JR西日本「はなあかり」、2026年夏は大阪から琵琶湖へ おごと温泉・大津へ向かう“走る観光導線”


出展:JR西日本

JR西日本の観光列車「はなあかり」が、2026年夏、滋賀・琵琶湖エリアで運行されます。運転開始日は2026年7月4日。9月27日までの一部土日祝に、全23日・計23本が設定されます。運転区間は、大阪駅からおごと温泉駅、または大津駅まで。いずれも琵琶湖の西岸・東岸を経由するルートで、各日1本が運行されます。

今回のポイントは、この列車が単なる大阪〜滋賀間の臨時列車ではないことです。

大阪を10時11分に出発し、琵琶湖を大きくめぐりながら、おごと温泉または大津へ向かいます。最短移動ではなく、あえて時間をかける。車窓、食、座席、停車駅でのおもてなしを組み合わせ、移動そのものを観光商品に変える設計です。

運行概要


項目 内容
列車名 観光列車「はなあかり」
運転開始日 2026年7月4日(土)
運転期間 2026年7月4日(土)〜9月27日(日)の一部土日祝
運転本数 全23日・計23本
運転区間 大阪駅〜おごと温泉駅/大阪駅〜大津駅
運行形態 各日いずれかのルートで1運行
主な経由線区 JR京都線、琵琶湖線、北陸本線、湖西線
「はなあかり」は、四季ごとに運行エリアを変えながら西日本各地を走る観光列車です。JR西日本は今回、2026年夏の舞台として滋賀を選びました。琵琶湖を車窓に望みながら、自然、歴史、食、温泉をつなぐ列車旅を打ち出します。

大阪発、琵琶湖をめぐる2つのルート

設定されるルートは2つあります。

ひとつは、大阪駅からJR京都線、琵琶湖線、北陸本線、湖西線を経由して、おごと温泉駅へ向かうルートです。もうひとつは、大阪駅からJR京都線、湖西線、北陸本線、琵琶湖線を経由して、大津駅へ向かうルートです。いずれも大阪から滋賀へ直行するというより、琵琶湖をめぐること自体を楽しむ行程になっています。
停車駅 着時刻 発時刻
大阪 10:11
新大阪 10:15 10:17
京都 10:49 10:58
大津 11:06 11:08
草津 11:39 11:41
近江八幡 12:01 12:03
彦根 12:20 12:23
米原 12:30 12:33
長浜 12:43 12:53
近江舞子 14:07 14:22
おごと温泉 14:38
停車駅 着時刻 発時刻
大阪 10:11
新大阪 10:15 10:17
京都 10:49 10:58
山科 11:04 11:06
大津京 11:11 11:12
比叡山坂本 11:17 11:18
おごと温泉 11:21 11:40
近江舞子 12:00 12:10
近江今津 12:27 12:59
長浜 13:45 13:57
米原 14:05 14:07
彦根 14:13 14:15
近江八幡 14:31 14:33
草津 14:45 14:48
大津 15:00
大阪からおごと温泉へは14時38分着、大津へは15時00分着です。都市圏から近い滋賀を、あえて半日かけて楽しむ。その“遠回り”こそが、今回の観光列車の価値になっています。

