USJ、最大3000億円で本格的な敷地拡張へ 現パーク北側の旧日本製鉄跡地など6万㎡、大阪の国際集客都市戦略に追い風



ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が、最大3000億円を投じ、現在のパーク北側へ本格拡張する計画が浮上しました。

日本経済新聞の報道によると、旧日本製鉄工場跡地など約6万㎡を活用し、複数の新アトラクションを整備します。投資額は2000億~3000億円。大阪市有地については2028年ごろに賃貸借契約を結ぶ方向で、現在約1600万人の年間来場者数をさらに上積みする考えです。

USJは公式にも「将来的なパーク拡張」を掲げていますが、今回報じられた投資額、開業時期、導入IPなどは正式発表前です。

USJ拡張計画の概要


項目 現時点の内容
投資額 2000億~3000億円
追加用地 約6万㎡(約6ha)
場所 現パーク北側、旧日本製鉄工場跡地など
土地 日本製鉄所有地、大阪市有地を含むとみられる
大阪市との契約 市有地を2028年ごろに賃借する方向
整備内容 複数の新アトラクション
導入IP・開業時期 未公表
年間来場者数 現在約1600万人から、さらに上積みを目指す

本質は6haの増床ではなく「土地制約からの解放」

大阪市の環境影響評価資料では、USJ建設事業の対象面積は約54haです。今回の追加用地約6haを単純に加えると約60ha相当になりますが、54haは駐車場などを含む事業面積で、拡張後の正式なパーク面積は公表されていません。

重要なのは、面積そのものより成長余地です。

USJはこれまで、駐車場や既存施設を再編しながらスーパー・ニンテンドー・ワールドなどを整備し、限られた事業用地を高密度化してきました。今回は、現在のパークに隣接する外部用地へフットプリントを広げる本格的な外延拡張となります。

追加用地を確保できれば、ライドだけでなく、待機列、飲食・物販、イベント空間、バックヤードにも余裕が生まれ、収容力、滞在時間、客単価を同時に高める余地が広がります。

スーパー・ニンテンドー・ワールドの投資額は600億円超でした。今回の2000億~3000億円はその約3~5倍で、建設費高騰や基盤整備を考慮しても、単発のアトラクションではなく、複数の大型施設を段階的に整備する長期投資と見る方が自然です。

当ブログの2023年予想が現実に 817室ホテルも具体化



当ブログでは2023年12月、日本製鉄がUSJ北側の生産設備を休止することに着目し、この土地が将来的なパーク拡張に使われる可能性を指摘していました。

同時に、隣接する「アルカンシエルベリテ大阪」跡地についても大型ホテルの建設を予想。その後、817室の巨大ホテルと今回のUSJ拡張が相次いで具体化しました。
時期 主な動き
2023年12月 当ブログが日本製鉄跡地へのUSJ拡張、大型ホテル開発を予想
2025年12月 IHGトリプルブランドホテルが本格始動
2026年8月 約6万㎡の隣接地へのUSJ拡張計画が報道


2029年開業予定の「Osaka Sakurajima Resort」は延床約10万㎡、817室。インターコンチネンタル244室、キンプトン246室、ホリデイ・イン リゾート327室を一体化し、富裕層、インバウンド、ファミリーまで幅広く取り込みます。

IHGや事業主がUSJ拡張を事前に把握していたかは確認できません。ただ、817室という規模に加え、IHG自身がUSJと大阪IRへのアクセスを立地価値として挙げていることを考えると、2030年代の桜島・夢洲の需要拡大を見据えた投資と捉えることができます。

新エリアのIPを予想する



導入IPは未公表です。以下は、海外ユニバーサルの展開や既存IPとの親和性から見た当ブログの予想です。
候補 強み 留意点
ハリー・ポッター拡張 世界的集客力。海外では魔法省など大型エリアを展開 今回の用地との関係は未確認
ゼルダの伝説 任天堂の世界的IP。城・森・神殿など没入空間と好相性 テーマパーク展開は未発表
ヒックとドラゴン 米Epic Universeで大型エリアを実用化済み 日本での認知度は相対的に低い
ダーク・ユニバース ユニバーサル独自の映画資産を活用可能 日本でのブランド認知が課題
最も手堅いのはハリー・ポッターの拡張です。海外では魔法省など、日本未導入の大型コンテンツがすでに実用化されています。

