『BEB(ベブ)門司港 by 星野リゾート』福岡県に初進出! 北九州・門司港レトロに若者向けホテル、日帰り観光中心の港町に「滞在」という選択肢を追加【2026年7月開業予定】

星野リゾート(長野県軽井沢町)は2025年12月15日、若者向けホテルブランド「BEB(ベブ)」の新施設 「BEB5門司港 by 星野リゾート」 を、福岡県北九州市の門司港レトロ地区に2026年7月24日に開業すると発表しました。同社の福岡県内への進出は今回が初となります。

新ホテルは、現在建設が進む、地上10階建て複合施設(仮称)門司港レトロ地区複合施設新築工事「PORT TOWN MOJIKO」の3階から10階部分に入り、客室数は119室。1階・2階には飲食店などの商業施設が併設され、観光客の滞在時間を延ばす拠点として整備されます。門司港レトロ地区における大型ホテルの開業は21年ぶりとなります。

「居酒屋以上 旅未満」若者向けに特化したBEBブランド

「BEB」は星野リゾートが展開する中でも、価格帯を抑え、20〜30代の若年層や友人同士のグループ利用を主なターゲットとしたカジュアルホテルブランドです。
コンセプトは「居酒屋以上 旅未満 みんなでルーズに過ごすホテル」。飲み会よりも少し特別で、旅行ほど構えない滞在を想定しています。

宿泊料金は2名1室利用時で1泊1人6,600円から(税込・食事別)。さらに29歳以下を対象に、曜日やシーズンによる価格変動をなくした「えこひいきプラン」も用意され、若年層が利用しやすい価格設計となっています。

なぜ門司港に「BEB」なのか?

門司港レトロは、関門海峡を望む景観と歴史的建築群を併せ持つ全国有数の観光地です。一方で、観光の多くが日帰りにとどまってきたという構造的な課題を抱えてきました。星野リゾート企画開発グループの瀬尾光教ディレクターは、記者発表で「景観が非常に良く、日帰りではもったいない場所」と語っています。この発言が示す通り、今回の開業は単なる宿泊施設の追加ではなく、門司港での過ごし方を“昼だけ”から“夜まで含めた滞在”へ広げることを狙ったものです。

都市圏からのアクセスが良く、仲間同士で気軽に訪れやすい門司港において、「帰れる距離だから帰る」という行動を、「夜まで過ごして泊まる」選択肢へ転換することが、BEB5門司港の役割といえます。

関門海峡を最大限に活かす滞在設計


全室海峡ビューと最上階「TAMARIBA」

BEB5門司港の大きな特徴は、全119室すべてが関門海峡に面した「海峡ビュー」である点です。定員3名のツインルームや、最大4名で利用できる「ヤグラルーム」など、グループ利用を想定した客室構成となっています。

また、ホテル最上階には24時間利用可能なパブリックスペース 「TAMARIBA」 を設置。飲食物の持ち込みが推奨されており、日中の船の往来、夕景、夜景と、時間帯ごとに表情を変える関門海峡を眺めながら、自由に過ごせる空間が用意されます。

ここで重視されているのは、客室の豪華さではなく、共用空間での過ごし方そのものを滞在価値に変える設計です。若者向け・低価格帯でありながら満足度を確保するための、合理的な設計思想といえます。

21年ぶりの大型ホテル開業


商業施設併設で夜間滞在を後押し


ホテルが入る複合施設は、美里建設(北九州市)が北九州市のプロポーザル入札により用地を取得して整備しています。1階・2階の商業施設「」はJLLリテールマネジメントが運営し、焼きカレーやラーメン、すし、アイスクリームなど、門司港の名物グルメを中心とした店舗が入居予定です。宿泊機能と飲食機能を同時に整備することで、夜間の滞在需要を街全体へ波及させる狙いがうかがえます。

北九州市の思惑


宿泊不足の解消と民間投資の呼び水

北九州市は「観光大都市への進化」を掲げる一方で、宿泊施設の不足が長年の課題となってきました。武内和久市長は今回の進出について、「泊まって楽しむ観光地への転換につながる」と期待を示しています。

市は現在、JR門司港駅前に位置する市有地「旧JR九州本社ビル」のホテル活用に向けた提案公募も進めており、BEB5門司港の開業は、門司港エリア全体における宿泊機能強化と民間投資誘導の象徴的な事例となりそうです。

関門エリアを見据えた星野リゾートの展開


星野リゾートは、対岸の山口県下関市においても、リゾートホテル「リゾナーレ下関」を2025年12月に開業しています。門司港では若者向けのカジュアル滞在、下関ではリゾート滞在と、同一エリア内でブランドと客層を明確に分ける戦略を取ることで、相互の競合を避けつつ、関門エリア全体での滞在需要の拡大を狙っています。

まとめ


門司港観光の「次の段階」への布石

BEB5門司港 by 星野リゾートは、単なる新規ホテル開業ではなく、


  • 日帰り中心だった観光動線に「宿泊」を加える

  • 若年層・グループ需要を取り込む

  • 夜間滞在を前提とした消費を生み出す

という、門司港観光の質的転換を支えるプロジェクトです。

この取り組みが、街側の夜間コンテンツや回遊性の強化と噛み合えば、門司港レトロは「立ち寄る観光地」から「滞在する港町」へと、確実に一段階上のフェーズへ進むことになります。






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