国立国会図書館 関西館は、京都府相楽郡精華町にある国立国会図書館の関西本館です。東京都にある国立国会図書館・東京本館の蔵書収容能力が限界に達しつつあるため、高度情報化社会に対応した「電子図書館」の機能をも盛り込み、2002年10月に京都府相楽郡精華町の関西文化学術研究都市に開館しました。
【出展元】→国立国会図書館関西館新館(仮称)
→ 関西館の建設目的・基本機能
→国立国会図書館関西館新館(仮称)建築工事における 建設発生土の工事間利用
国立国会図書館関西館は、2002年10月に収蔵能力約600万冊の規模で開館しましたが、開館後17年が経過し容量不足が見えてきた事から、500万冊の収蔵能力を備えた新館(書庫棟)が建設されました。これにより関西館の収蔵能力約は約1100万冊に増え、東京本館の1200万冊に匹敵する規模となりました。
関西館は、図書館資料の収蔵スペースを長期的に確保し、21 世紀の高度情報化社会における情報需要に的確に対応するとともに、関西地域の大型情報提供施設としての機能を果たすことを目的として計画されました。 その主な建設目的は、 図書館資料の増加に対応した収蔵書庫の確保、 高度情報化社会に対応した図書館サービスの提供です。
従来型の東京本館は、関東地方以外に在住の方々の情報要求に答える事が難しい状況でした。関西館は、利用者が直接来館する事なく、遠隔地から国民共有の情報資源に対して容易にアクセスが可能となる、「非来館型」の利用に適した体制が構築された、「電子図書館」の機能を備えた新しいサービスの拠点として活動を行っています。
国立国会図書館 関西館 新館整備計画の概念図です。今回完成した新館(書庫棟)は、現状の敷地内に建設用地を造成整備し、後世に残す資料を収蔵する書庫を 3段階に分けて整備する第 1 段階の事業です。
今後は、完成した書庫棟の南側に、さらに2棟の書庫棟を段階整備する計画で、関西館の収蔵能力を約2000万冊まで増強される予定です。これにより、今後の資料増加45年分に対応する事ができます。
本館(写真左)と書庫棟(写真右)の様子
書庫棟は、東京本館の収蔵能力の補完、出版物の大規模収蔵及び分散保存という関西館の基本機能を十分発揮するために、機能面、安全面、環境面、景観面の視点からバランスの取れた高機能な書庫の実現を目指しています。 また、本館との景観的な関係や将来的な段階整備に配慮した計画にするとともに、膨大な収蔵物の集積 を感じることができる空間づくりとしています。
【建築概要】
名称:国立国会図書館 関西館 書庫棟
計画名称:国立国会図書館関西館新館(仮称)新築工事
工事場所:京都府相楽郡精華町精華台8-1-3
建築主:国立国会図書館
発注者:国土交通省近畿地方整備局
設計:株式会社日本設計
監理:株式会社礎建築事務所
施工:建築工事:五洋建設株式会社、電気設備工事:住友電設株式会社、機械設備工事:大成設備株式会社
主要用途:書庫
構造:S一部SRC造
階数:地下1階地上7階建て
敷地面積:82,665.38m2
建築面積:46,80.24m2
延床面積:24,998.07m2
工期:2016年9月10日〜2020年2月20日
【機能面】
・ 将来的な段階整備を見据えた動線と設備ルートを計画
・ 本館との関係を考慮したゾーニングとし、明快な書庫エリアを形成
・ 書架に応じた寸法でモジュール設定し約500万冊の収蔵が可能な高密度書架配置計画
・ 書庫内を室温 22℃(± 2℃)/ 湿度 55%(± 5%)を制御目 標とし、適正な保存環境を保持した計画
・ 将来的な書架の増設にも対応しやすいインフィル整備区分
【景観面】
・本館より高さを低く抑え、かつ幅を揃えることで従属的な関係として計画
・本館ガラスキューブに正対した北側の一部をガラス壁面で構成し、作業エリアに自然採光を確保。
・繊細で重厚感のある外装とすることで本館との対比的調和を図る
・低層基壇部を屋上緑化することで既存共用部へ緑の潤いを与える
南東側空見た様子です。周辺に比較対象となるモノがないのでヴォリューム感が掴めませんが、桁行き 123m×梁間 30.8mの巨大な建物です。
物理的な収蔵能力が大幅に強化された国立国会図書館 関西館。今後は、物理収納+デジタルアーカイブの拠点となり、国民共有の情報資源に対して容易にアクセス出来る電子図書館として、その存在感が増して行く事になりそうです。