広島電鉄が「併用軌道40km/hの壁」を突破へ!8号線で全国初の最高50km/h営業運転、9月18日開始 次は7号線・他車両へ拡大



広島電鉄は2026年9月18日始発から、8号線の十日市町―別院前間で最高速度50km/hの営業運転を開始します。対象は1000形「GREEN MOVER LEX」で、1日15往復程度。従来の最高40km/hから10km/h引き上げます。

道路上で自動車と並走する併用軌道で、40km/hを超えて旅客営業を行うのは全国初です。

対象区間は約770mと短く、当面の所要時間短縮は限定的です。一方で、長年の前提だった「併用軌道は原則40km/hまで」という運行条件を、無客試験から実際の営業運転へ進めた**点に大きな意味があります。

9月18日から8号線で最高50km/h運転


項目 内容
営業開始 2026年9月18日始発
対象路線 広島電鉄8号線
区間 十日市町―別院前
区間長 約770m
最高速度 40km/h → 50km/h
対象車両 1000形「GREEN MOVER LEX」
実施本数 1日15往復程度
事前試験 2026年3~6月
法的扱い 国交省が軌道運転規則の例外取扱いを許可
今後 7号線、他車両、他区間へ拡大を検討
広電は2026年3~6月に無客で速度向上試験を実施し、安全性を確認しました。その結果を踏まえ、今回から旅客を乗せた営業運転へ移行します。

狙いは「速達性」と「道路交通との共存」

50km/h化の狙いは、単なる最高速度の引き上げではありません。路面電車の速達性を高めるとともに、自動車との速度差を縮め、道路交通との共存を改善することにあります。広電は、速度差の縮小が接触事故の抑制にもつながるとみています。

一方、速度向上には安全確保が前提です。道路構造や信号、視認性、制動性能、運転方法などを検証し、50km/h運転が可能な条件を満たした区間で実施する考えです。
テーマ 狙い・効果
速達性 電停間の走行時間を短縮
表定速度 対象区間の拡大で路線全体の所要時間短縮へ
道路交通 自動車との速度差を縮小
安全性 接触事故の減少を期待
運用 50km/h営業に必要な条件・データを蓄積
制度 40km/h超運転を営業環境で検証

770mでは短縮効果は小さい、本命は表定速度の向上



約770mを一定速度で走行すると仮定すると、40km/hでは約69秒、50km/hでは約55秒。理論上の差は約14秒です。

実際の営業運転では、加減速や信号待ち、道路交通の影響を受けるため、50km/h化による所要時間短縮は限定的です。重要なのは、50km/h運転を営業列車で実施できる環境が整い、今後の適用拡大につながる段階に入ったことです。

都市交通の速達性を左右するのは最高速度だけではなく、停車時間や信号待ちを含めた表定速度です。広電では、駅前大橋ルートの開業や線形改良、快速運転など、ネットワーク全体の速達性向上を進めています。

今回の50km/h化もその一環であり、今後は適用区間の拡大に加え、信号制御や停留場配置などの改善を組み合わせ、路面電車全体の表定速度をどこまで引き上げられるかが焦点になります。
速度 理論上の走行時間
40km/h 約69秒
50km/h 約55秒
約14秒

全国一律の規制緩和ではなく、まずは広島で先行導入



道路上を走る併用軌道では、軌道運転規則により最高速度は原則40km/hとされています。今回は規則そのものを全国一律に改正したのではなく、広電が国土交通省から例外取扱いの許可を受け、条件を満たした区間で50km/h運転を行います。

対象となる1000形は設計最高速度80km/hであり、今回の焦点は車両性能ではなく、道路上で自動車と並走する環境の中で、安全かつ安定して50km/h運転を行えるかという点にあります。

国土交通省、警察庁、有識者、軌道事業者などは「路面電車の速度向上に係る検討会」で、安全対策や運行条件を検討してきました。今回の広島での営業運転は、その成果を実運用へ移す先行事例となります。
従来 今回
併用軌道は原則40km/h 条件を満たす区間で50km/h
全国共通の規則 個別の例外許可
無客試験 旅客を乗せた営業運転へ

次は7号線、他車両・他区間へ



広電は今回の8号線を起点に、段階的な拡大を想定しています。
段階 内容
STEP 1 8号線・1000形で営業開始
STEP 2 同区間を走る7号線へ拡大
STEP 3 対象車両を拡大
STEP 4 対象路線・区間を拡大
今後の焦点は、50km/h運転をどこまで連続した区間へ広げられるかです。対象区間が広がり、信号制御や運行改善と組み合わされれば、広電ネットワーク全体の表定速度を押し上げる効果が期待できます。

また、営業運転で得られる安全性や道路交通への影響などのデータは、将来、他都市で40km/h超運転を検討する際の参考材料にもなります。

まとめ

広島電鉄8号線の50km/h運転は、約770m、1日15往復程度という限定的な条件から始まります。短期的な時間短縮は小さいものの、原則40km/hだった併用軌道で、旅客を乗せた50km/h営業を実用化すること自体に大きな意味があります。

今後、7号線、他車両、他区間へ対象が広がれば、今回の取り組みは単なる「最高速度10km/hアップ」から、広電ネットワーク全体の速達性を高める施策へ発展していく事が期待されます。




出典・参考資料

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