新規IPでは「ゼルダの伝説」が注目候補です。マリオ、ドンキーコングに続く任天堂IPとして、ハイラル城や森、神殿などを生かした大規模な没入型エリアとの相性は非常に良いでしょう。

このほか、米Epic Universeで大型エリアとして実績を持つ「ヒックとドラゴン」や、ドラキュラ、フランケンシュタインなどユニバーサルの映画資産を活用する「ダーク・ユニバース」を横展開する選択肢も考えられます。

最大3000億円という投資規模を考えれば、単一IPに集中するのではなく、複数の大型コンテンツを長期間にわたって順次投入する可能性もあります。

年間2000万人級への成長余地 課題は交通と人材

年間2000万人はUSJが公表した目標ではありません。ただ、現在約1600万人を集めるパークに約6haの新規用地と最大3000億円を投じるのであれば、中長期的には十分に想定可能な水準です。

2000万人なら現在から約400万人、25%の増加となります。

その成長を支えるには、パーク内部だけでなく都市側の受け入れ能力も問われます。JRゆめ咲線、ユニバーサルシティ駅・桜島駅、道路、駐車場、歩行者動線、舟運に加え、パークやホテルを支える人材の確保まで一体的な強化が必要です。

来場者が増えれば、宿泊、飲食、小売、交通、物流などへの波及も広がります。最大3000億円の建設・設備投資と、その後の恒常的な観光消費の双方で、大阪経済へのインパクトは大きくなりそうです。

万博後の大阪を支える「国際集客都市」の二大エンジン



今回の計画は、USJ単体の設備投資として見るだけでは十分ではありません。

人口減少が進む日本で大阪が成長を続けるには、域内人口だけに依存せず、国内外から人、消費、投資、ビジネスを呼び込む力を高める必要があります。

大阪府・市の「Beyond EXPO 2025」でも、万博後の大阪について世界に伍する都市力・経済力を目指し、夢洲IRを核とする国際観光拠点やエンターテインメント都市の形成を進める方向が示されています。

そこへUSJの最大3000億円投資が加わります。
集客拠点 USJ・将来像 大阪IR
立地 桜島 夢洲
投資規模 2000億~3000億円 約1兆5130億円
年間集客 現在約1600万人、2000万人級も視野 約2000万人を想定
主な需要 テーマパーク、ファミリー、若者、インバウンド MICE、ホテル、エンタメ、富裕層、国内外観光客
開業・拡張 未公表 2030年秋ごろ
両者の来場者数を単純合算することはできませんが、桜島と夢洲に2000万人級の集客拠点が並ぶ都市構造は強力です。

USJはファミリーや若年層、世界的IPを目的とする観光客を集め、大阪IRはMICE、ビジネス、富裕層、エンターテインメント需要を取り込みます。客層が異なるため補完性が高く、双方を組み込んだ滞在が増えれば、大阪での宿泊日数や消費額の押し上げにつながります。

さらに桜島には大型ホテルが加わります。USJ、ホテル、大阪IRが近接することで、「大阪に来る理由」だけでなく「大阪にもう1泊する理由」までつくれることが重要です。

大阪・関西万博は期間限定でしたが、USJと大阪IRは恒久的な集客装置です。

今回のUSJ拡張は、人口減少時代の大阪が域外から人・消費・投資を呼び込み、国際集客都市として成長する戦略を民間側から強く補完する大型投資です。かつて製鉄所などが立地した大阪湾岸は、テーマパーク、ホテル、IR、MICEが集積する世界級のエンターテインメント拠点へ、大きく姿を変えようとしています。




出典

  • 日本経済新聞/Reuters「USJ拡張計画」
  • 合同会社ユー・エス・ジェイ「トップメッセージ」
  • 大阪市「環境影響評価関係資料」
  • 合同会社ユー・エス・ジェイ「SUPER NINTENDO WORLD」
  • 鹿島建設「Osaka Sakurajima Resort」
  • IHG Hotels & Resorts「Osaka Sakurajima Resort」
  • Universal Orlando Resort「Epic Universe」
  • 大阪府・大阪市「Beyond EXPO 2025」
  • 大阪府・大阪市「大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域整備計画」
  • MGM大阪株式会社
  • Re-urbanization「USJ北側用地・ホテル開発予想記事」

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