関西空港は、2018年9月の台風21号よる浸水被害を受け、防災対策工事が行われていましたが、先日、護岸のかさ上げ工事がほぼ完了し報道陣に公開されました。
台風21号では、高さ5mの高潮が護岸を越え、滑走路や電源設備が浸水。さらに風であおられたタンカーが連絡橋に衝突して通行不能となり、一時、約8,000人が取り残されるなど、空港機能が長期間まひし、防災対策に課題を残しました。その為、関西空港は2019年5月から防災対策工事に本格着工し、護岸の嵩上げや電源設備の移設など抜本的な防災対策を行う事になりました。総事業費約541億円(うち270億円は国が負担)です。
【出展元】
→災害対策(ハード面)について (関西国際空港の防災機能強化対策事業計画)
上の写真は、タンカーが衝突し破損した橋桁が撤去された直後の様子です。
最大の対策は護岸の嵩上げです。大きな浸水があった1期島の護岸約6kmを1.5m~最大で2.7mかさ上げする事で3年前の台風21号と同じ規模の5mの高潮から浸水の被害を防げる様になりました。また、越波が大きかった東側と南側の護岸約4.5kmロに、重さ12-20トンの消波ブロックを約39,300個設置。高潮の威力を弱めます。こちらは、現在までに作業は約80%終えており今秋に完成する予定です。
嵩上げされた護岸と設置が進む消波ブロックの様子です。写真左側のクルマと比較すると、その規模の大きさが解ると思います。オレンジ色の建物は「排水ポンプ制御盤・受配電盤」でシェルター化されています。
ターミナルビル側でも対策が行われました。まず、第1ターミナル付近や給油地区に高さ約2mの止水板を設置。嵩上げした護岸を超えて台風21号の2倍以上となる600万立方メートルの浸水があったとしても、ターミナルまで水が入らない様に対策が施されました。
また台風21号では、電源設備などが地下にあった為、浸水により大きなダメージを受ける事になりました。防災対策工事では、これらの設備を地上に移設。たとえ浸水被害が起きたとしても電源を喪失しない様に改修されました。これらの二重三重の対策により、長期間空港機能が失われるリスクを最小化する事を目指しています。
1:護岸のかさ上げ
1期島の護岸約6kmを1.5m~2.7mかさ上げを実施。台風21号の高さ5mの高潮を防ぐ
2:消波ブロック設置
東側と南側の護岸のうち約4.5kmロにわたり、重さ12-20トンの消波ブロックを約39,300個設置。
3:滑走路・誘導路のかさ上げ
海面からの高さが約3mの滑走路を50cm程度かさあげ
4:止水板の設置
第1ターミナル付近や給油地区に高さ約2mの止水板を設置。護岸を超えて台風21号の2倍以上となる600万立方メートルの浸水があったとしても、ターミナルまで水が入らない様にする
5:電源設備等の移設
浸水によるターミナルの停電を防ぐための電源設備を地下から地上に移設
関空の国際線エリア拡大へ 万博関連でインフラ計画策定―政府(JIJI.COM)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021082700442&g=eco