料金は「移動費」ではなく「体験商品」の価格帯

出展:JR西日本

料金を見ると、「はなあかり」が通常の移動手段ではなく、観光体験として設計されていることがよく分かります。

片道・通常期・大人1人あたりの料金例は、大阪〜おごと温泉間でスーペリアグリーンが9,930円、グリーン車ボックス席・グリーン車指定席が7,730円。大阪〜大津間では、スーペリアグリーンが9,770円、グリーン車ボックス席・グリーン車指定席が7,570円です。
区間 設備種別 運賃 特急料金 グリーン料金等 合計
大阪〜おごと温泉 スーペリアグリーン 1,120円 2,420円 6,390円 9,930円
大阪〜おごと温泉 グリーン車ボックス席・グリーン車指定席 1,120円 2,420円 4,190円 7,730円
大阪〜大津 スーペリアグリーン 960円 2,420円 6,390円 9,770円
大阪〜大津 グリーン車ボックス席・グリーン車指定席 960円 2,420円 4,190円 7,570円
スーペリアグリーンは2名利用時の1人あたり料金で、1名利用の場合は大阪〜おごと温泉が16,320円、大阪〜大津が16,160円となります。グリーン車ボックス席は区画単位で発売され、2名用は2名、4名用は3名または4名で利用する設定です。
設備種別 設備定員 利用人数 必要な運賃・料金
スーペリアグリーン 2名用 1名または2名 運賃+特急料金+スーペリアグリーン料金
グリーン車ボックス席 2名用 2名 運賃+特急料金+グリーン料金
グリーン車ボックス席 4名用 3名または4名 運賃+特急料金+グリーン料金
グリーン車指定席 1名 1名 運賃+特急料金+グリーン料金
価格だけを見ると、日常の大阪〜滋賀移動とは明らかに別物です。ですが、ここで売られているのは距離ではありません。ゆったりした座席、琵琶湖をめぐる車窓、沿線の食、停車駅での地域交流を組み合わせた“半日型の観光体験”です。

近江牛、琵琶鱒、湖東銘菓 滋賀の食を車内へ


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車内では、滋賀らしい食のサービスも用意されます。食のサービスは観光ナビ「tabiwa by WESTER」で事前予約限定販売となり、チケットは乗車日の1か月前10時から4日前まで購入できます。商品は、対象の受け渡し駅出発後にアテンダントが席まで届ける方式です。
商品名 対象列車 提供 受け渡し駅 価格
岡喜近江牛サーロイン弁当・ドリンク付 土曜日、7/20、9/21、9/23の大阪→おごと温泉行き 大津「岡喜 大津店」 大津駅 4,800円
湖東銘菓2種と涼花フルーツあんみつセット 土曜日、7/20、9/21、9/23の大阪→おごと温泉行き 彦根「いと重菓舗」・近江八幡「和た与」 近江八幡駅 2,000円
おごと温泉 近江の玉手箱・ドリンク付 日曜日、9/22の大阪→大津行き おごと温泉「近江懐石 清元」 おごと温泉駅 5,900円
国産和栗の錦糸モンブラン 日曜日、9/22の大阪→大津行き 長浜「CLUB MAISON」 長浜駅 1,600円
岡喜近江牛サーロイン弁当には、近江牛サーロインステーキや近江牛すき焼き、滋賀県産「みずかがみ」のごはんなどが盛り込まれます。おごと温泉「近江の玉手箱」には、近江牛、琵琶鱒、小鮎、近江野菜、琵琶湖産食材などが使われます。湖東の銘菓や長浜のスイーツも含め、列車に乗った瞬間から滋賀を味わえる構成です。

駅と車内で地域をつなぐ


出展:JR西日本

「はなあかり」は、車内だけで完結する列車ではありません。停車駅や沿線地域でのおもてなしも組み込まれています。

近江今津駅や長浜駅では地域物産品の販売やパンフレット配布、大津駅では観光案内所での飲み物・菓子のおもてなしや、大津百町ガイドツアーが予定されています。おごと温泉駅では、横断幕やご当地キャラクター「おごとん」による出迎えも行われます。
場所・区間 主な内容
近江今津駅 地域物産品の販売、パンフレット配布
長浜駅 パンフレット配布、地域物産品の販売
大津駅 観光案内所での飲み物・菓子のおもてなし、大津百町ガイドツアー
おごと温泉駅 横断幕による出迎え、ご当地キャラクター「おごとん」による出迎え
車内販売 地域のお土産品、飲料、沿線地域の酒・おつまみ、「はなあかり」グッズなど
車内おもてなし 地域物産品販売、観光PR、パンフレット配布、ノベルティ配布など
車内販売は、土曜日が京都駅〜おごと温泉駅間、日曜日が京都駅〜草津駅間で実施される予定です。アテンダントが乗車し、2号車サロンで地域ならではの商品を販売します。販売品の一例として、滋賀県長浜市のスイーツ店「TABLE SIX Patisserie」による、滋賀県産米粉を使ったバトンケーキも紹介されています。

