四国初の「コートヤード・バイ・マリオット」が高知に!2028年秋開業へ、約3億人のBonvoy会員基盤と接続し県内観光・土讃線への波及を狙う


出展:JR四国

高知市本町3丁目で計画されている「コートヤード・バイ・マリオット高知」が、2028年秋の開業に向けて建設段階に入りました。2026年9月17日には安全祈願式が行われ、外観や客室デザインなど計画の具体像も明らかになりました。

地上14階、210室という施設規模も注目されますが、このプロジェクトの意味はホテルの新設だけにありません。大きなポイントは、高知が2億9,500万人を超えるMarriott Bonvoy会員を抱える世界規模の予約・会員ネットワークに加わることです。

マリオットを通じて新たな旅行者を高知へ呼び込み、その人流を中心市街地や県内観光へ広げ、さらに土讃線などの交通利用にもつなげる。コートヤード高知は、ホテル、不動産、観光、鉄道を横断して新しい需要を取り込むプロジェクトです。

高知市中心部に地上14階・210室、2028年秋開業へ

計画地は、高知新聞社旧本社跡地です。高知城や帯屋町などへ徒歩でアクセスできる中心市街地に位置します。外観には高知の伝統的な織物「土佐紬」、客室には高知の「清流」をイメージした意匠を取り入れ、国際ホテルブランドの中に地域性を組み込みます。
項目 計画内容
名称 コートヤード・バイ・マリオット高知
所在地 高知市本町3丁目40-1(地番)
規模 鉄骨造・地上14階
延床面積 約11,852㎡
客室数 210室
主な施設 オールデイダイニング、ミーティングルーム、フィットネスジムなど
駐車場 平面76台(荷捌き・車いす用を含む)
建物所有 JR四国
運営 EastGateホスピタリティー
詳細設計・工事監理・施工 大林・合田特定建設工事共同企業体
工事契約額 85億円
開業 2028年秋予定
※延床面積、駐車場台数は2024年11月の入札公告時点。85億円は「新築他工事」の契約価格で、総事業費ではありません。

なぜJR四国は、自社ブランドではなくマリオットを選んだのか


出展:JR四国

交通新聞によると、JR四国はホテル計画の検討段階で、自社グループの「JRホテルクレメント」も選択肢としていました。しかし、訪日客への知名度が高く、地域活性化への波及効果も期待できるとして、最終的にマリオットとの協業を選んだとされています。

その判断を実際の集客につなげるのが、マリオットの世界規模の販売・会員基盤です。Marriott Internationalによると、Marriott Bonvoyの会員数は2026年6月末時点で2億9,500万人を超え、ホテルネットワークは世界1万軒超、約181万室に広がっています。

コートヤード・バイ・マリオット高知の開業によって、高知もこの巨大な予約ネットワークに組み込まれます。約3億人の会員に対し、世界共通のブランド、予約システム、ポイントプログラムを通じて「高知」という目的地を継続的に提示できるようになる点は、地域単独で国内外に情報発信するホテルとの大きな違いです。
従来 マリオット進出後に加わる接点
高知を訪れることを決めてからホテルを探す マリオットを入口に高知を知る
国内中心のホテル集客 世界のBonvoy会員から検索・予約される
ホテル単独の販売・情報発信 Marriott公式サイト・アプリ・会員基盤を活用
高知を認知する旅行者が中心 高知を意識していなかった旅行者とも接点が生まれる

「高知へ行くから泊まる」だけでなく、「泊まりたいホテルがあるから高知へ」


出展:JR四国

Marriott Bonvoyの公式サイトやアプリでは、目的地からホテルを探すだけでなく、ポイントで宿泊できるホテルや、ブランドを起点に旅行先を検討することもできます。

ここで生まれ得るのが、従来の「高知へ行くのでホテルを探す」という流れに加え、「泊まりたいマリオットがあるので、高知を旅行先として検討する」という逆方向の需要です。特にポイントを保有する会員にとっては、ポイント宿泊が可能なホテルの存在そのものが、旅行先を決める一つの要素になります。


