舞鶴市、中央図書館新築工事を公告 9月1日開札 西舞鶴駅東口に“日常的に使われる公共拠点”を整備


出典:遠藤克彦建築研究所

京都府舞鶴市は、「(仮称)舞鶴市立中央図書館新築工事」の一般競争入札を公告しました。入札参加資格確認申請は、2026年7月27日と28日に電子入札システムで受け付けます。入札期間は8月28日と31日、開札は9月1日午前9時30分です。

今回公告されたのは、中央図書館整備の中核となる建築一式工事です。西舞鶴駅東口で進められてきた大型公共施設整備は、構想・基本設計・予算措置の段階から、本体工事の発注段階へ移ります。

予定価格は税込21億3,620万円


出典:遠藤克彦建築研究所

工事場所は舞鶴市字伊佐津他地内です。入札方式は条件付一般競争入札で、総合評価方式を採用します。参加形態は、3者による特定建設工事共同企業体、いわゆる特定JVです。
項目 内容
工事名 (仮称)舞鶴市立中央図書館新築工事
工事場所 舞鶴市字伊佐津他 地内
工種 建築一式工事
入札方式 条件付一般競争入札、総合評価方式
参加形態 3者による特定JV
予定価格 税込21億3,620万円、税抜19億4,200万円
工期 本契約成立の翌日から2028年4月10日まで
申請受付 2026年7月27日、28日
入札期間 2026年8月28日、31日
開札 2026年9月1日午前9時30分
基本設計段階では、全体事業費は約43.1億円、うち中央図書館建設費は約33.8億円とされています。今回の予定価格は建築一式工事分であり、設備、外構、図書館運営関連、駅前広場整備などを含む全体事業費とは分けて見る必要があります。

新中央図書館は約3,600㎡、30万冊規模の中央館に


出典:遠藤克彦建築研究所

新中央図書館は、西舞鶴駅東口に整備される地上2階建て、延床面積約3,600㎡の公共施設です。設計は遠藤克彦建築研究所が担当します。

1階には子どもエリアや市民交流スペース、2階には一般書・専門書、個人閲覧席などを配置します。中央図書館には、約30万冊を配架する構想です。

施設コンセプトそのものに、全国初・画期的・革新的といえる要素が多いわけではありません。老朽図書館の再編、中央館化、子どもエリア、市民交流スペース、駅前への公共施設配置、分館ネットワークといった要素は、近年の自治体図書館整備ではよく見られます。

この計画の見どころは、図書館建築そのものよりも、舞鶴という都市の成り立ちと、中央館をどこに置くかにあります。

東西で性格が異なる「双子都市」舞鶴

舞鶴市は、東舞鶴と西舞鶴という性格の異なる2つの市街地を持っています。市域の中央部にある五老ヶ岳周辺の地形を挟むように、東西それぞれのまちが発展してきました。

西舞鶴は、田辺城の城下町を基盤とする歴史ある市街地です。一方、東舞鶴は明治以降、海軍の拠点整備を背景に近代的な軍港都市として発展しました。戦時下の1943年に東西の市街地が統合され、現在の舞鶴市につながっています。

西は城下町、東は軍港都市。この東西二極性を踏まえると、西舞鶴駅東口への中央図書館整備は、単なる施設更新にとどまりません。東西に分かれてきた都市機能の中で、西舞鶴駅前の役割を高める意味を持ちます。

人口減少下で駅前に都市機能を寄せる


出典:遠藤克彦建築研究所

人口減少が進むと、公共施設、商業、医療、教育、交通を市域全体に薄く配置したまま維持することが難しくなります。利用者が減れば、施設の維持管理費は相対的に重くなり、公共交通や中心市街地の店舗も成り立ちにくくなります。

だからこそ、駅前のような公共交通の結節点に、日常的に使われる都市機能を寄せる意味があります。図書館は大きな消費を生む施設ではありませんが、子ども、学生、子育て世帯、高齢者、社会人が繰り返し利用します。読む、学ぶ、待つ、集まる、休むという行為が駅前で生まれれば、西舞鶴駅東口は単なる通過点ではなく、滞在の場へ変わっていきます。

新中央図書館は、駅前再生の完成形ではありません。むしろ、その土台となる公共投資です。

課題は、集約後の使いやすさ


出典:遠藤克彦建築研究所

一方で、施設集約には課題もあります。中央図書館に蔵書や専門機能を集めれば、運営効率や拠点性は高まりますが、既存利用者にとっては「近くの図書館が遠くなる」と受け止められる可能性があります。

特に東舞鶴側の利用者にとって、分館、自動車図書館、予約受取、返却拠点などがどこまで使いやすく整えられるかは重要な論点です。建物の完成度だけでなく、集約後のサービス設計が計画の成否を左右します。

9月1日の開札では、どのJVが受注するか、予定価格内で落札が成立するか、総合評価でどのような施工体制や地域貢献が評価されるかが注目されます。

今回の入札公告は、中央図書館という建物の発注にとどまりません。東西に異なる歴史を持つ舞鶴で、公共サービスの重心をどう再配置するのか。その答えが、いよいよ現場で問われる段階に入ります。




出典・参考資料

  • 舞鶴市「令和8年9月1日開札分 入札公告一覧」
  • 舞鶴市「(仮称)舞鶴市立中央図書館新築工事 入札公告」
  • 舞鶴市「(仮称)舞鶴市立中央図書館基本設計について」
  • 舞鶴市「令和8年度 当初予算案資料」
  • 京都府「建築物排出量削減計画書等の公表資料」
  • 遠藤克彦建築研究所「(仮称)舞鶴市立中央図書館」
  • 建設ニュース「市立中央図書館新築工事を公告/9月1日に開札/舞鶴市」
  • 建設通信新聞「25年度に実施設計着手/市立中央図書館整備」
  • 建設通信新聞「舞鶴市立中央図書館基本設計公表」
  • 舞鶴市公式Xアカウントによる中央図書館3Dイメージ動画関連投稿
  • 京都新聞、朝日新聞、産経新聞などによる舞鶴市立中央図書館整備・図書館再編関連報道

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