予約方法は「通常きっぷ」と「宿泊セットプラン」

きっぷは、JR西日本インターネット予約「e5489」で乗車日の1カ月前10時から予約できます。全国の駅のみどりの窓口、主な旅行会社窓口でも発売されます。グリーン車指定席には「観光列車チケットレス」も設定され、特急券部分をモバイル端末で購入できます。

また、一部座席については、通常発売に先行して「はなあかり」の乗車と宿泊がセットになった旅行商品も販売されます。tabiwaトラベルのプランは「片道観光列車『はなあかり』+宿泊セットプラン」として設定され、列車の座席、車内のお弁当・スイーツ、宿泊を組み合わせた内容になっています。

なぜ大阪発なのか

今回の設定で重要なのは、出発地が大阪であることです。

滋賀は京都・大阪から近く、琵琶湖という圧倒的な観光資源を持っています。一方で、近いからこそ日帰りや通過型の移動になりやすい面もあります。そこで大阪発の観光列車を設定し、終着地をおごと温泉や大津に置くことで、滋賀での滞在、宿泊、食、地域消費につなげようとしていると見られます。

特におごと温泉は、京都・大阪からアクセスしやすい温泉地でありながら、関西圏の主要温泉地の中では、さらに知名度を伸ばす余地があります。そこに観光列車を走らせることは、滋賀の温泉地を「近場の移動先」ではなく、「週末に時間をかけて楽しむ目的地」として再編集する試みといえます。

滋賀観光を「通過」から「滞在」へ変えられるか


出展:JR西日本

今回の「はなあかり」は、滋賀観光の見せ方を変える企画でもあります。

大阪から最短で滋賀へ向かうのではなく、琵琶湖をぐるりとめぐります。車内で近江牛や湖魚、和菓子を味わい、停車駅で地域のおもてなしを受け、最後におごと温泉や大津へ着地します。移動の途中に、滋賀の食、風景、歴史、物産を挟み込むことで、滋賀を「すぐ行ける場所」から「時間をかけて楽しむ場所」へ変えようとしています。

鉄道会社にとっても、これは沿線価値を高める取り組みです。鉄道は人を運ぶだけではなく、地域の食、宿泊、観光、物販へ消費を広げる導線になり得ます。「はなあかり」は、その役割を担う走るショーケースといえます。

今後の注目点


出展:JR西日本

注目したいのは、実際にどこまで地域消費につながるかです。

列車単体の予約が好調でも、終着地での宿泊、食事、観光、買い物に波及しなければ、地域に落ちる効果は限定的になります。反対に、おごと温泉や大津での滞在につながれば、観光列車は単発のイベントではなく、都市圏から滋賀へ人を流す新しい観光導線として機能します。

2026年夏の運行は期間限定ですが、成果次第では滋賀方面への観光列車商品が今後も再設定される可能性があります。大阪発で琵琶湖をめぐるこの列車が、滋賀観光の新しい入口になるのか。運行後の予約状況と地域への波及が焦点になります。

まとめ

2026年夏の「はなあかり」は、単なる観光列車ではありません。

大阪都市圏から滋賀へ人を流す、走る観光導線です。大阪を出発し、京都を抜け、琵琶湖をめぐり、車内で滋賀の食を味わい、温泉地や湖都へ向かいます。近い場所を、あえて時間をかけて楽しむ。そこに今回の企画の面白さがあります。

滋賀を「通過する場所」から「滞在する場所」へ変えられるのか。JR西日本「はなあかり」の2026年夏運行は、その可能性を試す一手になりそうです。




出典

  • JR西日本「観光列車『はなあかり』で雄大な琵琶湖が広がる滋賀へ 2026年夏 大阪~おごと温泉・大津間運行!!」
  • JRおでかけネット「はなあかり」運行情報・購入方法
  • JRおでかけネット「食のサービス」「駅・車内でのおもてなし」資料
  • tabiwaトラベル「観光列車『はなあかり』で行く おごと温泉・大津への旅」

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