組みやすくなります。


「参加者の余地」を残すための柔軟な構造

特に注目されるのが、将来的な共同事業化(JV)への対応力です。SPCという形を取ることで、周辺敷地の地権者や別事業者が、後から出資という形でプロジェクトに参加する余地が生まれます。現物出資や持分調整などもSPC内で整理できるため、仮に周辺敷地を含めた一体的な再開発へ発展する場合でも、事業スキームを大きく組み替える必要がありません。

現時点では周辺敷地の参加は公表されていませんが、SPCが組まれていること自体が、将来の事業拡張や統合の可能性を排除していないことを示唆しているとも読み取れます。


出口戦略を選択できる点もSPCの利点

完成後のビルについても、長期保有、売却、REITやファンドへの組み入れなど、複数の出口戦略が考えられます。SPCであれば、物件そのものではなく、SPCの持分を譲渡する形での資本移動も可能となり、事業の柔軟性が高まります。

このように、備後町開発でSPCが用いられている背景には、リスク管理・資金調達・将来の共同事業化・出口戦略を同時に成立させるための、極めて実務的な判断があると考えられます。一見すると静かな動きに見えますが、事業の「土台」はすでに整えられつつある段階と言えそうです。

最後は南東側から見た様子です。南東角にあったコインパーキングも閉鎖されました。複数敷地を集約した大規模再開発に発展する可能性は、かなり高まったと思われます。

建設費高騰や人手不足により、再開発のスピードが低下しつつある大阪都心部において、実現すれば貴重な新規プロジェクトとして大きな注目を集めそうです。

2025年12月の様子

『(仮称)備後町開発プロジェクト』日本臓器製薬御堂筋ビル(旧・富士フイルム大阪ビル)跡地の再開発がいよいよ始動?現地で埋蔵文化財発掘調査が始まる!


Visited 193 times, 196 visit(s) today