野村不動産、タオ・エンターテイメント、JTBコミュニケーションデザイン、野村不動産コマースの4社は、和太鼓パフォーマンス集団「DRUM TAO」の専用劇場 「DRUM TAO THEATER KYOTO」 を2026年4月に開業すると発表しました。
場所は京都駅八条口のアバンティビル9階。駅直結という利便性の高い立地により、観光客・ビジネス客の双方が利用しやすい都市型劇場となります。
1:京都駅前に誕生する新常設劇場「DRUM TAO THEATER KYOTO」
DRUM TAOはこれまで 31カ国・500都市で活動し、累計観客1,000万人超 を動員してきました。
舞台芸術の国際市場において、日本発のノンバーバルコンテンツとして確立された存在であり、その専用劇場を京都駅前に置くことで、京都の観光動線にも大きな変化が期待されます。
京都は世界的観光都市でありながら、夜間楽しめるコンテンツが限られてきました。
駅前の常設劇場は、これまで不足していた「ナイトタイム観光」の受け皿を担う存在となります。
2:ラウンジ・屋上・ギフトショップが生む新しい鑑賞体験

新劇場は、従来の“観て帰るだけ”の劇場とは明確に異なり、滞在型エンターテインメントを志向しています。
LOUNGE(ラウンジ)

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バーカウンターが設置された滞在空間
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巨大提灯・暖簾・紋章など、京都の工芸とDRUM TAOの世界観を併せた象徴的なインテリア
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観劇前に世界観へ“没入”し、観劇後には余韻を楽しむ場所として機能
伝統工芸を空間演出に組み込むことで、海外客にとっては「京都文化への入口」としての役割も果たします。
ROOFTOP(屋上)

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景観を楽しめる屋外の休憩空間
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公演後に余韻を語る観客同士の交流スペースとしても活用可能
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コロナ禍以降需要が高まった“屋外滞在価値”に応える空間設計
GIFT SHOP(物販)

