関西エアポートは2025年12月22日、2025-26年の年末年始期間(2025年12月26日~2026年1月4日、計10日間)における関西国際空港の国際線旅客数予測を発表しました。それによると、期間中の国際線旅客数は73万4,800人となる見通しで、前年の年末年始(2024-25年、76万4,930人)と比べて約4%減(96%水準)となります。
全体としては微減となるものの、その内訳を見ると、方面別で明暗が分かれる構図が鮮明になっています。
出発は年末、到着は年始にピーク集中
出発・到着のピーク日は、例年通り年末と年始に集中する見通しです。
-
出発のピーク:12月28日(日) 約4万1,800人
-
到着のピーク:1月4日(日) 約4万1,600人
年末に海外へ出国し、年始に帰国するという、年末年始特有の人の流れが今年も明確に表れています。
このため、日によって保安検査場(出発側)と入国審査場(到着側)の混雑ポイントが入れ替わる構造となります。
1日平均は7万3,480人、出発・到着の内訳
期間中の1日平均旅客数は7万3,480人で、内訳は以下の通りです。
-
出発:3万8,310人/日
-
到着:3万5,170人/日
前年差を見ると、出発側の減少幅がやや大きく、到着側は比較的底堅いことが分かります。
出発方面別:韓国・東南アジアが好調、中国は大幅減
出発方面別では、旅客動向に大きな変化が見られます。
-
韓国:11万9,000人(前年比113%)
→ 前年2位から1位へ浮上 -
東南アジア:7万3,800人(前年比114%)
→ 引き続き高い水準を維持
一方、前年に最多だった中国は6万8,400人(前年比64%)にとどまり、3位に後退する見通しです。
複数の報道によれば、関西空港では12月の中国便が当初計画から約34%減となり、週177便が運休する見込みとされています。
日中関係の影響を受け、中国側が運航計画を調整していることが、中国方面の旅客数減少の主因とみられています。
年末年始 国際線 日別旅客数予測(2025-26年)
国際線旅客数(日別・出発/到着/合計)
| 日付 | 曜日 | 出発(人) | 到着(人) | 合計(人) |
|---|---|---|---|---|
| 12月26日 | 金 | 41,100 | 34,600 | 75,700 |
| 12月27日 | 土 | 41,300 | 36,600 | 77,900 |
| 12月28日 | 日 | 41,800 | 31,900 | 73,700 |
| 12月29日 | 月 | 39,300 | 27,900 | 67,200 |
| 12月30日 | 火 | 38,300 | 30,600 | 68,900 |
| 12月31日 | 水 | 35,700 | 32,200 | 67,900 |
| 1月1日 | 木 | 35,400 | 35,100 | 70,500 |
| 1月2日 | 金 | 36,600 | 40,300 | 76,900 |
| 1月3日 | 土 | 37,100 | 40,900 | 78,000 |
| 1月4日 | 日 | 36,500 | 41,600 | 78,100 |
| 合計 | 383,100 | 351,700 | 734,800 | |
| 期間平均 | 38,310 | 35,170 | 73,480 |
※前年(2024-25年)の実績は12月27日~2025年1月5日の10日間で、曜日配列は今回と一致していません。
混雑への備え、早めの空港到着を呼びかけ
関西エアポートでは、ピーク日を中心に保安検査場や入国審査場の混雑が予想されるとして、利用者に対し時間に余裕を持った空港到着を呼びかけています。
特に、出発ピークとなる12月28日、到着ピークとなる1月4日は、通常よりも待ち時間が長くなる可能性があります。
まとめ:微減でも見える「需要構造の変化」
今回の予測では、国際線旅客数は前年比4%減と微減となりましたが、
その内実を見ると、
-
中国依存の低下
-
韓国・東南アジアへの需要分散
-
ピーク需要の維持
といった構造的な変化が浮かび上がります。
右肩上がりで推移してきた関西空港の国際線利用客数は、足元では一時的な調整局面に入ったといえます。しかし、今回の中国側の運航調整を受けた状況は、見方を変えれば、過度な中国依存というリスクを低減し、需要構造を分散させる好機と捉えることもできます。関西空港の国際線需要は、単純な回復・減少の局面を超え、方面別に再編されつつある段階に入っているといえそうです。
出典・参考資料
-
関西エアポート株式会社
「2025-26年 年末年始期間中の国際線旅客数予測」