バンコク・マリオット・ホテル・スクンビット

国際ホテルチェーンには、世界各地で「使い慣れている」という強みもあります。初めて訪れる国や都市でも、普段利用しているブランドであれば、予約方法やチェックイン、会員資格、ポイント制度といった基本的な仕組みを理解した状態で利用できます。サービス内容はホテルごとに異なりますが、慣れたブランドであること自体が、海外旅行では安心材料になり得ます。

 


コートヤード・バイ・マリオット名古屋

これは訪日客にとっても同様です。東京、大阪、京都などでマリオット系列を利用してきた旅行者にとって、高知にも同じネットワークのホテルが加われば、四国を旅程に組み込む心理的なハードルは下がります。

さらに、Bonvoy会員やホテル愛好家が高知を訪れ、高知城や帯屋町、仁淀川、飲食店などをSNSや旅行サイトで発信すれば、ホテルを入口として地域そのものの認知が広がる効果も期待できます。

コートヤード・バイ・マリオット高知は、210室の宿泊施設であるだけでなく、世界規模のホテルネットワークを通じて、高知を国内外の旅行者へ届ける新たな窓口になり得ます。

マリオットで呼び込み、高知市街・県内観光・土讃線へ広げる


出展:https://shikoku-tourism.com/spot/10061

JR四国の四之宮和幸社長は、安全祈願式に合わせ、宿泊客に高知県内を周遊してもらい、さらに高知への移動で土讃線を利用してもらうことで、鉄道事業への波及効果にもつなげたいとの考えを示しています。

つまりJR四国が描くのは、「ホテルへの宿泊 → 高知県内の周遊 → 地域での観光消費 → 鉄道利用」という人の流れです。

JR四国とマリオットは計画発表時から、仁淀川、吉野川、物部川など、高知ならではの自然や文化を楽しむアドベンチャートラベルの拠点として同ホテルを位置付けています。狙いは、ホテル内だけで消費を完結させることではありません。宿泊客を高知市中心部から県内各地へ送り出し、宿泊需要を観光、飲食、交通など地域全体の消費へ広げることにあります。

コートヤード・バイ・マリオット高知は、宿泊施設そのものを目的とするだけでなく、高知を訪れる人を増やし、県内を周遊させ、JR四国の鉄道利用にもつなげる「人流の起点」としての役割を担うことになります。
段階 生み出したい流れ
① 認知 Marriott・Bonvoyを通じて高知を知る
② 宿泊 コートヤード高知に泊まる
③ 市街地 高知城、帯屋町、飲食店などを回遊
④ 県内周遊 仁淀川など県内各地へ足を延ばす
⑤ 交通 土讃線など鉄道・交通利用へ波及

まとめ:世界の集客基盤を、高知の新たな移動需要へ


出展:JR四国

コートヤード・バイ・マリオット高知の最大のポイントは、2億9,500万人を超えるMarriott Bonvoy会員を抱える世界的なホテルネットワークに「高知」が加わり、国内外の旅行者との新たな接点が生まれることです。

JR四国が狙うのは、その集客力をホテルの宿泊収益だけで終わらせることではありません。マリオットを入口に高知へ旅行者を呼び込み、市街地や県内各地への周遊を促し、観光・飲食など地域での消費、さらには土讃線をはじめとする鉄道利用へと人流を広げていく構想です。

人口減少が続く四国では、沿線人口だけを前提に鉄道需要を伸ばすことには限界があります。だからこそ、「高知へ行く人を待つ」のではなく、「このホテルがあるから高知へ行く」という需要そのものを生み出すことに意味があります。

ホテル、不動産、観光、鉄道を横断しながら、地域外から新たな人流を呼び込む。2028年秋に開業するコートヤード高知は、JR四国が進める事業多角化と、交流人口を起点とした新たな需要創出を象徴するプロジェクトになりそうです。




主な出典

  • JR四国・マリオット・インターナショナル「コートヤード・バイ・マリオット高知」開業計画
  • JR四国「JR四国高知新ホテル(仮称)新築他工事」入札公告・落札者等の公示
  • JR四国「中期経営計画2030」
  • Marriott International 2026年第2四半期資料
  • 高知さんさんテレビ、テレビ高知 2026年9月17日報道
  • 観光経済新聞(交通新聞提供)

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