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劇場限定グッズに加え、京都企業とのコラボ特産品を展開
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観劇体験を“持ち帰れる価値”へ転換し、京都観光との相乗効果を生む
劇場内で「世界観の形成 → 鑑賞 → 体験の持ち帰り」が一気通貫で設計されている点は、現代のエンタメ施設に求められる新しいUX(ユーザー体験)と言えます。
3:1日2公演で広がる京都の夜間エンターテインメント
本劇場は1日2公演制を採用。
異なるコンセプトの演目を提供し、短期滞在の観光客でも旅程に組み込みやすい構成となっています。
ノンバーバル形式の強み
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言語を必要としないため世界中の観光客が理解できる
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子どもから高齢者まで幅広い層に受け入れられる
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映画・舞台・ミュージカルのように“言語で分断されない”点が大きな利点
京都は昼間の観光密度が高い反面、夜に観光客が滞在しづらい構造が長年の課題でした。
1日2公演×駅前立地×ノンバーバルは、京都の夜間回遊を大幅に改善するポテンシャルを持ちます。
4:JCBが協賛する新たな文化支援モデル
協賛としてJCBが参画し、
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日本文化の国際発信
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地域活性化
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インバウンド向けサービス強化
を掲げています。
クレジットカード会社が文化施設と連携するのは近年増加しており、“文化×金融”の組み合わせは、ライブ・ミュージカル市場におけるスポンサー戦略の新潮流でもあります。
今後は、
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会員向け先行予約
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特別席の設定
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VIP向けツアー
など、JCBと劇場との連動サービスも期待されます。
5:各地で広がる和太鼓×デジタル演出イベント
京都駅前の専用劇場とは別に、全国の商業施設でも、クリスマスシーズンを中心に和太鼓演奏と光・音響を組み合わせたイベントが増えています。
活用が加速している背景
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インバウンド比率の上昇
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都市空間の体験価値化(エクスペリエンス・エコノミー)
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デジタル演出技術の高度化
商業施設側が「伝統芸能の都市再編集」という新たな文脈をつくり始めている点が注目されま
6:和太鼓が都市空間で選ばれる4つの理由
※パフォーマンスのイメージ。本件とは直接関係ありません!
和太鼓は伝統芸能の中でも特に都市空間での扱いやすさが際立っています。
① 視覚・音響のインパクト
太鼓の造形美、振動を伴う音圧、身体を使ったパフォーマンスは、商業空間でも即座に“イベント感”を演出します。
② 記号性の高さ(日本らしさの象徴)
外国人観光客にとっては「最も分かりやすい日本文化」の1つであり、非言語でも意味が伝わります。
③ デジタル演出との高い相性
光・音・映像などの現代演出と容易に同期できるため、
「伝統×テクノロジー」の象徴的な組み合わせとして機能します。
④ 屋内外どちらでも展開可能
最小限の設備で公演可能なため、
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商業施設
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駅前広場
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ホテルロビー
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国際イベント会場
など、場所を選びません。
7:文化・商業・観光をつなぐ関係主体の狙い
和太鼓イベントや専用劇場は、複数の主体の利害が一致して成立しています。
商業施設・ディベロッパー
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来館者数の増加
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回遊時間と売上の向上
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ブランド価値の向上
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SNSでの広がり(UGC)創出
観光部門(自治体・DMO)
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夜間経済の活性化
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観光コンテンツの多様化
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インバウンドへの文化的訴求
文化団体・パフォーマー
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都市部での新たな活動場所
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若年層・海外層へのリーチ拡大
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伝統芸能のアップデート
クリエイティブ企業(音響・照明・映像)
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デジタル演出の実証と拡販
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大型商業施設との継続的取引
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文化×技術の新市場開拓
和太鼓は、複数の産業領域を“ハブ”としてつなげる文化装置になりつつあります。
8:海外事例に見る「都市型文化資本」への再編集
和太鼓の都市活用は、世界の文化都市でみられる潮流と並行しています。
バリ島・ケチャダンス
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観光と結びつけた「夕日×ダンス」のパッケージ商品
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炎や照明を取り入れた都市型演出
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英語解説で文化理解の壁を下げる
ケチャは「儀式舞踊」から「観光エンタメ」へと形を変え、島全体のブランド価値向上に寄与しています。
スペイン・フラメンコ
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都市中心部にタブラオ小劇場が立ち並ぶ
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体験型レッスンが観光商品の一部に
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映画・広告・ファッションと連動して“街の文化イメージ”を形成
フラメンコは文化資産から都市アイデンティティへと昇華し、観光・産業と横断的につながる存在になっています。
9:和太鼓の再パッケージ化がもたらす価値
和太鼓の都市再編集は、以下のような構造変化を伴います。
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伝統芸能 → 都市型エンタメ
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祭礼芸能 → 体験商品(パフォーマンス)
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文化資産 → 商業施設の価値向上ツール
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日本的象徴性 → インバウンド戦略の核
視覚・音響・身体性の三位一体のパフォーマンスは、海外の文化資本モデルにも匹敵する都市価値を生み出します。
10:和太鼓が「都市型文化IP」へと進化する未来像
※パフォーマンスのイメージ。本件とは直接関係ありません!
今後、和太鼓は以下のような形で都市文化の中心に組み込まれていく可能性があります。
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駅前常設劇場の全国展開
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商業施設での定期公演・季節イベントの拡大
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インバウンド向けワークショップの有料化
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デジタル演出との融合(光・映像・AR)
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国際イベントでの活用(EXPO・スポーツ大会)
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文化芸能の“ショー産業化”の加速
和太鼓は、日本の文化資本の中でも特に都市適応性が高く、音楽・観光・商業・テクノロジーの多領域で価値創出が可能です。
11:まとめ:和太鼓が拓く文化×都市の新モデル

DRUM TAO THEATER KYOTOの開業と、関西の商業施設で進む和太鼓イベントは、
「文化 × 空間 × 企業戦略」 が交差する新しい都市モデルの萌芽を示しています。
和太鼓は、伝統芸能に根ざしながらも都市空間に適応しやすく、
エンターテインメント、観光、商業、都市ブランディングの交点で大きな価値を発揮します。
今後、和太鼓はケチャダンスやフラメンコと同様に、都市ブランドを象徴する “都市型文化IP” としての存在感を高めていくと考えられます。
【出典元】
→京都駅すぐ、世界を魅了する“和太鼓エンタメ”の新劇場~ 正式名称が『DRUM TAO THEATER KYOTO』に決定








