マリオット、「シティエクスプレス by マリオット」をアジア初展開。大阪・新今宮と難波南に2026年開業 既存ホテルを戦略的リブランド、ミッドスケール市場の拡大を加速


マリオット・インターナショナルは、パシフィカホテルズ合同会社(Pacifica Hotels G.K.)との契約締結を発表し、大阪市内の既存ホテル2軒を「City Express by Marriott(シティエクスプレス by マリオット)」ブランドへリブランドすることを明らかにしました。

既存ホテルを改装した上で、2026年に「シティエクスプレス by マリオット大阪新今宮」および「シティエクスプレス by マリオット大阪難波南」として開業する予定です。この開業は、アジア太平洋地域における「シティエクスプレス by マリオット」ブランドの初展開となります。

ブランド概要:「City Express by Marriott」とは

「シティエクスプレス by マリオット」は、品質・シンプルさ・一貫性を重視したミッドスケールブランドで、都市部から郊外まで幅広い立地で展開しています。ビジネスやレジャーなど多様な目的で訪れる旅行者に対し、モダンで機能的な客室とリラックスできる滞在空間を提供します。世界4か国で約150軒を展開しており、マリオット・インターナショナルのグローバルロイヤリティプログラム「Marriott Bonvoy」の対象ブランドとして、会員は無料宿泊や限定体験などの特典を利用できます。

新今宮・難波南の2ホテル概要


ホテル名 所在地 階数 客室数 アクセス
シティエクスプレス by マリオット大阪新今宮 大阪市西成区萩之茶屋 9階建 約100室 JR大阪環状線・南海本線・大阪メトロ「新今宮駅」隣接
シティエクスプレス by マリオット大阪難波南 大阪市西成区花園北 14階建 約143室 大阪メトロ四つ橋線「花園町駅」隣接、国道26号沿い
両ホテルはいずれも交通利便性の高い立地にあり、あべのハルカス、天王寺、なんば、心斎橋、大阪ドーム、大阪城公園など主要観光エリアへのアクセスが良好です。
南海本線を利用すれば関西国際空港への直通アクセスも可能で、国内外の旅行者の多様なニーズに対応します。

大阪市場での位置づけと背景

最高級:セントレジス大阪の客室

大阪はインバウンド回復とともにホテル需要が再び拡大しています。マリオットはこれまでラグジュアリーやアップスケール中心に展開してきましたが、今後は中価格帯の拡充を通じてブランドのすそ野を広げる方針です。今回の「シティエクスプレス」導入により、世界標準の信頼性を備えつつ、バリュー志向層やビジネス出張層にも対応できる宿泊ポートフォリオが整います。

新今宮・花園町エリアは近年、再開発や観光需要の高まりによりホテル建設が進んでおり、マリオットブランドの進出は地域再生の流れを加速させる可能性があります。

シティ・エクスプレスとフォーポイント フレックス、二段構えの戦略構造

出展:フォーポイント フレックス by シェラトン 大阪梅田

マリオット・インターナショナルは現在、2つのミッドスケールブランドを日本市場に投入しています。「シティ・エクスプレス by マリオット」は新興ブランドとしての標準化戦略を担い、「フォーポイント フレックス by シェラトン」は既存資産の迅速なブランド転換を推進しています。


項目 シティ・エクスプレス by マリオット フォーポイント フレックス by シェラトン
ターゲット市場 ミッドスケール(低価格帯)/宿泊特化型 ミッドスケール(低価格帯)/宿泊特化型
展開目的 アジア太平洋地域での新たな標準の確立 既存ホテル(ユニゾ等)の大量リブランドによる迅速展開
ブランド戦略 【新規・標準化】 機能性・シンプルさを追求し、アジア市場で新しい基準を確立 【既存・迅速化】 「シェラトン」ブランドの信頼性を活かし、短期間で市場シェアを拡大
ロイヤルティ特典 宿泊実績加算に一部制限(例:2泊で1泊分)を設け、オーナー収益性を両立 ←同左
市場への影響 日系ビジネスホテルと直接競合。品質と国際ブランド力で差別化 ←同左
マリオットは「フォーポイント フレックス」でスピード重視の市場シェア獲得を進めつつ、「シティ・エクスプレス」で構造的なブランド定着を狙う二段構えの戦略を展開。この動きにより、低価格帯ホテル市場の国際競争が一段と激化する見通しです。

市場への影響と今後の展望

APAホテルの客室。日系ホテルの牙城「ビジネスホテル」を侵食?

ミッドスケール市場は、訪日観光客の増加や出張需要の回復により拡大を続けています。マリオットはブランド力とロイヤリティプログラムという無形資産を武器に、日系ビジネスホテルが支配してきた領域へ本格参入しました。これにより、業界全体で「価格以外の付加価値」(デザイン・朝食・地域体験など)強化の流れが加速するとみられます。

また、シティ・エクスプレスのアジア展開が成功すれば、日本がアジア戦略のテストマーケットとなり、地方都市や観光地への展開モデルとして位置づけられる可能性があります。






出典

  • マリオット・インターナショナル(2025年11月10日プレスリリース)

  • Pacifica Hotels G.K.

  • AB Capital Investment Limited

  • Marriott News Center

  • Four Points Flex by Sheraton Press Release(2025年7月)