2025年4月4日、神戸市中央区新港第2突堤に多目的アリーナ「GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)」が開業しました!収容人数は約1万人で、民設民営の大規模アリーナとして、神戸市のウォーターフロント再整備の中心を担います。
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基本スペックと設計の特徴

施設は敷地面積約23,700㎡、延床面積約32,200㎡で、地上7階建てです。構造は鉄骨造および鉄骨鉄筋コンクリート造で、大林組が設計・施工を担当しました。座席はU字型(馬蹄型)に配置されており、ステージ設営や各種イベントに柔軟に対応できます。正面には国内最大級のLEDビジョンを常設し、183mのリボンビジョンや昇降式のセンターハングビジョンも備えています。床面には可動式のロールバックチェアを採用しており、イベント内容に応じてレイアウトを変更できる設計となっています。
神戸ストークスの本拠地として活用

アリーナは、B.LEAGUE所属「神戸ストークス」のホームアリーナとなります。2023年に西宮から神戸へ拠点を移し、チーム名も変更されました。2025年には最上位カテゴリである「B.PREMIER」への参入が決まっており、本施設はその基準に対応しています。こけら落とし試合は4月5日・6日に開催され、初日にはDa-iCEの大野雄大さんが国歌独唱を行いました。開業月は「オープニング月間」として、複数のイベントが企画されました。
「TOTTEI」構想と都市再整備との連携

アリーナが立地する新港第2突堤エリアは、「TOTTEI(トッテイ)」の愛称で再整備が進められています。アリーナを北端とし、西側には飲食店舗群、南側には都市型公園「TOTTEI PARK」が配置される構成です。
TOTTEI PARKは約6,000㎡の敷地に整備され、全天候型イベントスペースや芝生の丘を備えています。2024年2月には、日本初となる「港湾環境整備計画(みなと緑地PPP)」の認定を受け、官民連携による整備が進行中です。竣工は2025年4月25日。「TOTTEI PARK」については、別記事でご紹介する予定です。
プロジェクトの経緯と運営体制

本プロジェクトは、2021年に神戸市が実施した公募により、NTT都市開発・スマートバリュー・NTTドコモの3社によるコンソーシアムが優先交渉権を獲得したことを起点としています。建物はNTT都市開発が所有し、運営はスマートバリューの子会社であるOne Bright KOBEが担っています。土地は神戸市が保有しています。2022年には、神戸市とスマートバリューの間で都市再生に関する協定が締結され、2025年3月に竣工を迎えました。
長期運営と地域連携への取り組み

GLION ARENA KOBEは、今後50年を見据えた長期運営を前提に、稼働率80%を目標としています。スポーツやコンサートだけでなく、展示会やMICE需要の取り込みも想定されており、地域企業や団体との連携も強化されています。また、来場者向けに「TOTTEI KOBE公式アプリ」の提供も始まっており、スタンプラリーやクーポン配布を通じて施設周辺の回遊性向上を図っています。
アリーナ開発が進む中での位置づけ

全国では近年、大型アリーナの整備が相次いでいます。2024年には千葉県で「LaLa arena TOKYO-BAY」が竣工し、2025年秋には「TOYOTA ARENA TOKYO」が開業予定です。いずれもB.LEAGUEクラブの拠点として、都市型アリーナとしての活用が進められています。
GLION ARENA KOBEも同様に、スポーツ施設にとどまらず、都市のにぎわい創出と地域経済の活性化を担う多機能拠点として位置づけられています。三宮再整備や周辺観光施設との連携により、ウォーターフロント全体の再価値化が期待されています。
GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)の様子

ここからは、GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)の様子を、少なめのキャプションとともに画像でご紹介します。現地の雰囲気を感じていただければ幸いです。












開業から4か月、アリーナ型都市拠点の可能性を検証するフェーズへ

2025年4月の開業から約4か月が経過し、GLION ARENA KOBEはB.LEAGUE神戸ストークスの公式戦や各種コンサート・イベントを通じて、安定的な施設稼働を継続しています。観客席の視認性や音響設備の完成度、アクセス利便性などに対する評価も概ね良好で、ウォーターフロント活性化の起点として一定の成果を示しています。
同時に、TOTTEI PARK「緑の丘」が4月下旬に竣工したことで、アリーナ周辺の滞在価値も向上しつつあります。アプリ連動によるスタンプラリーやクーポン施策なども始動しており、官民連携型スマートシティモデルの具体化が着実に進んでいます。

今後の展開と注目点(2025年下半期以降)
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10月開幕予定のB.LEAGUE 2025-26シーズンに向けた集客戦略が本格化
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神戸ストークスのBプレミア参入1年目における地域浸透の成果が問われる
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MICEや企業貸切イベントの誘致状況がアリーナの稼働率と収益構造に直結
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TOTTEIエリア全体のブランド確立と民間投資誘導が今後の鍵
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三宮再整備との広域連携によるウォーターフロント全体の回遊性強化
GLION ARENA KOBEは、単体施設としての完成度に加え、周辺空間や都市全体との連動性を備えた都市インフラ型プロジェクトとして注目されています。今後は、地域経済や観光、地元コミュニティとの接続度が評価の軸となり、継続的な改善と官民の協調体制が求められます。
2025年下半期は、このアリーナが「神戸の競争力を高める装置」として機能するかを見極める重要な局面に入ります。単なる施設運営にとどまらず、都市戦略上の“核”としてウォーターフロントに賑わいを生み出せるのか、その動向に今後、いっそうの注目が集まりそうです。