
阪急京都線・千里線の淡路駅周辺で進む連続立体交差事業が、再び大幅に遅れる見通しとなりました。
大阪市が2026年8月18日に示した最新資料では、高架切替を2028年度から2033年度へ、全体完成を2031年度から2036年度へ、それぞれ5年延期。総事業費も2,326億円から約2,681億円へ355億円増額する見通しです。
現時点では関係者との協議段階ですが、大阪市が工期・事業費の精査結果として具体的な数字を示しており、事実上の新たな工程目標とみられます。
高架切替2033年度、完成2036年度へ 当初計画から24年遅れ

出展:https://sekkei.hankyu.co.jp/
| 項目 | 従来計画 | 最新見通し | 変更 |
|---|---|---|---|
| 高架切替 | 2028年度 | 2033年度 | +5年 |
| 全体完成 | 2031年度 | 2036年度 | +5年 |
| 総事業費 | 2,326億円 | 約2,681億円 | +355億円 |
| 事業延長 | 7.1km | 7.1km | 変更なし |
| 高架化駅 | 4駅 | 4駅 | 変更なし |
| 除却踏切 | 17か所 | 17か所 | 変更なし |
この計画については、当ブログでも、その進捗をお伝えしてきましたが、今回の見直しで、完成時期はさらに遠のきました。
当初の2012年度完成予定から2036年度へ、実に24年の遅れです。当初完成予定だった頃に生まれた子どもが24歳となり、大学を卒業して社会人になっていてもおかしくないほどの年月に相当します。
| 計画時点 | 高架切替 | 全体完成 |
|---|---|---|
| 当初計画 | 2009年度 | 2012年度 |
| 2012年再評価 | 2017年度 | 2020年度 |
| 2015年見直し | 2024年度 | 2027年度 |
| 前回計画 | 2028年度 | 2031年度 |
| 今回見通し | 2033年度 | 2036年度 |
なぜ5年延びるのか 新幹線交差部などで60か月増

出展:https://sekkei.hankyu.co.jp/
大阪市は今回、60か月に及ぶ延期要因を具体的に示しました。| 延期要因 | 工期への影響 |
|---|---|
| 東海道新幹線交差部の施工見直し | +24か月 |
| 下新庄駅付近の施工方法変更 | +10か月 |
| 働き方改革・猛暑対策 | +20か月 |
| 地中障害物の撤去 | +6か月 |
| 合計 | +60か月 |
最大要因は、千里線が東海道新幹線を跨ぐ区間です。施工条件の精査により24か月増加しました。
このほか、下新庄駅付近で周辺道路への影響を抑える工法へ変更して10か月、週休2日・4週8閉所や猛暑日の不稼働を反映して20か月、約1,085㎥の地中構造物撤去に6か月を要します。つまり今回の延期は単純な進捗遅れではなく、都市部の巨大鉄道工事を現在の施工条件に合わせて組み直した結果です。
総事業費2,681億円へ 物価次第では3,000億円接近も

出展:https://sekkei.hankyu.co.jp/
事業費は355億円増える見通しです。| 増額要因 | 増加額 |
|---|---|
| 物価高騰 | +254億円 |
| 積算基準改定 | +51億円 |
| 安全対策・工期延伸など | +21億円 |
| 施工方法見直し | +18億円 |
| 地中障害物 | +11億円 |
| 合計 | +355億円 |
さらに大阪市は、直近5年間と同程度の建設費上昇が2036年度まで続いた場合、追加で約263億円膨らむリスクを試算しています。単純合算では約2,944億円です。
263億円は確定額ではありませんが、施工方法に関する協議が概ね進むなか、今後の最大の不確定要素は施工そのものより建設インフレへ移りつつあります。
工事は78%まで進捗 完成済み高架は先行活用へ
一方、工事そのものは止まっていません。大阪市資料では、2026年3月時点の事業進捗率は約78%。淡路駅周辺では巨大な高架構造物が姿を現し、完成形がかなり見える段階まで進んでいます。
ただし、この78%は従来の総事業費2,326億円を基準とした指標であり、事業費増額後の単純な「完成率」ではありません。
大阪市は、完成済みの高架構造物について2036年度の全体完成を待たず、高架下空間を順次活用する方針です。淡路駅周辺では暫定駐輪場なども検討されています。
巨大インフラを「完成させる難しさ」が凝縮された事業に

出展:https://www.obayashi.co.jp/
今回の5年延期は、新幹線交差部の難工事だけでなく、都市部で交通を維持しながら進める施工、働き方改革、猛暑、地中障害物、そして建設インフレが重なった結果です。当初2012年度だった完成予定は2036年度へ24年後ろ倒しされ、総事業費は2,681億円へ。物価次第では3,000億円近くまで膨らむリスクもあります。
淡路駅周辺連続立体交差事業は、いまや単なる鉄道高架化ではなく、現代日本で巨大インフラを完成させる難しさを象徴するプロジェクトになりつつあります。
出典・参考資料
- 大阪市「大阪市大規模事業リスク管理会議」
※2026年8月18日開催「令和8年度第2回(第19回)」資料2(阪急連立)に、工期延伸・総事業費2,681億円への増額・リスク分析を掲載 - 大阪市「阪急電鉄京都線・千里線(淡路駅付近)連続立体交差事業」
※事業区間、対象駅、踏切除却数などの事業概要 - 大阪市「阪急電鉄京都線・千里線連続立体交差事業の事業期間の見直しについて」
※過去の工期見直し・延期経緯 - 建設通信新聞「大阪市の阪急連立事業/工事が最盛期迎える」
※事業進捗率、事業費、工事状況など
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